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飲食店やオフィス、倉庫や工場などで使う業務用エアコンを紹介
2023.04.22 空調機器導入ノウハウ
エアコンには業務用エアコンと家庭用エアコン(ルームエアコン)があるのをご存じでしょうか。飲食店やオフィスあるいは倉庫など、仕事の現場でも快適に過ごす、仕事をするためにはエアコンは欠かせません。
しかし、エアコンは室内や屋内の広さに合わせた性能や台数を用意するだけではエアコンの効果を十分に発揮することができません。
業務や環境に適した性能を持ったエアコンを選ぶことが大切で、エアコンにも適材適所がありますので適切なエアコン選ぶ必要があります。この記事では業務用エアコンと家庭用エアコンの違いや、設置場所に応じた選び方のポイントについて解説します。
▼業務用エアコン、高機能換気設備の導入をご検討の方は以下の記事もご覧いただいております。
目次
エアコンには業務用エアコンと家庭用エアコン(ルームエアコン)がある
エアコンは使う用途によって、業務用エアコンと家庭用エアコン(ルームエアコン)に分類されます。現在利用しているエアコンが何なにかは、エアコンの形状や本体に記載の型番、銘板ラベルから判別可能です。
家庭用なら「ルームエアコン」、業務用なら「パッケージエアコン」と記されています。それ以外の名称が記載されている場合は、メーカーに問い合わせることで確認ができます。一般的に、家電量販店で取り扱っている形式のエアコンは家庭用のルームエアコンになります。業務用エアコンは、家電量販店で販売されていることはほとんどなく、メーカーでも直接販売している企業も少なく、多くは空調会社で購入、施工工事をすることが可能です。
業務用エアコンはルームエアコンと比較して出力が高く、表記されるパワーの単位も「〇畳」ではなく、「〇馬力」と異なります。また業務用エアコンは耐用年数がルームエアコンよりも長いことが特徴です。
▼業務用エアコンやルームエアコンの性能やパワーについては以下で詳しく解説しています。
ルームエアコンと業務用エアコンを適した環境で設置しないとどうなるか
もちろん、業務用エアコンを一般家庭で使うことも、家庭用エアコンを店舗やオフィスなどの業務用として利用することも可能です。しかし、業務用エアコンでもルームエアコンを利用する環境に最適でない場合は、当然期待した効果は得られません。
例えば、面積が20畳以上の広いオフィスへルームエアコンの10畳タイプを設置したとしても、当然部屋の広さとエアコンの性能が釣り合っていないため本来の性能を発揮することができません。当たり前ですが、しっかりと室内を空調するためには部屋の広さにあったエアコンを設置しなくてはならず、パワーが大き過ぎず低過ぎず適切な性能のエアコンを選ぶことが基本です。
また、仮に部屋の広さを補うために複数台の家庭用エアコンを設置する場合、ルームエアコンは業務用エアコンのように複数のエアコンを一元管理することができず、連動させて動かすこともできません。そのため、ルームエアコン個々で稼働させる必要があり、広い室内の室温を保つためにエアコンの動作負荷が高くなり、故障しやすくなる場合があります。
業務用エアコンとルームエアコンの決定的な違いは3つ
業務用と家庭用エアコンには「出力」「機能」「設置難易度」の3つで違いがあります。
エアコンの出力が異なる
業務用エアコンは、広い空間や人の出入りが多い空間であっても、その能力が発揮できる設計になっており、一般的に温度調整の安定度や耐久性などに優れています。家庭用エアコンの出力は、家庭空間で快適に過ごすせるように、その風量や冷却機能が調整されています。その出力は0.5馬力から3馬力ほどです。
業務用は、熱量の高い場所や外気が入り込みやすい場所を想定して設計されているため、出力が高く調整されています。その出力は1.5馬力から12馬力ほどです。
電力消費量や契約電力が異なる
もちろん、消費電力量にも差があります。家庭用では単相で100Vもしくは200Vのモデルが主流です。対して業務用では三相200Vを使うものが少なくありません。単相や三相とは、電力を伝達させるための方法です。主に消費電力量の少ない家電では単相が、大型電気製品には三相が使われます。
