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新築・リフォームを行うなら「全館空調」!メリットデメリットを徹底解説!
2020.03.19 空調機器導入ノウハウ
近ごろCMなどでも放映されており、聞き馴染みの出てきた「全館空調」という言葉。
全館空調とは、部屋内の温度を一括管理できる非常に効率の良い空調設備で、ホテルやオフィスビルなどで採用されていることが多いです。
近年では住宅向けにも普及し始めており、全館空調システムを販売する空調機器メーカーや、それらを取り扱う住宅メーカーや工務店が増えてきています。
そこで今回は、話題の「全館空調」のメリット・デメリットのご紹介と併せて、全館空調システムに関するご相談内容を併せて解説いたします。
目次
◎そもそも「全館空調」とは
全館空調とは、ホテルやオフィスなど多数の部屋がある建物において、冷暖房などを1箇所で集中管理を行うシステムです。
ホテルやオフィスなどでは空調を個別に設置するのはコストがかかるため、従来より導入されているケースが多いです。
一方で住宅の空調は、まだまだ必要な部屋ごとにルームエアコンを設置することが主流となっており、必要な部屋に1台設置するのが一般的です。
以前より住宅向けの全館空調システムは存在していましたが、導入価格や電気代が高く、部屋ごとの温度設定ができないなどの面もありました。
しかし近年では、価格の見直しや部屋ごとの温度設定が可能となるモデルも開発されるなどの進化をしています。
◎全館空調のメリット・デメリット
ハウスメーカーは販売している注文住宅には全館空調システムを採用している商品もあります。
全館空調というのは1台の空調設備が対象住宅のすべての部屋の冷暖房を行うシステムです。
このシステムを利用すれば各部屋ごとに空調設備を導入する必要がありません。
では、全館空調システムを取り入れることで、どんなメリット・デメリットがあるのかを解説いたします。
■導入のメリット
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①建物内の温度を一定に保つ!ヒートショック対策にも!
廊下やトイレも含めた建物内すべての部屋の温度をほとんど一定に保つ事ができます。
冬場などに多い、家族が集まる部屋には暖房設備を取り入れているため暖かいが、設備が実装されない廊下に出ると寒さを感じるといった心配もありません。
また、部屋ごとの温度差が少ないので、急なヒートショックの発生を回避できるのもメリットです。
※ヒートショックとは
急激な温度差により心臓に負担がかかってしまう現象です。
2011年の1年間で約17,000人もの人々がヒートショックに関連した入浴中急死をしたと推計され、その死亡者数は交通事故による死亡者数(4611人)をはるかに上回ります。
特に高齢者がいる家庭ではヒートショックの心配も高まるので、部屋中の温度設定ができる全館空調システムは非常に役に立ちます。
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②吹き抜けを採用する住宅に適したシステム
メーカーや工務店が販売している注文住宅の中には吹き抜けを採用したものもあります。
吹き抜けは天井が高く、上から屋外の光を取り入れやすいので、部屋中を自然の光で明るくでき、開放感があることが魅力です。
しかし、デメリットとして冬場などの寒いシーズンになると冷気が下りてきてしまうため、寒いことが挙げられます。
基本的に暖かい空気は上昇する性質があるので、暖房を吹き抜けのある部屋に導入しても、天井に向けて熱が逃げていくのでなかなか暖まらないことがあります。
全館空調の場合は、吹き抜けのある住宅でも上から下まで殆ど変わらない温度を保つことができます。
効率よく温度を保つことができるため、寒いシーズンでも快適に生活ができます。
全館空調システムは吹き抜けのある住宅にとって理想的な設備です。
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③見た目がスッキリしているためインテリアの雰囲気を崩さず設置が可能
住宅を作るときにインテリアにこだわる人もいるでしょう。
せっかくおしゃれな家具や壁紙を採用して空間をコーディネートしても、空調機器が付くことで部屋の雰囲気を台無しにしてしまうこともあります。
一般的なルームエアコンの場合、エアコン本体のデザインや本体そのものが部屋のコーディネートを邪魔してしまう可能性もあるので注意が必要です。
中には天井に埋め込んで設置することができるビルトインエアコンを採用することで、こちらで問題を解決できる場合もあります。
しかし、ビルトインエアコンはメンテナンス性があまり良くない点や性能面も含めて検討すると、部屋の雰囲気を壊さない空調設備として全館空調システムをオススメしています。
また、外部ダクトなども無く、室外機も多くて2基ほどで済むので、建物の内装だけではなく外観を崩してしまう心配もないのもメリットのひとつです。
■導入のデメリット
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①コスト面に注意しないといけない
全館空調システムは基本的に24時間冷暖房運転をするのでコスト面がややネックです。
しかし、運用方法次第では従来の個別空調とほぼ変わらない光熱費となる場合があります。
まず、全館空調システムを採用するときには住宅の断熱性能がどのくらいあるのかを確認しておきましょう。
基本的に住宅の断熱性能が高いと、暖めた空気を外へ逃さないようにでき、無駄な運転を抑えられます。
全館空調システムのセーブ運転や、帰宅日時を設定するとその間の運転休止や調整を行うタイマー機能を利用すれば温度を保ったまま、全館空調システムを低コストで運用できるのが強みです。
また、全館空調システムを売りにしている住宅メーカーなどでは、家を建てる段階から断熱性能を一般的な住宅より高めることで、一度暖めた空気を外へ逃がしにくいように設計しています。
断熱性能を高めることで個別空調のコストとほぼ変わらない金額で全館空調システムを運用できます。
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②修理費用やメンテナンス費用に注意
全館空調システムは、1つの設備ですべての部屋の空調管理を行うものです。
そのため、本体が壊れてしまうと、すべての部屋の空調設備が使えなくなってしまうのがネックです。
モデルによっては室外機が2基あり、1基が故障しても残りの1基がバックアップ運転するなどの機能があります。
しかし、室外機以外の故障などのケースも考えられますし、故障した際の修理費用も個別空調と比べると高く、大がかりなものになる場合もあります。
対策としては、定期的なメンテナンスを必ず行うことが挙げられます。
このメンテナンスは、全館空調システムを極力故障・修理のないように運用していくこととなります。
そのため、全館空調システムを取り入れるときは、メンテナンス用のランニングコストなども計算に入れておく必要があるでしょう。
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◎全館空調システムに関するご相談内容をご紹介!
