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ホテルの快適さは空調設備が重要!快適な空間作りとエアコンの選び方を解説
2024.10.11 空調機器導入ノウハウ
- ホテル室内の快適空間の作り方
- 居心地の良いと感じる室温と湿度
- 全館空調のメリットとデメリット
ホテルや学校、病院のような、建物内にいる人が快適で健康に過ごせるように設置する空調のことを「対人空調」と呼びます。
空間を適切な温度や湿度に保てるかどうかは、利用客の快適性や満足度に直接影響するため、ホテル経営にとって非常に重要な要素です。
この記事では、ホテルの快適空間を守るための空調設備について解説していきます。
空調設備の種類やそれぞれのメリット・デメリット、場所別のエアコンの選び方などについて、確認していきましょう。
目次
ホテルの快適空間はエアコンと換気設備によって作られる
空調設備とは「空気調和設備」の略称で、温度・湿度・空気清浄・気流の調節を行う設備を指します。
具体的には、冷暖房を行う業務用エアコンのことです。
一方、換気設備とは室内と室外の空気を入れ替え、空気循環の改善を行う設備のことを指します。
具体的には換気扇や全熱交換器ユニットなどのことです。
両者は基本的な仕組みが異なりますが、ホテルに快適な空間を作り出すためにはなくてはならない設備です。
ホテルでは、客室やレストラン、ロビー、待合室など、年間を通して安定した温度を保つ必要があります。
これらの場所は人の出入りが多く外気の影響を受けやすいため、広範囲の温度管理ができる大型エアコンや空調システムの導入が求められます。
また、ホテル全体の快適な空間を目指すためには、客室と共有スペースが持つそれぞれの特性に配慮した適切なエアコン選びが必要です。
ホテルで使われている空調設備の種類
ホテルで使われている空調設備のシステムの種類をみていきましょう。
- 全館空調(セントラル空調)
- 個別空調
- 全館空調と個別空調の併用
全館空調(セントラル空調)
全館空調は、セントラル空調とも呼ばれるシステムのことです。
蒸気圧縮式冷凍機や吸収式冷凍機、ボイラーなどの熱源を一カ所にまとめ、管理できるようにしています。
建物内すべてを一定の温度に保てることが特徴で、メリットは一カ所ですべての空調制御が行えることです。
個別にコントロールする手間が省けるうえに、熱源をまとめることで機器設置のためのスペースも削減できます。
静音性にも優れており、温度差も均一になりやすく、人が長時間滞在するホテルにはよく導入されています。
デメリットは、個別に温度の調節が行えないことです。
人によって「暑い」「寒い」と感じる温度は異なるため、宿泊客の細かい要望に応えられず、クレームにつながることもあります。
春や秋といった「暑くも寒くもない季節」でも空調を止めるわけには行かず、温度調節の困難さに直面することもあるでしょう。
また、全館空調が故障すると建物全体の空調がストップしてしまうことは大きな懸念点です。
場合によっては、一時休業を余儀なくされる恐れがあります。
この全館空調にはファンコイルユニット方式という種類があり、ファンコイルユニットの中にも「2管式システム」と「4管式システム」の2種類があります。
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2管式システム
2管式システムは、冷温水を配給する配管が往復で各1本ずつあるシステムです。
本体に熱交換機を1台組み込み、必要に応じて冷水または温水を循環させることで、冷房や暖房を使用します。
熱電源が冷房のときはフロアやすべての部屋に冷風が届き、暖房のときは暖風のみが届きます。
配管の本数が少ないためスペースを取りません。そして4管式システムに比べ安価ですが、冷暖房の同時運転ができないというデメリットがあります。
4管式システム
4管式システムは、冷温水を配給する配管がそれぞれに往復で各1本ずつ、つまり4本配管されています。
本体に熱交換機を2台組み込み、1本に温水、もう1本に冷水を通しているため、冷暖房が同時に利用可能です。
部屋ごとに冷暖房の切り替えができるため、細かい調整ができますが、配管本数が多くなり、設置コストや運転コストがかさみます。
個別空調
個別空調とは個別分散方式のことで、一般住宅のエアコンと同じように、各部屋で個別に温度調節などができるシステムのことです。
種類はパッケージエアコンとマルチエアコンの2つに大別でき、それぞれ室内機と室外機の関係が異なります。
- パッケージエアコン:1つの室外機に1つの室内機
- マルチエアコン:1つの室外機に多数の室内機
個別空調のメリットは、部屋ごとに温度や風量の調節ができること、そして、一部だけ電源を切ることも可能です。
また、故障した際にも個別に修理や交換ができるため、故障した場所のみを閉鎖すれば通常通りに営業が可能です。
ただし、個別に調節できるための使い過ぎによって、コスト増大という問題が発生しやすくなります。
また、建物の設計や構造によっては室外機の置き場の確保が難しい場合もあったり、設置によって外観を損ねてしまう恐れもあったりといった点もデメリットです。
全館空調と個別空調の併用
最近では、全館空調と個別空調を併用するホテルも増えています。
たとえば人の出入りが多いロビーやレストラン、廊下などの共有部分は全館空調にして、客室は個別空調にすると、自分好みの室温に調節しやすいため、宿泊客は快適に過ごしやすくなります。
2022年に一般社団法人全日本ホテル連盟が行った調査によると、客室の空調設備は全館空調が一番多く48.2%、次いで個別空調が26.8%、2つの併用が19.6%でした。
ホテルの場所別エアコン選びのポイント
ホテルの場所別に、エアコン選びのポイントをみていきましょう。
お客様が寝食や休むために利用する客室と、人の出入りが多いロビーやレストランなどの共有部分の2つを説明します。
ホテルの客室
客室は、お客様の満足度を最も左右する場所です。
部屋の広さに適した馬力(能力)のエアコンを選ぶようにしましょう。
また、外国人や高齢者を考慮した、シンプルで使いやすいものがおすすめです。
たとえばリモコンの操作が簡単にできると自力でスムーズに温度の上げ下げができるため、利用者の不満が軽減されます。
ロービーやレストランなどの共有スペース
共有スペースは外気の影響も受けやすいため、大きくて広い空間に適した馬力(能力)のものがおすすめです。
受付デスク前はしっかりと冷えているけれど、ソファーなどが置かれた待機エリアはあまり風がこずに暑く感じる、といったことがないようにしなければなりません。
送風範囲や場所による温度の偏りができるだけないようにすることがポイントです。
使用状況に応じて温度設定などが変更できると、コスト削減も期待できます。
ホテルの快適空間を守るために考えられること
ホテルは単に寝泊りするだけではなく、非日常感を味わったりリラックスして疲れを癒したりといった目的で利用するお客様もいます。
居心地のよい空間を作り上げるためには、適切な空調・換気設備の導入が大切です。
温度の調節は可能か、音は静かか、直接風が体に当たらないかなど、ホテルにおけるエアコンへの要求はさまざまです。
業務用エアコンの導入に不安やお悩みがある場合は、ぜひ一度、ご相談ください。
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