NEWS
オフィスレイアウトの考え方とは?チームの成果を上げる職場設計を解説
2025.05.23 空調機器導入ノウハウ

オフィスレイアウトは、従業員の働きやすさや生産性に大きな影響を与える重要な要素です。
この記事では、オフィスレイアウトの基本的な考え方から、職種別の配置設計、レイアウトのパターン比較、導入の進め方、さらにはシミュレーションによる検討方法まで、詳しく解説していきます。管理職や経営層の皆様にも役立つ視点を取り入れていますので、ぜひご参考にしてください。
目次
オフィスレイアウトとは
オフィスレイアウトとは、職場の空間をどのように配置するかを設計することです。具体的には、レイアウト設計に欠かせない「ゾーニング」や「動線計画」、そして社員同士の「コミュニケーション」と「集中環境」のバランスについて解説していきます。
ゾーニング・動線設計の基本知識
オフィス内で業務の性質に応じて空間を分けることを「ゾーニング」といいます。例えば、静かに集中できるエリアと、打ち合わせが頻繁に行われるエリアを明確に分けることで、無駄なストレスを軽減できるでしょう。
「動線設計」は、人がオフィス内でどのように移動するかを考慮したレイアウトのことです。通路が狭すぎたり、行き止まりが多かったりすると、移動に手間がかかり業務効率が下がる原因にもなりかねません。コピー機や会議室など、よく利用する設備は業務の流れに合わせて最適な位置に配置することが重要ですね。
コミュニケーションと集中のバランス
職場では、活発な会話が生まれやすい環境と、静かに集中できる空間の両方が求められます。例えば、チーム同士で気軽に打ち合わせができるオープンなスペースを設ける一方で、集中作業ができる半個室の席も確保することで、社員の皆様の業務満足度が向上する傾向にあります。
このバランスを見誤ると、「騒がしすぎて集中できない」「誰とも話せず孤立感がある」といった不満につながることもあります。実際に、オープンオフィス化によって集中力が下がったという声も少なくありません。そのため、職種や働き方に合わせて、空間にメリハリをつけることが大切です。
オフィスレイアウトの目的と改善メリット
そもそもなぜレイアウト改善が必要なのか、またそれによって得られる具体的な効果を2つの視点から解説します。職場のパフォーマンス向上と、現代の働き方に対応した再設計の重要性に注目していきましょう。
職場改善によるパフォーマンス向上
効率の悪いレイアウトは、無意識のうちにストレスや疲労を蓄積させてしまうことがあります。例えばプリンターが遠いだけで毎日の移動距離が増えたり、会議室が不足して待機時間が発生したりすることもあるのではないでしょうか。
逆に、動線が最適化されていたり、部署間の距離感が適切だったりすると、無駄な時間が減り生産性が向上します。中には、社員満足度調査の結果を基に配置を変更したことで、離職率が下がったという企業も存在しますね。
働き方の変化とレイアウトの再設計
テレワークやハイブリッド勤務が普及した今、従来の固定席中心のレイアウトでは対応しきれない場面が増えています。例えば、出社人数が日によって変動する場合、フリーアドレスを導入した方がスペースの有効活用につながるでしょう。
また、「ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)」のように、業務内容に応じて最適な場所を選べる方式も注目されています。こうした新しい働き方に対応するには、レイアウトも柔軟に設計し直すことが必要不可欠です。
働きやすいオフィスレイアウトの設計
この章では、従業員の皆様がストレスなく作業できるようにするための空間設計や、チーム構成、業務フローに合わせた席の配置について具体的に解説します。
使いやすく、生産性を高めるための実践的な視点を提供しますね。
ストレスを軽減する動線と空間設計
日々の仕事で無意識に感じるストレスは、レイアウトによって大きく左右されることがあります。例えば、座っている席のすぐ横を他部署の人が頻繁に通る場合、集中力が妨げられるかもしれません。また、共有スペースが狭く、人の行き来が多い場合も心理的な圧迫を感じやすくなるでしょう。
