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セントラル空調とは?個別空調との違いと用途を解説!
2024.06.07 空調機器導入ノウハウ
空調設備は建物の規模や用途、また設置箇所などのさまざまな条件に合わせて選定します。
商業施設やオフィスビル、ホテル、総合病院などの大型施設では、セントラル空調という空調方式が多く採用されています。
一方、住宅やオフィス、飲食店などでは、各部屋・フロアごとに空調をおこなう個別空調という空調方式を採用していることが多いです。
設置工事コスト、運用コスト、メンテナンス方法をふまえて、それぞれどういった環境が適しているのでしょうか。
この記事では、セントラル空調と個別空調の違いや業種ごとの用途、また、セントラル空調導入時の注意点として、初期費用・省エネ効率・メンテナンス方法について解説していきます。
目次
セントラル空調とは
セントラル空調とは、熱源機(チラー)、エアハンドリングユニット、ファンコイルユニットを組み合わせて、建物全体を一括して空調を行う方式です。
主に学校やショッピングモール、総合病院などの大型施設で採用され、室内全体を均一に冷やしたり暖めたりすることに適しています。
セントラル空調と個別空調との違い
セントラル空調は全体を均一に空調するのに対し、個別空調は各部屋やフロアごとに個別で空調設備を設置し、それぞれの室内温度の調整ができます。
個別空調のメリットは、各部屋ごとに温度調整ができるため、冷えすぎや温めすぎの問題に対応が可能な点です。
一方、セントラル空調は細かな温度調整が難しいため、エリアごとの調整が難しいというデメリットがあります。
そのため、それぞれの特徴を把握し、適した方式で空調設備を設置します。
セントラル空調 | 個別空調 | |
---|---|---|
初期費用 | 高い | 低い |
制御の柔軟性 | 低い | 高い |
メンテナンス費用 | 高い | 低い |
長期運用コスト | 低い | 低い |
設置工事などの初期費用の違い
まずはセントラル空調と個別空調での初期費用の違いについて、解説をしていきます。
セントラル空調
セントラル空調は、大規模なダクトシステムやエアハンドリングユニットが必要なため、設置費用が高額になりやすい傾向にあります。
また、建物の新築時に設置する場合も工事費用がある程度かかりますが、既存の建物に後からセントラル空調を導入するとなると、工程が増えたり、複雑な対応が求められるためさらに費用が高くなる場合があります。
個別空調
個別でエアコンを設置するため、設置台数によって初期費用は変動します。
また、セントラル空調のように大規模なダクトシステムが不要のため、工事にかかる初期費用はセントラル空調よりも抑えることができます。
運用コストの違い
では、運用コストの面ではどうでしょうか。
以下からそれぞれの運用コスト面について解説します。
セントラル空調
セントラル空調はコアタイム(9:00から17:00など施設による)で使用した電力は共益費として含まれるケースも多く、テナントなどで使用した電気代を削減することが可能です。
そのため、長期的な観点で、運用コストが抑えられます。
個別空調
空調する必要のない部屋はオフにすることでエネルギー消費を抑えられます。
しかし、複数のエアコンを同時に使用する場合、エネルギー消費量の合計が高くなってしまうといった可能性もあります。
メンテナンスの違い
セントラル空調と個別空調のメンテナンスについては以下の通りです。
セントラル空調
セントラル空調は一つの制御システムで空調設備を全て管理しているため、制御システム単体のメンテナンスは容易です。
しかし、ダクトを含む設備全体のメンテナンスは規模が広く、時間や労力が必要なためメンテナンスコストも高くなることが見込まれます。
個別空調
ルームエアコンの場合は設置構造がシンプルのため、設置台数分の手間はかかりますが、メンテナンス自体は比較的容易に行うことができます。
パッケージエアコンや業務用マルチエアコンの場合でも、セントラル空調と比較してメンテナンス規模もそれほど大きくないので、メンテナンスコストも多少抑えられる傾向にあります。
セントラル空調の用途
セントラル空調は大規模な空間の空調管理を得意とすることから、さまざまな大型施設で広く利用されています。
以下から、セントラル空調が特に適している業種について解説します。
商業施設・オフィスビル
多数の店舗がある商業施設や、オフィス・会議室が入っているビルにはセントラル空調が適しています。
こういった建物は、広範囲にわたる温度管理と空気の循環が必要ですが、セントラル空調はそれらの要件を満たすことができるため、適しているといえるでしょう。
ホテル・病院
病院では、待合室や病室、ホテルではロビー・レストランなど、フロアごとに異なる温度管理が求められます。
一見すると個別空調の方が適しているかと思われますが、実はセントラル空調も「ゾーン制御」「ビル管理システム(BMS)」を活用することで、各フロアごとに異なる温度で管理することができます。
セントラル空調のゾーン制御とは、サーモスタットやバリアブルエアボリューム(VAV)システムを活用することで、各フロアごとに風量と室温管理が可能となります。
セントラル空調は一括管理が基本であるものの、上記のようにゾーン制御やビル管理システムを活用することで、エリアごとの異なる温度管理にも十分に対応できます。
ホテルのような多様な用途を持つフロアでも、ゾーン制御やシステムを利用したで設計・運用をしていくことで、快適な環境を提供することが可能です。
セントラル空調の導入時の注意点
セントラル空調の導入時に注意しておきたい点について解説していきます。
セントラル空調の設置計画と設計
セントラル空調を採用する前に、設置を検討する建物の用途や空調が必要な規模と箇所、利用者の想定人数などを考慮し、それに基づいた適切な設計が必要です。
また設置するフロアや室内が快適に過ごせる空間になるように温度、湿度、換気の要件を洗い出し、それぞれの要件を満たすような設計が必要になります。
エントラル空調は前述したように、「ゾーン制御」「ビル管理システム(BMS)」を利用することで、各フロアごとに効率的な風量調整、温度管理を可能にします。
そのため、どの規模の空調が必要か算出し、その上で冷暖房時の負荷計算からシステムの能力と規模を決めます。
これらの計算は空調専門業者へ要件を相談しながら算出してもらいましょう。
まとめ
適切な空調方式は、設置環境によって異なります。
主な判断材料としては、広さや人数などが挙げられますが、用途などによっても変わってくるため、導入の際には空調の専門業者へ相談することをおすすめします。
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