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エアコンが動かないときの確認方法と入替工事が必要なパターンを解説
2025.10.31 空調機器活用ノウハウ

夏の猛暑日、あるいは凍えるような冬の日に突然エアコンが動かなくなってしまったら――想像するだけでも背筋が凍るような状況ですよね。
リモコンを押しても反応がない、電源は入るのに風が出ない、あるいは変なランプが点滅しているなど、その症状は様々かもしれません。
特に、原因が分からないと「故障かな?」「買い替えなきゃダメ?」と不安が募るばかりです。
しかし、実はその症状、意外と簡単な確認や対処で解決できるケースも少なくありません。
この記事ではエアコンが動かない時の具体的な確認方法を基本の5ステップで丁寧に解説し、自分でできる応急処置から、いよいよプロの出番となる入替工事が必要なパターンまで分かりやすく解説していきます。
エアコンが動かない時の確認5ステップ

エアコンが動かなくなった時、まずは自分で確認できる基本的なチェックポイントがあります。
この5つのステップを踏むことで、意外とあっさり解決することも少なくありませんし、業者に依頼する際もスムーズに状況を伝えられるようになります。
ステップ1:電源周りをチェックする
エアコンが動かない場合、最も基本的ながら意外と見落としがちなのが電源周りの確認です。
これは、他の家電製品でもトラブル時にまず確認することと同じですね。ご自身の安全のためにも、この工程は慎重に行ってください。
コンセントとブレーカーの状態を確認
まず、エアコンの電源プラグがコンセントにしっかりと差し込まれているかを確認しましょう。
意外と緩んでいたり、抜けていたりすることがあります。
次に、分電盤(ブレーカーボックス)を確認し、エアコン専用のブレーカーや、家全体のメインブレーカーが落ちていないかを確かめてください。
エアコンは消費電力が大きいため、他の家電製品との同時使用でブレーカーが落ちることがあります。
もし落ちていたら、一度ブレーカーを上げてみましょう。ただし、何度も落ちるようなら電気系統に問題がある可能性も示唆されます。
リモコンの電池と設定モードを確認
リモコンの電池切れも非常によくある原因です。
電池を新しいものに交換し、正常に動作するか確認してください。
また、リモコンの設定モード(冷房、暖房、除湿、送風など)が、現在の季節や求めている運転モードと合っているかも非常に重要です。
例えば、冬なのに冷房設定になっていたり、その逆だったりすると正常に動作しないことがあります。
ステップ2:本体ランプの点滅を確認する
エアコン本体のランプが点滅している場合、それはエアコンからの「SOSサイン」である可能性が高いです。
点滅パターンには、故障箇所やエラーの内容を示す情報が含まれているため、このサインを見逃さないことが早期解決に繋がります。
エラーコードと取扱説明書で原因を特定
エアコンが点滅している場合、その点滅パターンはエラーコードを表していることがほとんどです。
まずは、エアコンの取扱説明書を取り出し、点滅パターンが示すエラーコードを確認してください。
取扱説明書には、それぞれのコードが何を意味し、どのような対処が必要かが記載されています。
例えば、「フィルターの清掃時期」を示すものから、「内部の部品故障」を示すものまで様々です。
もし説明書が見当たらない場合はメーカーのウェブサイトで「製品名+エラーコード」で検索してみると、情報が見つかることが多いでしょう。
ステップ3:フィルターと室外機の状態を確認する
エアコンの性能に直結するフィルターと意外と見落とされがちな室外機の状態も、エアコンが動かない原因となることがあります。
これらの部分のトラブルは、日々のメンテナンス不足が原因であることも多いですね。
室内機フィルターの汚れや詰まりをチェック
室内機のフィルターがホコリや汚れで詰まっていると、空気の流れが悪くなり、エアコンが正常に運転できなくなります。
特に、風量が極端に弱くなったり、まったく風が出なくなったりする原因の多くは、フィルターの詰まりです。
まずはフィルターを取り外し、汚れがひどいようなら清掃してみてください。
定期的なフィルター清掃はエアコンの効率を保ち、電気代の節約にも繋がるため、日頃から心がけておきたいポイントです。
室外機の周囲に障害物がないか確認
室外機は、エアコンの冷媒を循環させる上で重要な役割を担っています。
その周囲に障害物があると、空気の吸い込みや排出が妨げられ、運転効率が低下したり最悪の場合、安全装置が作動して運転を停止したりすることがあります。
例えば枯葉やゴミが詰まっていたり、植木鉢や物置で吸気口・排気口が塞がれていたりしないか確認しましょう。
特に、冬場は積雪によって室外機が埋もれてしまい、暖房運転ができなくなるケースもよく見られますから、季節の変わり目には一度確認しておくと安心です。
参考サイト:エアコンの室外機が動かない!原因と対処法、故障などの確認方法を解説
ステップ4:試運転で状況を最終確認する
ここまでのステップで簡単な原因が見つからなかった場合でも、諦めるのはまだ早いです。
試運転をすることで、エアコンの具体的な不具合をさらに詳しく特定できることがあります。
参考サイト:【毎年4月10日】エアコン試運転の日とは?夏の本格稼働前に試運転とクリーニングで準備をしよう!