まず、最も多いのが
「全館空調システムの導入費用はいくらかかるのか」といった声です。
全館空調の導入を検討している方で、初期費用がどれくらいかかるのかを気になる人は多いでしょう。
基本的に個別空調と比較したときにかなりの金額がかかってしまうので注意が必要です。
導入費用はメーカーや商品にもよりますが、安いものでも100万円前後、高いものだと300万円ほどします。
例えば個別空調のエアコンですと、モデルや購入時期にもよりますがおおよそ15万円前後で購入できます。
エアコンを3つの部屋に取り付けるとした場合は合計で45万円かかりますが、全館空調の安い価格帯のものと比較してもおよそ半分の費用で済みます。
その他にも工事費やメンテナンス費もかかるため、資金計画をしっかり立ててから全館空調システムを導入しましょう。
しかし、前述のとおりメリットも多くありますので、高齢者のヒートショック対策や、吹き抜けありの住宅用の空調設備として全館空調システムを導入するのなら、価格以上のメリットはあるでしょう。
そのため、導入を検討する際にはコスト以上のメリットがあるのかを考えて全館空調システムを検討するのが望ましいです。
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最後に、全館空調システムを導入するときにいくつかの気になることをQ&A形式でまとめました。
知っておくと全館空調システムを検討する際の参考になるかと思います。
Q.停電や災害のときには利用できる?
A.基本的に停電などが発生した際は全館空調システムの運転をすることはできません。
しかし、個別空調はもちろんのこと、家電製品なども停電時は利用できませんので同じです。
災害などにより電気の供給がストップした際を考慮するのなら、太陽光発電と蓄電池も併せて検討してみるのもいかがでしょうか。
太陽光から集めた電気を蓄電池に蓄えることができ、蓄えた電力を利用して全館空調システムを運転させることが可能です。
Q.トイレは空調対象になるのか
A.メーカーの販売する全館空調システムにより違いがあります。
例えば熱と同時に湿気や臭気を交換する「全熱交換器」というシステムを採用しているものは、トイレの空調はありませんが、トイレの換気扇を稼働させることによって空調設備同等の効果を発揮する事が可能です。
換気時に熱のみを交換する「顕熱交換器」というシステムを採用している場合は、空調された空気をトイレに取り込むことが可能です。
トイレも全館空調の対象としたい場合は、全館空調を導入をする際に各メーカーなどに確認しておくと良いでしょう。
Q.エリアごとの個別の温度調整はできるのか
A.一部メーカーのシステムでは送風量の調整などによって室内温度をある程度(±2℃ほど)変化させることは可能です。
基本的に全館空調システムは設定した空気をそれぞれの部屋に振り分けるシステムです。
そのため、ある部屋は冷房にして、ある部屋には暖房を適用するといった運転はできません。
そのような運用をするケースは滅多にありませんが、個別空調とは運用の勝手が違いますので注意が必要です。
Q.全館空調システムは乾燥するのか
A.寒いシーズンだと乾燥してしまうおそれがあります。
しかし、これは全館空調に限らず、高気密住宅では冬場の乾燥は強くなる傾向がありますので、加湿器などを用いた乾燥対策が必須になります。
逆に夏場は湿度が低く快適であったり、室内干しの洗濯物が乾きやすくなるなどのメリットはありますが、冬場の乾燥は大きなデメリットの一つと言えます。
しかし、最近は加湿機能も備わった全館空調も登場してきており、メーカーによっては加湿器などもオプションで設定されているため、利用することで乾燥対策を行えます。
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