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業務用エアコンでできる加湿の方法とは?
2021.09.24 空調機器導入ノウハウ
冬は乾燥する季節であり、手や足、顔などに塗る保湿クリームが活躍する時期でもあります。
乾燥してしまう原因は暖房を利用する際に空気が乾燥してしまうことにあり、暖房の効いた暖かい部屋で過ごす私たちの身体も乾燥しているのです。
それに伴い、冬は加湿器の必要性が高まり、需要も高まる傾向にあります。昨今の加湿器は携帯型の小さなものから大容量の大きなものまで様々ですが、加湿の方法も様々です。
この記事では加湿の種類やメリット、業務用エアコンでできる加湿の方法について解説します。
目次
加湿の種類
室内を加湿したいときには、加湿器を利用する方が多いのではないでしょうか。ですが、一口に加湿といってもその方法はさまざまで、加湿方法によってそれぞれメリットとデメリットがあります。
以下から加湿方法についてご紹介していきます。
気化式加湿
気化式加湿は、加湿エレメントと呼ばれるフィルターに水を浸透させ、そこへ風を当てて水を蒸発させることで空間を加湿します。
コップの水が蒸発するような、自然な蒸発作用を行うため、あまり早く加湿できないというデメリットがあります。
しかし、ヒーターを使用せず、風を当てるだけなので消費電力が抑えられるメリットもあります。
注意点として、加湿する際に水を沸騰させているわけではないため、カルキ汚れや雑菌が繁殖しやすく、加湿エレメントの定期的なメンテナンスと交換が必要になります。
蒸気式加湿
蒸気式の加湿は一次蒸気スプレー式と二次蒸気スプレー式、電力利用型蒸気発生器の3つに大きく分けられます。
一次蒸気スプレー式
一次蒸気スプレー式とは、ボイラーから熱源として供給される高圧蒸気を利用して加湿を行います。
そのため、蒸気加湿器には蒸気が必要となり、利用場所が工場など限定されてしまいます。
二次蒸気スプレー式
二次蒸気スプレー式も一次蒸気スプレー式と同様に、ボイラーから熱源として供給される高圧蒸気を利用して加湿を行います。
一次蒸気スプレー式との違いは、蒸気を直接空気に拡散するのではなく、蒸気を利用して水を加熱し蒸発させるという間接的な方法で加湿します。
電力利用型蒸気発生器
電力利用型蒸気発生器とは、文字通り電気を利用して水を加熱し、沸騰した際の蒸気で加湿します。
後述する、パン型加湿も蒸気式加湿に分類されます。
パン型加湿
パン型加湿の「パン」とは蒸発皿のことで、蒸発皿の中の水をヒーターで加熱・沸騰させ、蒸発した水分を空気中に拡散します。
主にパッケージエアコンやダクト内などに装着して加湿を行います。
ヒーターを用いるのでパワフルに加湿できますが、加熱するために電気代が高くなることがデメリットです。
水スプレー式加湿
水スプレー式加湿は、霧吹きに似ています。常温の水を非常に微細な水滴として霧状にし、それを噴出します。
すると部屋の気流と熱交換が起きて水が蒸発し、部屋が加湿されます。
加湿のメリットとは
加湿器などの機械を使って加湿を行い部屋の湿度を高めることによって、以下のようなメリットがあります。
風邪やインフルエンザの予防
乾燥が進むと肌が乾燥し、それに伴い身体の粘膜のバリア機能が弱まります。
そのため空間が乾燥していると、風邪やインフルエンザにかかりやすくなります。
風邪やインフルエンザウイルスは水分を含んでいますので、空気が乾燥した環境では、水分が蒸発してウイルスなどの細菌が軽くなり、長い時間、空気中を漂うことができるようになります。
気温と湿度が低くなる冬は、「人のバリア機能の低下」と「ウイルスの活性化」の2つの理由から風邪やインフルエンザにかかりやすくなるわけです。
つまり加湿を行うことでウイルスは空気中の水分を取り込み、重くなるため、長時間空気中に漂うことができなくなります。
このことから、加湿をすることで人のバリア機能を正常に保ちつつ、ウイルスも働きづらい環境にすることができます。
▼参考文献:「エステー 冬になると、風邪やインフルエンザが流行するのはなぜですか?」
https://products.st-c.co.jp/plus/question/answer/14.html
暖房効果を向上させる
加湿とは「湿度を高めること」だけを指すため、加湿をしたからといって必ずしも室温も上がるわけではありません。
しかし、湿度によって体感温度は大きく異なります。例えば室温が10℃の部屋があったとして、湿度が高い場合、と低い場合どちらが暖かく感じるかというと、人は湿度が高かった方が暖かいと感じます。
そのため、実際に室温が上がっていなくても、加湿を行うことで実質的に暖房効果を高めることができるのです。
もちろん暖房と併用すればその効果はさらに大きくなります。
実は部屋を暖める「暖房」は、室温は上がりますが湿度は下がってしまいます。
空気は暖かいほど多くの水分を含むことができるという性質を持っています。
暖房によって空気が暖められると、空気は膨張し含むことができる水分量は多くなります。
しかし、暖房は水分を供給することはできないので、空間中の水分の絶対数に変化はありません。
湿度は部屋の水分量ではなく、空気中を占める水分の割合で決まりますので暖房を使用すると湿度が下がってしまうわけです。
そのため、加湿ができるエアコンを使用したり、エアコンとは別に加湿器を設置したりすることは、暖房効率を考えると非常に理にかなっているといえます。
業務用エアコンでできる加湿方法
店舗やオフィスのような広い空間では、家庭よりも湿度調節は難しくなってしまいます。
そのため、業務用の加湿器を設置することが好ましいでしょう。
自然蒸発式加湿器
業務用エアコン自体に加湿機能が付いたものはありませんが、天井内に埋め込むタイプなど、一部のエアコンであれば別途オプションで加湿器を付けることができます。
また、一部の特殊な機種は加湿機能があらかじめ備え付けられているものもあります。部屋の用途によってはそれらを使用するのも1つの選択肢です。
業務用エアコン以外にできる加湿方法
業務用エアコンや高機能換気設備(全熱交換器)で加湿ができる機種があります。
家庭用エアコン うるるとさらら
人の出入りが少なく、それほど広くない空間や、ご家庭での使用ならダイキン社の「うるるとさらら」シリーズがおすすめです。
一般的な家庭用エアコンは換気ができませんが、うるるとさららは外気を取り込む方式になっています。
うるるとさららは、室外機に搭載された加湿ユニットが屋外の空気を取り込む際に水分だけを取り出して部屋を加湿する仕組みになっていますので、従来の加湿器のように水を補給することなく暖房時に自動で部屋を加湿してくれます。
高機能換気設備(全熱交換器)
天井埋め込みタイプ以外の業務用エアコンを使用している場合には、加湿機能付きの全熱交換器を設置するという選択肢があります。
高機能換気(全熱交換器)は、外気を取り入れる「給気」と、空気を外に出す「排気」をする事ができ、室温を保った状態で換気ができますので、窓を開けずに換気ができる設備になります。
▼全熱交換器についてはこちら
夏は室内の冷えた空気を利用して入ってくる外気を冷やし、冬の寒い季節では暖まった室内の空気を利用して、冷たい外気を暖めてから室内に入れる仕組みになっていますので、
冬は湿度対策とともに換気も重要になるので、加湿機能が付いている高機能換気設備(全熱交換器)の導入もオススメです。
まとめ
今回の内容は加湿による健康の維持、室温の変化、ウイルス対策について紹介いたしました。加湿や換気でお困りごとがございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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