冷房・暖房それぞれの運転を試す
エアコンには冷房と暖房、両方の機能があります。
どちらか一方だけが動かない、あるいは効きが悪いという症状は珍しくありません。
そこで、リモコンを使って冷房モードと暖房モードそれぞれを数分間ずつ試運転してみましょう。
冷房は動くのに暖房がダメ、あるいはその逆といった場合、特定の部品が故障している可能性が高まります。
例えば、室外機のファンやコンプレッサーなど、モードによって使う部品が異なるため、この確認は重要な手がかりとなります。
各モードでの風量や温度変化を観察
試運転中はただ動くかどうかだけでなく、風量や風の温度変化を注意深く観察してください。
風が出ているか設定温度に近い温度の風が出ているか、風量は適切かなど、細かくチェックすることで、冷媒ガスの不足やファンの故障といった具体的な不具合を特定しやすくなります。
例えば、冷房で設定温度を低くしても生ぬるい風しか出ない、暖房で設定温度を高くしても冷たい風しか出ないといった症状は冷媒ガス不足の典型的なサインかもしれません。
ステップ5:メーカーへ問い合わせる準備をする
ここまでの確認で解決しない場合、または症状が改善しない場合はいよいよメーカーや修理業者への連絡が必要となります。
スムーズな対応のためには、問い合わせ前に準備をしておくことが肝心です。
機種情報と症状を整理しておく
メーカーや業者に問い合わせる際は、お手持ちのエアコンの「機種名(型番)」と「製造年」を事前に調べて控えておきましょう。
これらはエアコン本体の側面や底面、取扱説明書に記載されています。
また、これまでの確認で判明した症状(例:電源は入るが風が出ない、特定のランプが3回点滅している、異音がする、いつから症状が出始めたかなど)を具体的に整理しておくと電話での説明がスムーズに進み、的確なアドバイスや見積もりを得やすくなります。
専門業者に依頼すべきかの判断基準
自力での解決が難しいと判断した場合、専門業者に依頼すべきかあるいは買い替えを検討すべきかを判断する基準も頭に入れておきましょう。
- 購入から5年以内で、メーカー保証期間内の場合。
- 特定の部品故障で、修理費用が比較的小額で済む場合。
- まだ製造から年数が浅く、買い替えを検討するには早すぎる場合。
- 製造から10年以上経過している場合(後述します)。
- 修理費用が高額で、新しいエアコンの本体価格に近づく場合。
- 複数箇所が故障しており、今後も修理が続くリスクが高い場合。
このような判断基準を持っておくことで、業者からの提案を客観的に評価し、最適な選択ができるようになります。
エアコンが故障している可能性が高い症状

上記で紹介した基本的な確認をしてもエアコンが動かない、あるいは異音や異臭がするなどの異常が見られる場合は専門的な修理が必要な故障である可能性が高いです。
ここでは具体的な故障症状とその原因について解説します。
冷媒ガス漏れが疑われる症状
エアコンの「冷媒ガス」は室内と室外の間で熱を運ぶ、エアコンの心臓部ともいえる重要な役割を担っています。
このガスが漏れると、エアコンは正常な冷暖房運転ができなくなり、様々なトラブルを引き起こします。
冷房・暖房が効かないと感じたら
冷房運転中に冷たい風がまったく出ない、あるいは暖房運転中に暖かい風が出ないと感じたら、冷媒ガス漏れが強く疑われます。
ガスが不足していると、エアコンはいくら運転しても設定温度に達することができず、無駄に電気を消費するだけになってしまいます。
また、ガス漏れが原因の場合、エアコン内部の圧力異常を示すエラーコードが本体ランプの点滅として表示されることもあります。
もし、これらの症状が見られたら、自己判断でガスを補充しようとせず必ず専門業者に相談してください。
