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冷房と暖房で電気代が高いのはどっち?季節ごとの電気代の変化と実践できる節電方法を解説
2020.06.26 空調機器活用ノウハウ

夏場の冷房も欠かせませんが、冬場に届く電気代の請求書を見て「こんなに高いの?」と驚いた経験はありませんか。
実は、家庭や店舗のエネルギー消費において、エアコンの暖房は非常に大きな割合を占めています。冷房と暖房で電気代がこれほどまでに違うのは、単なる気分の問題ではなく、熱を移動させる仕組み(ヒートポンプ)にかかる負荷が、冬場の方が格段に大きいためです。
この記事では、空調設備の現場視点から、電気代に差が出る物理的な理由を紐解とともに、効果が数字で見えやすい具体的な節電テクニックを解説します。家計や運営コストを賢く管理するための判断材料として、ぜひお役立てください。
目次
なぜ冬の電気代はあんなに高いの?冷房と暖房で差が出る理由

冬の電気代が高騰する最大の理由は、エアコンが埋めなければならない「温度のギャップ」にあります。エアコンは、外の空気から熱を回収して室内に運ぶことで温度を調節しますが、この作業にかかる負荷が季節によって大きく異なるのです。
外の気温と設定温度の「差」が、エアコンの負担を大きく変えています
エアコンの電気代は、外気温と設定温度の温度差に比例して増大します。夏場、外気温が35℃の日に室内を27℃にする場合、差は「8℃」です。対して冬場、外気温が2℃の日に室内を20℃にする場合、差は「18℃」にもなります。この差を埋めるためにエアコンの心臓部であるコンプレッサー(圧縮機)がフル稼働ため、暖房は冷房に比べて圧倒的に多くの電力を消費します。一般的に、エアコンが年間に消費するエネルギーのうち、約6割から7割が暖房によるものと言われるほど、冬の負荷は大きいのです。
冬場の「温度ギャップ」による高額な電気代にお悩みではありませんか?最適な空調設定をご提案します。
※状況により最適な解決策が変わるため、まずは専門家への相談が近道です。
雪の日や寒い日に暖房が止まる?「霜取り運転」が電気代を食う理由
気温が低い日に暖房を使っていると、急に温風が止まり、室外機から「ブーン」という音が聞こえることがあります。これは霜取り運転(デフロスト運転)と呼ばれる機能です。暖房時は室外機が冷たくなるため、外気中の水分が凍りつき、熱交換を妨げます。これを溶かすために、エアコンは一時的に「冷房モード」に切り替わり、室外機を温めます。この間、暖房は停止しているにもかかわらず大量の電気を消費し、さらに再開時には冷え切った室内を再び温め直す必要があるため、電気代を押し上げる大きな要因となります。
たった1度でそんなに違う?設定温度を変えるだけで10%も節約できるワケ
環境省のデータ等によると、暖房の設定温度を1℃下げるだけで、消費電力を約10%削減できるとされています。冷房の場合は1℃上げると約13%の削減ですが、もともとの電力消費量が多い暖房において「1℃の重み」は非常に大きくなります。無理に薄着で耐える必要はありませんが、20℃を目安に設定し、足りない分をカーディガンや加湿器による湿度向上で補うことで、目に見えて請求額を抑えることが可能になります。
表:設定温度と消費電力削減率の目安
| 季節 | 推奨温度 | 1℃調整した場合の削減率 |
|---|---|---|
| 暖房(冬) | 20℃ | 約10%削減 |
| 冷房(夏) | 28℃ | 約13%削減 |
出典:環境省「家庭でできる節電アクション」等の資料に基づく一般的な傾向。
「つけっぱなし」と「こまめな消灯」結局どっちが安上がり?

