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VOC排出抑制対策とは?VOC規制や大気汚染防止法ついて解説

2025.08.22 空調機器導入ノウハウ

VOC排出抑制対策とは?VOC規制や大気汚染防止法ついて解説

私たちが日常的に使用する塗料や接着剤、洗浄剤などには、目に見えない有害物質「VOC(揮発性有機化合物)」が含まれています。VOCは室内空気の質を悪化させるだけでなく、屋外に排出されることで大気汚染の一因になります。

とくに事業活動においては、VOC排出対策のための法律や規制が定められており、適切な管理が求められています。この記事ではVOCとは何か?、日本国内における規制内容、具体的な対策方法までを順を追って解説していきます。

VOC(揮発性有機化合物)とは

VOC(揮発性有機化合物)とは

VOCは常温で気体となりやすい有機化合物の総称です。たとえばトルエン、キシレン、ホルムアルデヒドなどがあり、ペンキや接着剤、印刷インキなどにも含まれています。これらが室内や工場から揮発すると人体や環境に悪影響を与えます。

健康被害や環境への影響

VOCによる健康被害の一例としては目や喉の刺激、頭痛、めまい、アレルギー症状などが挙げられます。さらに、長期的なばく露は神経系や内臓への影響が懸念されています。屋外ではVOCが光化学スモッグの原因物質となり、大気汚染の元凶とされているため規制が強化されています。

日本におけるVOC規制

日本におけるVOC規制

日本では、VOC排出抑制のために複数の法制度が整備されています。ここでは、規制の背景から対象物質、該当する業種について説明します。

VOC規制が始まった背景

日本で本格的にVOC対策が始まったのは、2000年代に入ってからです。その背景には、首都圏を中心とした光化学スモッグの頻発があります。これを受けて環境省は2004年に「VOC排出削減指針」を発表し、2006年には大気汚染防止法の改正によりVOC排出の届出や排出抑制が義務化されました。

規制対象となる主な物質と基準値

規制対象となるVOCは、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなど、環境省が指定した物質です。これらの物質には排出基準値が設けられており、超過した場合は改善措置が求められます。基準値は物質ごとに異なるため、該当する化学品の成分表(SDSなど)を確認することが大切です。

規制対象となる業種や施設

VOC排出の規制は印刷業、塗装業、化学製造業、クリーニング業などが対象となります。

主な対象施設 具体例 判断のポイント
塗装施設 自動車修理工場、金属製品塗装 塗装ブースの有無、乾燥炉の規模
印刷施設 オフセット印刷、グラビア印刷 インキ使用量と乾燥工程の排気量
洗浄施設 金属部品洗浄、クリーニング店 溶剤の種類と洗浄槽の表面積

小規模であっても、一定量以上のVOCを排出する施設は規制の対象となる点に注意が必要です。

大気汚染防止法とVOC規制の関係

大気汚染防止法とVOC規制の関係

大気汚染防止法は、VOC排出規制の法的な土台となっています。ここでは法律の概要と、事業者が負う責任について詳しく見ていきます。

大気汚染防止法は、工場や事業場から排出される有害物質を規制するための法律です。2006年の改正により、揮発性有機化合物の排出の抑制に関する技術的基準などが追加され、VOC規制が法的に明文化された根拠となるのは、第17条の2〜4です。

事業者が負う義務と罰則

VOC排出の対象となる施設を持つ事業者には、届出義務、排出抑制の努力義務、排出量の記録・報告義務などがあります。

これらを怠ると、行政指導や勧告、場合によっては罰金刑(最大50万円)が科される可能性があります。また、虚偽の届出や測定記録の不備も罰則の対象となるため、厳格な管理が求められます。

環境省・地方自治体の指導体制

VOC対策に関しては環境省が全国的な方針を定め、各自治体が具体的な運用や指導を行います。たとえば東京都では、独自の条例により国より厳しい基準が設けられていることもあります。そのため、所在地によって対策内容が変わる点も意識が必要です。

VOC排出抑制対策の具体例

VOC排出抑制対策の具体例

VOCの排出を減らすためには単に排出量を把握するだけでなく、実際の現場での改善が欠かせません。たとえば以下のような対策が挙げられます。

  • ・水性塗料や低VOC製品への切替
  • ・溶剤の密閉管理
  • ・排気装置の改良やフィルターの設置
  • ・作業プロセスの見直し(例:乾燥時間の短縮)

中小企業ではコストの制約があるため、「すぐに全部変える」よりも「できるところから着手する」といった段階的な導入が効果的です。

VOC測定と排出管理の方法

VOC測定と排出管理の方法

VOC排出を管理するためには、まず現状の排出量を正確に把握する必要があります。測定方法の種類からモニタリング、管理記録の方法までを順に説明します。

測定方法の種類(簡易法・定量法)