冷媒ガスは特殊なものであり、取り扱いには専門知識と資格が必要となりますし、環境保護の観点からも安易な放出は避けなければなりません。
異音・異臭・水漏れのトラブルと原因
エアコンの運転中にいつもと違う音や臭いがする、あるいは室内機から水が漏れてくるなどの症状は明確な故障のサインです。
これらの症状を見過ごさず、早めに対応することが大切です。
異音や異臭がするケース
- 異音:「ガタガタ」「キュルキュル」「ブーン」といった普段聞かない音がする場合、ファンモーターの故障、内部部品の破損、あるいは室外機に小動物や異物が入り込んでいる可能性があります。放置するとさらなる故障に繋がる恐れがあるため、すぐに運転を停止し、専門業者に点検を依頼しましょう。
- 異臭:「カビ臭い」「焦げ臭い」「酸っぱい臭い」などがする場合、フィルターや内部のカビ、あるいは電気系統のトラブルが考えられます。特に焦げ臭い場合は発火の危険性もあるため、直ちに電源を切り、専門業者に連絡してください。これは、火災に直結する可能性もあるため、絶対に自己判断で放置してはいけません。
室内機からの水漏れ
室内機から水が漏れてくる場合、主な原因としては「ドレンホースの詰まり」が挙げられます。
ドレンホースとはエアコン内部で発生した結露水を外に排出するための管のことですが、このホースの内部に汚れやホコリ、あるいは虫などが詰まると、水が逆流して室内機から漏れてしまうことがあります。
その他には、ドレンパン(結露水を受ける皿)の破損、冷媒ガス不足による凍結で結露が異常に発生するといった原因も考えられます。
ドレンホースの詰まりであれば、自分で対処できる場合もありますが、その他の原因であれば専門的な修理が必要です。
水漏れは、壁や床を傷めるだけでなく、漏電の危険性も伴うため、速やかな対応が求められます。
参考サイト:室外機の役割とは?設置箇所や動作について解説
エアコンの入替工事が必要なパターン

エアコンの故障症状によっては、修理ではなく「入替工事(買い替え)」の方が合理的であると判断される場合があります。
修理と買い替えのどちらを選ぶかは、費用だけでなく、今後のランニングコストや利便性も考慮して慎重に判断したいところです。
買い替えを検討すべき判断基準
エアコンの修理費用が高額になる場合や製品自体の寿命が近づいている場合などは、新しいエアコンへの入替工事を検討する良い機会です。
ここでの判断は、長期的な視点を持つことが大切です。
製造から10年以上経過している場合
一般的に、エアコンの寿命は約10年と言われています。
製造から10年以上経過しているエアコンの場合、内部部品の経年劣化が進んでいる可能性が高く、一度修理しても、別の箇所がすぐに故障する「いたちごっこ」になることがあります。
また、古い機種は修理部品の供給が終了していることも少なくありません。
さらに、新しいエアコンは省エネ性能が格段に向上しているため、買い替えることで長期的に見て電気代の節約に繋がり、トータルコストでメリットが大きくなることが多いでしょう。
参考サイト:業務用エアコンの入替え・買替え時期の目安は?業務用エアコンが快適に利用できる目安を解説
入替工事の費用目安と業者選びのポイント
いざ入替工事となると、費用やどの業者に依頼すれば良いのかなど、気になる点がたくさん出てくるでしょう。
安心して工事を進めるためにも、事前の情報収集と準備が肝心です。
本体価格と工事費用の内訳
エアコンの入替工事費用は、大きく分けて「本体価格」と「工事費用」に分かれます。
- 本体価格:エアコンの機種や機能(省エネ性能、自動お掃除機能、AI機能など)によって大きく異なります。目安としては、6畳用で5万円〜15万円、10畳用で10万円〜25万円程度が一般的ですが、高性能モデルやブランド品はこれより高くなることもあります。