エアコン運用における永遠のテーマである「つけっぱなし」か「こまめに消すか」。実はこれには明確な物理的理由に基づく正解があります。ポイントは、室温が安定するまでの「起動フェーズ」をどうコントロールするかです。
起動した瞬間が一番パワーを使う!「安定運転」をキープするコツ
こまめに電源を切ると、その都度ハイパワーな起動を繰り返すことになり、結果としてトータルの電気代が跳ね上がります。特に外が寒い日は、一度冷え切った壁や床を温め直すコストが非常に高いため、安定状態を維持する方が合理的です。
1ヶ月つけっぱなしにしたらどうなる?実際の電気代と損得の境目
多くの家電メーカーや検証機関によるシミュレーションでは、冬場の暖房において「30分〜1時間程度の外出」であれば、つけっぱなしにする方が安くなる傾向が示されています。逆に数時間以上の外出であれば、消した方がトータルの消費量は抑えられます。
外出時間と電気代の損得目安(暖房時)
| 外出時間 | 推奨する操作 | 理由 |
|---|---|---|
| 30分以内 | つけっぱなし | 再起動時の電力が維持電力を上回るため。 |
| 1時間以上 | 消した方が有利な場合が多い | 空調しない時間の電力削減が大きくなるため。 |
ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、お住まいの地域や当日の外気温、建物の構造に依存します。
お部屋の「気密性」も関係あり!お家に合わせた効率的な運転プラン
つけっぱなし運用の効果を最大限に引き出すのは、建物の気密性・断熱性です。高断熱な住宅や店舗であれば、一度温まった空気が逃げにくいため、安定運転時の電力が極めて低くなります。逆に、窓から冷気が入り込む古い木造住宅などの場合は、つけっぱなしにしても「維持」のために高いパワーを出し続ける必要があり、期待したほど安くならないケースもあります。こうした建物の特性診断を含めて専門的な視点を早期に入れることが、長期的なコスト抑制には欠かせません。
今すぐ現場でできる!エアコンの効率を最大限に引き出す節電のルール
エアコンだけに頼るのではなく、周辺の空気の流れや窓の状態をコントロールすることで、電力消費をさらに抑えることができます。これらは投資費用が少なく、即効性のある方法です。
暖かい空気は上に溜まる?サーキュレーターを回して足元まで温める方法
暖かい空気は密度が低く、部屋の天井付近に滞留し、冷たい空気は床に溜まります。この「温度のムラ」があると、エアコンのセンサーは「まだ部屋が寒い」と判断してフルパワー運転を続けてしまいます。ここで役立つのがサーキュレーターです。天井に向けて風を送り、空気をかき混ぜることで、天井付近の熱を足元まで降ろすことができます。配置はエアコンの対角線上が効果的です。
サーキュレーターや断熱対策をしても改善しない……そんな時は機器自体の効率をプロがチェックします。
※状況により最適な解決策が変わるため、まずは専門家への相談が近道です。
窓からの冷えが最大の敵!カーテンや断熱シートが空調を助けてくれます
冬場、室内の熱の約50%以上が窓から逃げ出すと言われています。いくら暖房を強めても、窓際で冷やされた空気が「コールドドラフト現象」として床を這い、足元を冷やし続けます。対策として、厚手のカーテンを床に届く長さで閉める、あるいは窓ガラスに断熱シートを貼ることで、窓からの熱流出を劇的に抑えられます。これはエアコンへの「外敵」を遮断することと同じであり、最も実務的な改善策と言えます。
2週間に1回でいいんです。フィルター清掃がもたらす驚きの風量アップ
定期的な清掃は電気代の削減と機器のトラブル防止を同時に実現する、管理の第一歩です。
頑張っても電気代が下がらない…もしかして機器のトラブル?