こうした問題を避けるには、「静的エリア」と「動的エリア」を明確に分けて設計することがポイントです。静的エリアには集中作業に向く席を、動的エリアにはコピー機や打ち合わせスペースを配置することで、業務中の干渉を最小限に抑えることができるはずです。
一例として、ある小規模オフィスでは「窓際の壁に沿って静かな作業スペース」「中央にフリーディスカッションスペース」「出入口近くに機器類とストック棚」を設けたことで、社員の満足度と業務効率がともに向上したという事例があります。
チーム構成と業務フローに合わせた配置
レイアウト設計では、部署の役割や日常的なやり取りの頻度を考慮することが不可欠です。
例えば、営業部とサポート部門が日々密に連携する場合は、近接配置にしておくことで連絡のスピードが上がることが期待できます。
また、同じチーム内でも業務ごとに求められる環境が異なります。資料作成を主に行うメンバーには静かなスペースを、電話対応や外出が多いメンバーには出入口近くの席を割り当てるなど、柔軟な設計が求められます。こうした配置の工夫により、チーム内外でのコミュニケーションがスムーズになり、全体としてのパフォーマンスも向上するでしょう。
管理職・経営層に求められる視点とは
この章では、レイアウトを決定する側の視点として、管理職の皆様の業務効率と、経営層の皆様が考えるべきコスト対効果について解説します。設計の現場では見落とされがちですが、非常に重要な判断材料となる視点です。
管理職の働きやすさを支える配置設計
管理職の方にとって、ご自身の業務だけでなく、部下の状況が把握しやすい配置は非常に重要です。例えば、課長がメンバーと同じ島に座ることで日常的な会話が生まれ、些細なトラブルにもすぐ対応できるでしょう。
一方で、部下からの相談が多すぎてご自身の作業が進まない場合には、少し距離をとることも効果的です。このように「見えるが干渉しすぎない」バランスを保つことが、管理職の皆様にとっての配置設計の鍵になります。
仮に、執務エリアの中心に管理職の席を配置して全体を見渡せるようにすると、マネジメントと現場の両立がしやすくなるはずです。
経営視点で見るレイアウトの費用対効果
経営層の皆様がレイアウトを判断する際は、見た目のデザイン性やトレンドよりも、投資効果を重視するべきです。例えば、フリーアドレス化のために新しい家具やロッカーを導入する場合、そのコストに見合う業務改善が見込めるのかを精査する必要があります。
導入費用、定着の難しさ、社員の皆様の満足度、業務効率などを複合的に評価し、レイアウト改善によってどれだけの利益向上が期待できるのかを数値化できると、社内提案もスムーズに進むでしょう。
オフィスレイアウトの主なパターン紹介
ここでは、代表的なオフィスレイアウトのスタイルである固定席、フリーアドレス、ABWについてご紹介します。それぞれのメリット・デメリットを比較し、自社に合ったスタイルをどう選ぶべきかを考えていきましょう。
固定席
固定席は、社員一人ひとりに専用のデスクが割り当てられるスタイルです。安定感があり、私物管理がしやすい点が特徴です。
一方で、スペースに余裕がないと無駄な席が発生しやすく、出社人数の変動に柔軟に対応しにくいという課題もあります。
フリーアドレス
フリーアドレスは、席を自由に選べる方式です。業務に応じて場所を変えられるため、多様な働き方にフィットします。席が空いていることを前提にするため出社率が低い企業には向いていますが、「自分の居場所がない」と感じる社員が出てくる可能性も考慮しておく必要があるでしょう。
ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)
ABWは、業務の内容に応じて最適な作業環境を自分で選ぶスタイルです。静かな作業エリア、チームディスカッションエリア、集中個室などを用意し、社員が自由に移動しながら利用します。
