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喫煙室の設置と換気基準とは?健康増進法や分煙対策に必要な換気設備について解説

2025.09.26 空調機器導入ノウハウ

喫煙室の設置と換気基準とは?健康増進法や分煙対策に必要な換気設備について解説

オフィスや飲食店で「喫煙室を作る必要があるけれど、どうしたらいいのかわからない」と悩む経営者は少なくありません。

2020年の改正健康増進法以降、屋内の喫煙規制は厳格化され設置基準を守らないと行政指導や利用者からの苦情につながるリスクがあります。

この記事では、喫煙室の設置基準・換気要件・法律上の注意点を整理し、実務に直結する視点から解説します。

喫煙室の設置基準とは

法律上の設置基準は複数の視点から定められており、健康増進法だけでなく建築基準法・消防法も関わります。

つまり「換気性能」「構造」「防災対策」を三位一体で考えなければならないのです。

健康増進法に基づく喫煙室の設置条件

健康増進法(改正法)では、原則として屋内は禁煙。

ただし「喫煙専用室」や「加熱式たばこ専用室」を設ける場合のみ例外的に喫煙可能です。その条件は次の通りです。

  • 室内で飲食や勤務をしてはならない
  • 室外に煙を漏らさないよう、気流を確保する(室内の気圧を低く保つ)
  • 時間当たり30回以上の換気を行う

これらを満たさなければ「専用室」と認められず、違法設置と見なされる可能性があります。

建築基準法と喫煙室の構造制限

建築基準法は直接「喫煙室」という言葉を規定していません。

しかし、室内の区画・換気方式・避難経路に影響するため必然的に遵守が求められます。とくに気を付けたいのは以下の点です。

喫煙室を設置する際の注意点
  • 隣接する居室と完全に区画する必要がある
  • 換気扇の排気経路が他の居室に逆流しないよう設計する
  • 非常時の避難経路を確保する

飲食店の改装時などでは、壁や間仕切りの設計が不十分で後から修正工事になるケースも少なくありません。

消防法で求められる安全対策

消防法上、喫煙室は「火気使用室」に準ずる扱いを受けることがあります。

火災時に煙がこもりやすい構造であるため、以下の対策が重視されます。

消防法による喫煙室の設備
  • 自動火災報知設備(煙感知器)の設置
  • 不燃材を用いた内装
  • 防火区画の維持

とくにビルインテナントの喫煙室では、ビル管理者との協議が必要になる場合が多い点も現場では注意が必要です。

喫煙室の換気基準と必要設備

換気性能は法律で数値的に定められており、最もトラブルになりやすいポイントです。

性能不足だと「煙臭い」と利用者から苦情が寄せられる事例が後を絶ちません。

換気回数と気流方向の要件

厚生労働省の基準では1時間当たり30回以上の換気回数を確保すること、さらに室外に煙が漏れないよう室内を負圧に保つことが求められます。

喫煙室に必要な換気基準(健康増進法省令より)

項目 基準値・条件
換気回数 1時間あたり30回以上
気流方向 室内から室外へ一方向、室外への漏洩防止
室内圧力 周囲より低圧に保ち、煙の逆流防止

基準を満たさない場合、形式的には喫煙専用室と認められません。

換気設備の種類と選定ポイント

実務ではダクト式換気扇や全熱交換器などが多く採用されます。選定の際は以下の点を考慮すると良いでしょう。

換気設備の選定ポイント
  • 室の広さに応じた風量確保
  • 静音性(オフィスや飲食店では特に重要)
  • メンテナンス性(フィルター交換や清掃の容易さ)

単に「強力な換気扇」を選べば解決するわけではなく、設置環境に合わせた計画が欠かせません。

煙漏れ防止の設計

煙漏れの原因は換気量不足だけでなく「扉の開閉」「すき間風」など構造的な要素にもあります。

そのため以下の工夫が有効です。

喫煙所の煙漏れ防止のポイント
  • 扉は自閉機能付きで隙間を最小化する
  • 前室(小さな待機スペース)を設け、煙が直接外に出ないようにする
  • 排気口の位置を吸い込み効率の良い場所に配置する