運用をどれだけ工夫しても電気代が異常に高い場合、それは設定や習慣の問題ではなく、機器本体の物理的な不具合や寿命かもしれません。
10年以上前の機種は要注意!古いコンプレッサーが電気を無駄に使う理由
エアコンの省エネ性能は、この10年で飛躍的に進化しています。10年以上前の機種は、現在の最新機種に比べて期間消費電力が3割から5割ほど多いことも珍しくありません。修理をして使い続けるよりも、最新の省エネモデルに更新する方が、月々の電気代削減額で数年以内に元が取れる場合が多々あります。特に業務用の場合は、更新のタイミングについて慎重な検討が必要です。
10年以上前のエアコンをお使いなら、最新機種への入れ替えで電気代が大幅に削減できる可能性があります。
※状況により最適な解決策が変わるため、まずは専門家への相談が近道です。
効きが悪いのはガス漏れのせい?冷媒ガス不足と消費電力の関係
「風は出ているのに暖かくない」と感じる場合、冷媒ガス(熱を運ぶガス)が漏れている可能性があります。ガスが不足すると、エアコンは目標温度に達しようとして常に全力疾走を続けますが、効率が非常に悪いため、電気代だけが高騰します。もし冷えや暖まりのスピードが以前より明らかに遅いと感じる場合は、ガス漏れ点検を早期に行うべきです。
室外機の周りに物を置いていませんか?置き場一つで電気代が変わります
室外機は「外気と熱を交換する場所」です。室外機の周囲に荷物を置いたりして空気の流れが遮られると、放熱・吸熱がスムーズに行えなくなり、コンプレッサーに過度な負担がかかります。室外機の周囲を整理整頓し、空気の通り道を確保することは、誰でも今すぐできる最高に効果的な節電アクションです。こうした設置環境の診断は、ReAirのような専門家への相談が最適解への近道となります。
よくある質問
Q:暖房の設定温度を20度にすると、1時間あたりいくらくらいかかる?
安定運転時であれば、一般的な家庭用エアコンで1時間あたり約3円〜20円程度です。理由は、設定温度20度はエアコンにかかる負荷が比較的少なく、省エネ性能の高い機種であれば消費電力を大幅に抑えられるからです。ただし、起動直後の30分〜1時間はハイパワーで稼働するため、1時間あたり40円〜100円程度に達することもあります。
Q:冷房と暖房、結局どっちの節電を優先して頑張ればいいの?
圧倒的に「暖房」の節電を優先すべきです。理由は、冬場の暖房は冷房に比べて設定温度と外気温の差が大きく、消費する電力量そのものが格段に多いためです。削減率が同じ10%であっても、元々の分母が大きい暖房の方が、実際に削減できる「金額」は大きくなります。
Q:古いエアコンを思い切って買い替えるだけで、本当に元は取れる?
10年以上前の機種をお使いであれば、多くの場合で数年以内に元が取れます。理由は、インバーター制御の進化や熱交換器の改良により、最新機種の消費電力が劇的に低減されているためです。実務上の補足として、店舗エアコンなどで毎日長時間稼働させている場合、年間で10万円以上の電気代差額が出ることもあります。
まとめ
冷房と暖房で電気代が高いのは、外気温との差が大きく「霜取り運転」などの特殊な負荷がかかる暖房です。電気代を抑えるための最も効果的なアクションは、設定温度を20℃目安に管理し、サーキュレーターや窓の断熱対策を併用してエアコンの負担を減らすことです。
また、こまめなオンオフよりも、状況に合わせた「つけっぱなし」運用を取り入れることで、起動時のピーク電力を賢く回避できます。もし、これらの工夫をしても電気代が下がらない場合は、機器の寿命や設置環境の不備かもしれません。
ご自身の環境でどの対策が最も効果的か迷われた際は、ぜひReAirへご相談ください。現場の状況に合わせた最適な「空調の守り方」をご提案し、コスト削減をサポートいたします。
参考文献
- みんなで節電アクション! | 家庭でできる節電アクション
- 省エネやってみた | 省エネポータルサイト
- シーズン中は・・・使い方ひとつで電気のムダが省けます|家庭用エアコン|関連製品|一般社団法人 日本冷凍空調工業会
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