自由度が高い一方で、定着にはしっかりとしたルール整備と企業文化づくりが不可欠です。
自社に合うスタイルを選ぶ基準
スタイル選定では「出社率」「社員数」「業務タイプ(静⇔動)」「組織文化」などを総合的に考慮しましょう。例えば、ルールやフレームを重視する文化であれば、フリーアドレスよりも固定席がフィットすることもありますね。
レイアウト変更のステップと進め方
このセクションでは、オフィスレイアウトを改善する際の具体的な進め方をご紹介します。現状分析から課題の抽出、設計、実施、そして評価まで、順を追ってどのように進めるべきかを分かりやすく解説していきます。
現状分析から課題抽出を行う方法
レイアウトを変更する前に、まずは今の職場環境がどのような状態かを正しく把握することが第一歩です。
そのためには、主観的な印象だけでなく、客観的なデータ収集が欠かせません。
例えば、以下のような手法が効果的です。
- 社員への匿名アンケート(不満点・改善希望)
- 動線の観察(通路の混雑・回遊パターン)
- 会議室や共有スペースの使用率チェック
ある中堅企業では、「社内に無駄な移動が多い」という声を基に、全社員の一日あたりの移動回数を記録しました。その結果、非効率なゾーニングが明らかになり、複合機の配置見直しが実施されたそうです。このように具体的な数字で示すことで、改善提案の説得力も増すでしょう。
設計・実施・評価の具体的ステップ
課題を明確にしたら、次に「設計」「実施」「評価」という3つのステップでプロジェクトを進めていきます。
それぞれのフェーズで意識すべきポイントは以下のとおりです。
1. 設計フェーズ:
- 目的を明確にする(例:集中力アップ、会話の活性化など)
- 社員の意見を反映しながらゾーニング案を作成
- 複数パターンを用意して比較検討する
2. 実施フェーズ:
- 移動・工事などのスケジュールを明確化
- 仮設利用や段階的な導入で混乱を抑える
- 社内告知と利用ルールの整備を同時に行う
3. 評価フェーズ:
- 改善前後での業務効率・満足度を比較
- フィードバックを定期的に収集し、再改善に活かす
オフィスレイアウトの改善は一度で終わるものではありません。社員の声を反映し続ける「循環型改善」の意識が重要です。
オフィスレイアウトを可視化する方法
レイアウト改善を検討する際に役立つのが「シミュレーション」の手法です。手描きやCADソフトだけでなく、無料で使えるWebツールなど、可視化の方法にはさまざまな選択肢があります。
レイアウトシミュレーションの活用法
言葉だけでレイアウトを説明しても、イメージが伝わりにくいことがありますよね。そんなときに有効なのが、シミュレーションツールの活用です。
パソコンやタブレットで操作でき、レイアウトのパターンを視覚的に確認できます。
例えば以下のようなツールがあります。
ツール名 | コスト | 特徴 |
---|---|---|
オフィスレイアウトシミュレーター (無料) |
無料 | ブラウザで手軽に間取り作成が可能 |
SweetHome3D | 無料 | インポート機能や3D表示に対応 |
AutoCAD(有料) | 高コスト | 精密設計が可能。大型案件や施工業者向き |
特に無料ツールは、試作段階や社内プレゼンに最適です。視覚的に「どこに何があるか」が伝わることで、社員や上司の合意も得やすくなるでしょう。
まとめ
この記事では、オフィスレイアウトの基本から設計・改善の具体策、導入の手順、シミュレーション活用までを網羅的に解説しました。
現代の職場は、単にデスクを並べるだけでは通用しません。働き方の変化や社員の多様なニーズに合わせて、柔軟かつ戦略的にレイアウトを設計していく必要があります。
オフィスレイアウトの改善は単なる模様替えではなく、「働きやすさ=成果につながる投資」だと考えてみてください。
この記事の内容を参考に、貴社のオフィスレイアウトを見直してみてはいかがでしょうか。
オフィスデザインや内装設計についてご相談やご質問があれば、お気軽にお問い合わせください。