- 工事費用:基本工事費に加え、既存エアコンの取り外し費用、リサイクル料金、配管延長や壁穴開け、コンセント交換などの追加工事費用がかかる場合があります。基本工事費は2万円〜4万円程度が目安ですが、設置場所の状況によって大きく変動します。特に、古いエアコンからの交換で配管の状態が悪い場合などは、追加費用が発生しやすい傾向にあります。
事前に複数の業者から見積もりを取り、詳細な内訳を確認することが非常に重要です。
信頼できる業者を選ぶためのチェックポイント
信頼できる業者を選ぶことは、スムーズで安心な入替工事のために非常に重要です。
後悔しないためにも、以下のポイントを参考に慎重に選びましょう。
- 複数業者からの見積もり:最低でも2~3社から見積もりを取り、費用だけでなく、工事内容や使用する部材、保証についても比較検討しましょう。安さだけで選ぶのは危険な場合もあります。
- 明確な料金体系:見積もり書に不明瞭な項目がないか、追加料金が発生する可能性がある場合は事前に詳細な説明があるかを確認します。口頭だけでなく、書面で残してもらうのがベストです。
- 実績と評判:業者のウェブサイトやGoogleマップ、SNSなどで実績や利用者の評判をチェックしましょう。特に、エアコン工事の実績が豊富な業者を選ぶと安心です。
- アフターサービスと保証:工事後の保証期間や、万が一トラブルが発生した際の対応についても確認しておくことが大切です。
焦らずじっくりと業者を選び、不明な点は納得がいくまで質問することが、後悔しないための秘訣です。
よくある質問
エアコンのトラブルは突然訪れるもの。ここでは、多くの方が抱える疑問や不安について、専門的な視点から分かりやすく解説します。
エアコンの寿命はどのくらいですか
エアコンの一般的な寿命は、使用状況や環境にもよりますが約10年と言われています。
これは、主要部品の経年劣化や、修理部品の供給期間(通常、製造終了から7〜10年程度)に基づいています。
エアコンの故障、修理と買い替えどちらがお得ですか
エアコンの故障における修理と買い替えのどちらがお得かは、故障箇所、修理費用、エアコンの製造年数、そして新しいエアコンの省エネ性能によって総合的に判断が異なります。
一般的な目安として、修理費用が新品購入費用の半分以上かかる場合や、製造から10年以上経過している場合は、買い替えの方がお得になる可能性が高いです。
エアコンを長持ちさせるための日常のメンテナンスは
エアコンを長持ちさせるための日常のメンテナンスで最も重要かつ効果的なのは、室内機のフィルター清掃です。
フィルターは月に1~2回程度、掃除機でホコリを吸い取るか、水洗いして完全に乾燥させることで、常にきれいな状態を保つことができます。
これにより、エアコンの効率低下を防ぎ、余分な電気代を抑えるだけでなく、内部への負担を減らして故障のリスクを低減させます。
まとめ
夏の暑さや冬の寒さから私たちを守ってくれるエアコンが突然動かなくなると、本当に困り果ててしまいますよね。
しかし、この記事で解説したように、まずは慌てずに自分でできる確認ステップを踏むことが大切です。
電源周りのチェック、リモコンの状態確認、本体ランプの点滅パターン、フィルターや室外機の状態確認、そして最終的な試運転まで、これらのステップは修理業者を呼ぶ前にぜひ試してほしい基本的な対処法です。
それでも解決しない場合や、異音・異臭・水漏れといった明らかな異常が見られる場合は、専門業者による修理が必要な故障である可能性が高いでしょう。
特に、製造から10年以上経過しているエアコンや、修理費用が高額になる場合は、新しいエアコンへの入替工事を検討する時期かもしれません。
