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【省エネ対策】EMS導入で実現できるエネルギー最適化とは?仕組みやメリットについても解説
2025.03.21 空調機器活用ノウハウ

世界的なエネルギー問題の影響を受け、日本でも電気料金の高騰やCO2排出削減といった課題に直面する企業が増えています。
こうした課題の解決策として、近年注目を集めているのが エネルギーマネジメントシステム(EMS) です。
この記事では、EMSの概要や導入が求められる背景、仕組みや種類、導入によるメリットについて詳しく解説していきます。
EMS(エネルギーマネジメントシステム)とは?
EMSはエネルギーマネジメントシステムの略称です。
エネルギーの使用状況をデータ化し「見える化」することで、どこでどれだけの電力が使われているのかを把握し、最適なエネルギー運用を実現するシステムです。
工場やオフィスビルなどの施設において、電力の需給バランスを最適化する管理や手法がEM(エネルギーマネージメント)であり、EMSはその具体的なツールに該当します。
EMSが必要とされる背景
EMSが求められる理由は、地球規模の環境問題に対応するためです。
地球温暖化が進む現在、地球全体の気候変動や資源の枯渇に対して、カーボンニュートラルやSDGs(持続可能な開発目標)など、環境問題に対する行動が求められています。
また、エネルギー消費を抑え、電力を無駄に消費しないようにすることは、コスト削減にもつながります。
そのため、現状の資源で環境への負荷を最小限にしつつ、効率よくエネルギーを利用することが重要となります。
国内のEMS市場規模は拡大している
富士経済の調査によると、EMSを導入する工場やビル、家庭が年々増加しています。
2018年度のEMS国内市場規模は約8,800億円でしたが、2019年度には約1兆円を突破しています。
そして2030年には1.7兆円に達するとの予測もあります。
参考:Fuji Keisai Group「エネルギーマネジメントシステム、関連設備・サービス市場を調査」
EMSの仕組みと種類
EMSはエネルギーの消費状況を可視化し、各種設備の稼働率をコントロールするために導入します。
では、その仕組みや種類をみていきましょう。
EMSの仕組み
EMSの仕組みとしては、主に3ステップに分けられます。
1、計測してモニタリングする
工場やオフィス、自動車などに設置されたセンサーで、電力、ガス、水などのエネルギー使用状況をリアルタイムで収集します。
2、データを収集して分析する
集めたデータを分析し、使用パターンや効率性を割り出して改善ポイントを作成します。
3、エネルギー使用を制御し最適化する
必要に応じてエネルギー使用を自動調整し、最適な運用を実現します。
EMSの種類
一言でEMSと言っても、その対象ごとに種類があります。以下の4つを順番に紹介します。
- FEMS(Factory Energy Management System)
- BEMS(Building Energy Management System)
- HEMS(Home Energy Management System)
- CEMS(Community Energy Management System)
FEMS(Factory Energy Management System)
FEMS(フェムス)は工場向けにエネルギー管理をするEMSです。空調や照明のほかに、製造ライン設備のエネルギー消費をモニターやパソコンで管理・制御できます。
また、一部のFEMSは、生産計画やサプライチェーンと連動させることにより、生産性の向上とエネルギーコストの削減が可能です。
BEMS(Building Energy Management System)
BEMS(ベムス)は、オフィスビルや商業施設が対象のEMSです。
ビル内の消費エネルギーをリアルタイムで監視・分析し、空調・照明・給排水設備などの最適化を図ることで、省エネとコスト削減を実現します。大規模ビルではビル中央監視制御システム(BAS)と連動してエネルギー需要の最適化を目指します。
HEMS(Home Energy Management System)
HEMS(ヘムス)は、 家庭向けのエネルギー管理システムです。
一部のHEMSはAIやセンサーを利用して照明や空調、冷暖房などの設備を自動制御したり、電気やガスの「見える化」が可能になります。
CEMS(Community Energy Management System)
CEMS(セムス)FEMS・BEMS・HEMSで管理される消費者のエネルギー需要に対して、電力供給の最適化や再生可能エネルギーの活用を調整する役割を担います。
EMS導入のメリット4つ
EMSの導入は、カーボンニュートラルやSDGsへの対応だけでなく、以下のような 4つの具体的なメリット があります。
- エネルギーの使用状況把握
- エネルギーの無駄を発見し状況改善
- 老朽化や不具合の特定
- エネルギー運用の最適化
エネルギーの使用状況把握
何事にも言えることですが、 漠然と使っているだけでは、実際にどれだけのエネルギーを消費しているのか把握しにくいものです。
エネルギー消費を抑えるためには、まず設備の使用状況を「見える化」することが重要です。
データを収集・分析し、グラフなどで視覚化することで、エネルギーの使用状況を把握できます。
老朽化や不具合の特定
長年稼働し続けている工場は、老朽化や不具合が発生して稼働効率が低下するといった問題が発生しやすくなります。
そのようなときにEMSがあれば、老朽化した設備や不具合が発生した場所の特定が可能です。
人では見落としがちな些細な不具合・異常でも、EMSであればエネルギー消費の変化から検知できます。
そのため、最悪の事態が発生する前に察知できるため、ひどくなる前に修理や買い替えが可能です。
ただし、あまりに古すぎる生産設備など、ところによってはEMSによるデータ取得ができないということもあり得ます。
EMSでエネルギー使用状況を見える化へ! 省エネを推進させよう
EMSを導入することで、 工場やオフィス、家庭においても省エネの推進が可能になります。
ただし、初期コストがかかることや機器の仕様によっては導入が難しいケースがある他、運用には専門的な知識も求められます。
まずは導入できるのかどうか、そして導入にはどのような条件が必要かなどを、十分に検討し、自社の状況に適した形で活用することが重要です。
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