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相対湿度と絶対湿度とは? 湿度を管理して健康で快適な空間を作る方法を解説
2024.11.22 空調機器導入ノウハウ
- 相対湿度と絶対湿度の概要と算出方法について
- 健康と湿度の関係について
- 適切な湿度と効率的に湿度を高める方法について
冬は空気が乾燥するため、感染症のリスクが高まりやすい季節と言われています。
乾燥は肌のかさつきや喉など口腔の渇きを発生させ、粘膜が炎症するなどの症状を引き起こしやすくします。
乾燥を防ぐためには湿度が重要ですが、湿度には「相対湿度」と「絶対湿度」の2つがあることをご存じでしょうか。
この記事では、空気中の水蒸気量を示す相対湿度と絶対湿度の違いや、湿度が感染症予防にどう関わってくるのかについて解説していきます。
目次
相対湿度と絶対湿度とは?
相対湿度と絶対湿度は、どちらも空気の湿気を表す指標ですが、両者は同じではなく、
・絶対湿度:空気中に含まれる水蒸気の「量」
上記のようにそれぞれ「割合」と「量」を表します。
人が快適な環境で過ごすためには、空気中の湿度を管理、コントロールする必要があります。
まずは、相対湿度と絶対湿度がそれぞれ具体的にどのようなものであるかを解説します。
相対湿度
相対湿度とは、空気中に含まれる水蒸気量が、その時点の温度でどれだけ飽和状態(最大限まで湿気を含む状態)に近いかを示す割合のことです。
相対湿度は、一般的にパーセント(%)で表され、たとえば「相対湿度50%」とは、飽和素性気圧の半分が水蒸気を含んでいるということです。
つまり相対湿度が100%のときは、これ以上は空気中に水分を含めない状態を表しています。
日本語で「ベタベタ」や「じとじと」と表現される状態と言えば、わかりやすいかもしれません。
相対湿度の特徴は、気温によって数値が変化することです。
たとえば、室温が20℃で相対湿度が50%の部屋の気温を25℃に上げると、相対湿度は約40%程度まで下がります。
これは、空気は温まると水蒸気をより多く含むようになる性質があります。そのため、気温が上がることにより空気中の飽和水蒸気圧の容量が高まることにより、相対湿度が低下します。
単に「湿度」と言うときは、一般的にこの相対湿度を指します。
つまり、テレビの天気予報で言う湿度50%は相対湿度が50%であるということです。
相対湿度が高いとき、特に温暖な環境ではジメジメと感じることがありますが、相対湿度が高いと必ずしも不快というわけではありません。
寒冷な環境では同じ相対湿度でも快適に感じる場合もあります。
相対湿度(〇%RH)= ある温度の空気に実際に含まれている水蒸気分圧(Pw) ÷ ある温度の空気に含むことのできる最大水蒸気分圧(Pws)×100
絶対湿度
絶対湿度は、空気1立方メートル(m³)あたりにどれだけの水蒸気が含まれているかを表す数値です。
単位はg/m³で表され、空気中の水蒸気量そのものを直接表します。気温の影響はほとんど受けません。
たとえば、部屋Aの空気に10g/m³の水蒸気が含まれていれば、部屋Aの絶対湿度は10g/m³です。
絶対湿度の特徴は気温が変化しても数値がさほど変化しないことであるため、部屋Aの気温が20℃から25℃へ上昇しても、水蒸気量は10g/m³から大きくは変わりません。
つまり、絶対湿度を知ることによって、空気中の水分量を直接把握できるということです。
正確な水分管理を必要とする工場や研究施設などでは、多くの場合、絶対湿度を基準にしています。
絶対湿度(Kg / Kg) = 水蒸気の質量(X) ÷ 1
湿度と健康の関係
湿度は私たちの健康にも影響を与える一つの要因になります。
湿度が高すぎる場合、空気中の水分量が増えることでカビやダニの繁殖を促進し、アレルギーや喘息などの症状を発生させるリスクを高めます。
また、湿度の高い環境では汗が蒸発しにくくなります。そのため体温調節が難しくなり、夏季では熱中症のリスクも高める要因になります。
一方で湿度が低すぎる場合でも、肌や喉、鼻の粘膜を乾燥させるため、人の防御機能が低下させ健康の影響を与えることがあります。
その影響でウィルスが体内に入りやすくなり、風邪やインフルエンザ、乾燥性皮膚炎などを引き起こしやすくなります。
湿度が低いと感染症リスクが上昇する
湿度が低い環境で感染症のリスクが高まる理由は、空気が乾燥するとウイルスが活発化しやすくなることです。
インフルエンザなどのウイルスは湿度が高い環境では、ウイルス自体に水蒸気が付着し、その重みで空気中に漂うことができません。
そのため、人が呼吸する際に口や鼻から侵入しにくくなり、感染症のリスクを下げることができます。
しかし、湿度が低い環境ではウイルスに付着する水蒸気が少なく、空気中に漂いやすくなるだけでなく、ウイルスの繁殖や生存率を高めてしまいます。
また前述したように、湿度が低いと鼻や喉の粘膜が乾燥し、防御機能が低下します。
通常、粘膜にはウイルスや細菌を捕捉して体外に排出する働きがありますが、乾燥によってその機能が十分に発揮できなくなり、感染症にかかりやすくなるのです。
感染症のリスク軽減には絶対湿度が重要
熱帯や亜熱帯の国では雨季にインフルエンザが流行しています。
湿度は高いのに、ウィルスが活発化しているのはどうしてでしょうか。
ここで重要なのは、絶対湿度です。
たとえば、雨季の湿度が70%を超える環境であっても、絶対湿度が低い場合には空気が乾燥し、感染症リスクが高まります。
雨が降ると気温が下がるため、気温低下によって空気中に含まれる水蒸気量が減り、絶対湿度が低くなる場合があります。
その結果、ウイルスが活発化しインフルエンザが流行しやすくなるのです。
その空気中にどのくらいの水蒸気が含まれているかを知り、その数値を下げないようにすることで、快適さと感染症のリスク対策が同時に可能となります。
参考:株式会社エー・アンド・ディー「季節性インフルエンザの流行と絶対湿度との関係について」
乾燥する時期に湿度を効率よく高める方法
真冬の乾燥する時期に、快適でありながら感染症のリスクを抑える具体的な方法は、エアコンと加湿器を併用し、相対湿度と絶対湿度の両方を上げることです。
エアコンで部屋の気温を上げることにより、部屋の空気が持つ水蒸気の割合を上げられます。
そのうえで、加湿器をかけて部屋の中の水蒸気量を上昇させれば、湿度を効果的に上げられるのです。
石油ストーブやガスファンヒーターは燃料が燃える際に水蒸気が出ますが、エアコンや電気ストーブは水蒸気を発生させません。
そのため、冬場にエアコンを使う場合は、加湿器を使って部屋の水蒸気量を増やしましょう。
室温が22℃、そして湿度は60%程度を維持することで、暑くも寒くもなく、乾燥による悪影響を受けない快適な環境を保てます。
また、感染リスクを抑えるためには、こまめに換気をすることも必要です。
湿度をコントロールして心地よい環境を整える
湿度について理解することで、快適な環境を維持しやすくなります。
湿度は高すぎても低すぎても人体に悪影響を及ぼすため、温湿度計などを利用して、快適な温度・湿度を保ちましょう。
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