VOCの測定には、大きく分けて「簡易法」と「定量法」の2種類があります。

手法 特徴 主な利用シーン
簡易法 ガス検知管やポータブル検知器を使用。安価で迅速。 日常的な自主チェック、作業現場の安全確認
定量法 ガスクロマトグラフなどによる精密分析。高精度。 法令に基づく報告書作成、自治体への届出

たとえば、塗装工場が年1回の法令報告を行う際には、定量法での分析結果を添付することが一般的です。

モニタリングの仕組みと導入方法

VOCモニタリングとは、空気中のVOC濃度を継続的に監視する仕組みのことです。センサーを作業場に設置し、リアルタイムで濃度を記録するタイプが主流となっています。設置には初期コストがかかるものの、濃度上昇の「見える化」により、作業環境の改善や設備故障の早期発見にも役立ちます。

管理記録と報告義務の実際

VOC排出に関する測定結果は、定期的な記録と保存が義務付けられています。とくに排出基準を超える可能性のある施設では、測定日・測定方法・結果・対策の有無などを「管理台帳」に記録する必要があります。

記録は最低3年間保管することが推奨されており、行政の立入検査があった際には提出が求められることもあります。

オフィスでのVOC対策ポイント

オフィスでのVOC対策ポイント

VOCは工場などの産業施設だけでなく、オフィス空間でも無視できない存在です。ここでは、オフィス環境における身近なVOCリスクと対策方法を紹介します。

建材や内装材からの発生リスク

新築やリフォーム直後のオフィスでは、建材や家具からVOCが放散されることがあります。とくにホルムアルデヒドやトルエンなどは、「シックハウス症候群」の原因として知られています。内装に使う接着剤、塗料、合板などを選ぶ際にはF☆☆☆☆マーク(ホルムアルデヒドの放散量が最も少ない建材)を基準にするのが有効です。

換気設備・空気清浄機の活用

VOCの濃度を下げるには、換気が最も効果的な対策です。加えて、活性炭フィルターを搭載した空気清浄機などもVOC除去に効果があります。

従業員の健康管理と環境配慮

空気環境の改善は従業員の健康と集中力維持にも直結します。定期的にアンケートや体調チェックを行い、「頭痛や目のかゆみが頻発していないか」といった兆候を把握することも重要です。加えて、グリーン購入法に準じた商品選定など、企業としての姿勢も求められる時代になっています。

企業が守るべき法令とガイドライン

企業が守るべき法令とガイドライン

VOC対策は大気汚染防止法だけでなく、他の法律や社会的責任にも関係しています。関連法令やCSRの観点から解説します。

環境基本法、労働安全衛生法との関連

VOC対策は環境基本法のSDGs(持続可能な社会)の構築や、労働安全衛生法に基づく「作業環境管理」にも関係します。たとえば、有機溶剤を扱う作業場では、作業環境測定と作業主任者の配置が義務化されています。

CSRやESG経営におけるVOC対策の位置づけ

近年は、CSR(企業の社会的責任)やESG(環境・社会・ガバナンス)経営が企業評価の指標となっています。VOC対策に積極的な姿勢を示すことは、投資家や取引先からの信頼獲得にもつながります。

関係省庁・機関が発行する指針

VOC対策に関連するガイドラインは以下のような省庁・機関が発行しています。

発行元 主なガイドライン名 内容のポイント
環境省 VOC排出抑制のための技術指針 大気汚染防止に基づく技術的対策
厚生労働省 室内空気汚染対策ガイドライン 室内濃度指針値、健康障害防止
経済産業省 事業者向けVOC対策手引き 自主的取組、コスト管理、改善事例

よくある質問

Q1. VOCとシックハウス症候群の関係は?

VOCはシックハウス症候群の主な原因物質とされています。特にホルムアルデヒドやトルエンは室内濃度が高くなると頭痛・めまいなどの症状を引き起こします。

Q2. 小規模事業者も規制対象になる?

VOCの使用量や排出量が一定以上(例:送風機の排風量が3,000m³/h以上など)あれば、小規模でも届出や管理義務が生じます。事業規模よりも「使用実態」と「施設能力」によって判断されます。

Q3. 測定結果が基準を超えた場合の対応は?

速やかに原因調査を行い、設備の改善や使用量の見直しなどの対策を講じます。そのうえで、行政への改善報告書の提出が求められることもあります。

まとめ

VOCは目に見えないからこそ、早めの対応と継続的な管理が重要です。法的義務だけにとどまらず従業員の健康、社会的信頼、持続可能な経営の実現にも直結します。

企業規模にかかわらず、できることから着実に対策を進める姿勢が将来のリスク回避にもつながるでしょう。ビルやオフィスなどの室内空気環境の改善や、換気設備の見直しをご検討の際は、ぜ


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参考文献