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エアバランスとは? 空気環境に関係する正圧と負圧について解説

2025.01.10 空調機器導入ノウハウ

エアバランスとは? 空気環境に関係する負圧と正圧について解説
この記事の概要
  • エアバランスと正圧、負圧について
  • エアバランスが崩れる原因について
  • エアバランスが崩れた時の心身への影響について

 

エアバランスは、建物内にいる人々にとって快適な環境を左右する要素の一つです。

室温ムラや風切り音などをなくし、静かで快適な環境を実現するには、エアバランスを考える必要があります。

そこでこの記事では、エアバランスの基本的な仕組みや、バランスが崩れる原因、そしてその結果生じる悪影響について解説していきます。

エアバランスとは

エアバランスとは?

エアバランスは、室内もしくは建物全体の圧力のバランスのことです。

通常、部屋や建物は用途に合わせて給気と排気の量を調節し、空気の圧力のバランスを設計しています。

エアバランスを考慮しないと、思ってもみない場所から空気が流入し、空調がうまく稼働しないということにもなりかねません。

エアバランスを作る正圧と負圧

エアバランスを取るためには、正圧と負圧のバランスを考える必要があります。

  • 正圧:部屋に給気する量を送風機などによって多くし、部屋を給気量>排気量にした状態。
  • 負圧:部屋を給気量<排気量にし、汚染度の高い空気を周囲へ流出させないよう、圧力を他の部屋よりも低くした状態。

 
たとえば、オフィスや会議室などは正圧にして、他の部屋から空気が流入しないようにしています。

それに対してトイレや浴室といった匂いがあったり湿度が高い空気の場合、圧力を低くして外へ出て行きやすくするようにしているのです。
 

空気はなぜ流れる? 空気の流れの基本3法則とダクトの種類

空気はなぜ流れる? 空気の流れの基本3法則とダクトの種類

空気は、圧力や摩擦などさまざまな要素によって流れます。

ここでは、空気の流れを考えるための基本的な法則と、エアバランスを保つために実際の空調機で使われているダクトの種類について説明します。

空気の流れを知るための基本3法則

どうして「空気が流れる」のかは、以下3つの法則が絡んでいます。

  • 質量保存の法則
  • 運動量保存の法則
  • エネルギー保存の法則

質量保存の法則

質量保存の法則とは、化学反応や物理変化において、物質の質量は変化しないという法則です。

つまり、反応の前後で物質の形や組成が変わっても、全体の質量は常に一定に保たれます。

運動量保存の法則

運動量保存の法則とは、外部から力が加わらない限り、物体同士が衝突や相互作用をしても、全体の運動量は変化しないという法則です。

つまり、運動の前後で運動量の合計は一定に保たれます。

エネルギー保存の法則

エネルギー保存の法則とは、エネルギーは形を変えたり移動したりしても、全体の総量は変化しないという法則です。

つまり、エネルギーは生成も消滅もせず、常に一定量が保たれます。

空調ダクトの種類

空調設備で使うダクトは、大きく以下の4つに分けられます。

  • 給気(SA):空調された空気を室内に届けるダクト
  • 還気(RA):室内の空気を空調機に送り込むダクト
  • 外気(OA):外部からの空気を取り込むためのダクト
  • 排気(EA):室内から外部へ空気を排出するためのダクト

 
これらを組み合わせ、エアバランスを保つようにしています。
 

エアバランスが崩れる3つの原因

エアバランスが崩れる3つの原因

建物のエアバランスが崩れる主な原因には、以下の3つが挙げられます。

  • 送風機の故障
  • 空気の通り道が何等かの原因で塞がれている
  • 風量の変更

送風機の故障

送風機は圧力を調節するもので、これが壊れて動かなくなることによって建物や室内の圧力バランスが乱れる可能性があります。

空気の通り道が何等かの原因で塞がれている

送風機が壊れていない場合でも、空気の通り道が何等かの異物で塞がれていると、空気が上手に給気もしくは排気ができないため、エアバランスは乱れてしまいます。

風量の変更

モーターダンパーと呼ばれる風量を自動的に調整する機器の設定開度変更や、インバーターと呼ばれる送風機の出力を調整する出力値の設定を変更した場合などで、エアバランスが崩れることがあります。
 

エアバランスが崩れると発生する悪影響

エアバランスが崩れると発生する悪影響

エアバランスが乱れた結果、発生する悪影響には、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 室内環境の悪化
  • 扉が閉まりにくい(閉まらない)
  • 騒音の発生

室内環境の悪化

前述したように通常は、室内の圧力差を利用して、汚染された空気が他の部屋に流出しないように、または汚染空気が入り込まないようにしています。

エアバランスが崩れるということはその圧力バランスが崩れているということであるため、状況によってはトイレなどの湿度の高い空気が周囲の部屋へ流れ出てしまう恐れがあります。

近くの部屋だけでなく外の匂いが入ってきてしまうこともあり、特に衛生区分がしっかりされている場所では、早急に対応しなければなりません。

また、負圧状態であれば外の暑い(寒い)空気が入り込むようになり、空調が効きづらい状態になってしまいます。

エアコンが効きづらいと効率も悪くなるため、電気代が上がってしまう可能性があります。

扉が閉まりにくい

エアバランスが崩れると、外の空気を室内へ取り込もうとする力が大きくなるため、扉が室内側へ開けづらくなることがあります。

騒音の発生

室内に「ヒュー」といった音がひっきりなしに聞こえる場合、それは風切り音と呼ばれるものです。

これはエアバランスが崩れることによってドアの隙間を通る空気の通過速度が速いことが理由で発生します。

会議室や映画館など、周囲の音や風切り音が入り込むと困る場所では、大きな悪影響となるでしょう。
 

エアバランスの崩れは早めに対応しよう

 
エアバランスは目に見えないため分かりづらいですが、快適な室内環境には欠かせない要素のひとつです。

特に衛生区分が厳密な場所や多くの人が利用する場所では、エアバランスが崩れることによる不利益は大きくなるでしょう。

室内環境でお困りの方は、お早めに業者へ相談することをおすすめします。


最適な空気環境をつくるためのご提案から工事まで、空間のトータルコーディネートができるオーソリティー空調にお任せください。

 

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