ただし、こうした設計を怠ると利用者や隣接店舗から苦情が発生しやすく、後からの改善はコスト増につながります。

喫煙室の種類と設置場所ごとの違い

喫煙室と一口にいっても、用途や設置場所によって基準や条件は異なります。

喫煙専用室と加熱式たばこ専用室の違い

  • 喫煙専用室:紙巻たばこの利用を想定。飲食・業務行為は禁止。
  • 加熱式たばこ専用室:加熱式製品のみ使用可能。一定条件下で飲食提供が認められる。

この違いを理解せずに設計すると、法律違反に直結します。

飲食店やオフィスにおける設置条件

  • 飲食店:原則禁煙だが、客席面積100㎡以下かつ資本金5,000万円以下の小規模店では経過措置として喫煙可能(ただし新規開業には適用不可)。
  • オフィス:従業員の受動喫煙防止のため、共用スペースは原則禁煙。設ける場合は喫煙専用室のみ可。

ただし、換気性能不足で「煙臭い」と苦情が多発する例があり、設計段階から慎重な検討が必要です。

屋外喫煙所の設置基準と注意点

屋外の場合も「煙が周囲に流れない配置」「火災リスクを減らす不燃材の使用」が求められます。

駅前や商業施設では自治体独自の基準が設けられているケースもあるため、事前確認が不可欠です。

喫煙室設置のコストと補助金制度

喫煙室は設置基準を守るだけでなく、費用負担をどう考えるかも大きな課題になります。

喫煙室設置にかかる一般的な費用相場

内装工事換気設備・防火設備を含めると、小規模でも数十万から数百万円規模になることが一般的です。

特にダクト工事は建物の構造に依存するため、想定以上にコストが膨らむ例があります。

国や自治体の補助金・助成金制度

厚労省や自治体は、受動喫煙防止対策の推進を目的に補助金制度を設けています。

たとえば東京都では、中小飲食店を対象に喫煙室設置費用の一部を助成する制度があります。

制度内容は毎年更新されるため、最新情報を確認することが重要です。

補助金を活用した設置事例

中小飲食店で補助金を活用し、全額自己負担の半額以下で設置できたケースもあります。

補助金を使うには事前申請が必要で、工事着工後は申請できないため、タイミングを間違えないことがポイントです。

よくある質問

Q1. 喫煙室の換気回数はどのくらい必要か

結論として1時間あたり30回以上が基準です。これは厚労省の技術的基準で明確に規定されています。

Q2. 喫煙専用室と加熱式たばこ専用室の違いは何か

喫煙専用室は紙巻きたばこ専用で飲食不可。加熱式専用室は飲食を伴える場合があります。この違いを誤ると違法設置となります。

Q3. 自宅や小規模店舗に喫煙室を設けてもよいのか

法律的に禁止されてはいませんが、換気基準を満たすには高額な設備が必要になります。現実的には設置は難しいのが実情です。

Q4. 喫煙室設置に補助金を使う条件はあるか

中小規模事業者を対象にした制度が多く、申請には事前審査が必要です。詳細は各自治体の制度を確認してください。

まとめ

喫煙室の設置は健康増進法を中心に複数の法規制に基づき計画する必要があります。

とくに換気基準と煙漏れ防止設計はトラブルが多いため、早い段階で設備業者や建築士と協議することが欠かせません。

補助金制度を活用すれば費用面の負担も軽減できるため、導入前に自治体の最新情報を確認しておくと安心です。

空調設備の設置から、内装設計・工事を含む空間デザイン、そして最新設備による快適な空気環境の施工プランまで。

空調のトータルコーディネートは、オーソリティー空調にぜひお任せください。

参考文献