三相を使う場合、基本料金が単相よりも高くなります。しかし使用量料金は安くなるので、電気代と設置費用のバランスを考えてエアコンを探すのも、賢い選び方であるといえるでしょう。
エアコンの形状と設置工事の難易度
家庭用エアコンの多くは壁掛け式のため、元々設置されていた箇所へ設置することもできますし、物件によってはエアコン用の通気口が設けられているため、大掛かりな工事が必要なケースは多くありません。仮にエアコンの通気口がない場合でも、家屋の壁に通気用の穴を設けるだけなので場合によっては工事自体ができない場合もありますが、業者へ依頼すれば比較的簡単に工事することが可能です。
しかし業務用エアコンには壁掛け式以外に、天井埋め込み型・天井吊型・床置き型など、さまざまな形状が存在します。それぞれの形状によって設置工事の方法や作業工程が異なります。特にこれまで業務用エアコンを設置していなかった環境では、配管や設置スペースの確保が必要になり、それらのスペースが確保できない場合には、業務用エアコンの設置に大規模な工事が必要となります。そのため、ルームエアコンと比較して業務用エアコンの設置は難易度が高く、簡単に設置することはできないといえます。
飲食店で利用する業務用エアコンの選ぶポイント
業務用のエアコンを選ぶときには、どのような場所で使うのかを考慮しなければなりません。飲食店などに業務用エアコンを導入する場合には、設置場所が重要なポイントです。
調理場は厨房用エアコン
調理場は、冷蔵庫やコンロといった熱源が近いだけでなく、調理で発生する油や煙でエアコンが非常に汚れやすい環境になりますので、厨房用に対応していない業務用エアコンでは、すぐに壊れやすくなってしまいます。
通常よりも油や煙などの汚れに強く、出力が大きく冷房効果の高い厨房用エアコンの設置が推奨され、厨房用エアコンは衛生面にも優れており、簡単にフィルター交換やエアコン内を清掃しやすいモデルが多く、厨房のような厳しい環境に適した業務用エアコンとなります。
客席の業務用エアコンの選び方
ホールや客室に設置する業務用エアコンは、室内の形状や広さによって必要な性能、出力が大きく異なります。一般的に、1.5馬力の業務用エアコンで12平米から20平米、3.0馬力では21平米から35平米、6.0馬力では43平米から70平米の広さを空調できると言われています。
業務用エアコンを探す際には、これら『馬力』の数値を目安に検討するとよいでしょう。また、飲食店で利用する業務用エアコンは、お客様が店内で快適に過ごしていただくために、さまざまな配慮が必要です。例えば冷暖房の風が直接お客様に当たらないようにしたり、店内のとある箇所だけが冷え過ぎたり暑くなり過ぎたりしないようにしたり、どこにいても一定して快適に過ごせる環境を提供する必要があります。
エアコンの機能で人感センサーが付いている機種や風向き調整が細かく自動で調整できるモデルのエアコンもありますので、導入を検討される際は機能から探してみることもおすすめです。なお、店舗内装のデザインを気にする場合には、天井埋め込み形のような、空調が目立ちにくくインテリアの邪魔をしないモデルもありますので、スタイリッシュでデザインされた業務用エアコンもおすすめです。
オフィス用の業務用エアコン
オフィス用の業務用エアコン選びで重視したいのは、オフィスサイズに合った出力のエアコンを選ぶことです。その際には、広さだけではなく建物構造にも注意しましょう。
建物構造はエアコンの効果だけでなく、設置場所に影響を与えるからです。建物構造の断熱効果が弱い場合には、オフィスサイズに最適と考えられる出力よりも、大きな能力を持ったエアコンを選ぶようにしましょう。
室外機がいくつ置けるか
オフィスビルでは、部屋の間仕切りや室外機の置き場所によって、置けるエアコンの種類が限られます。室外機を置くスペースが限られている場合には、マルチタイプのエアコンを選択するとよいでしょう。
マルチタイプは室外機1台に対して、複数の室内機を設置できるため、床面積が広いオフィスに最適です。また、全てのエアコンを1カ所で管理できるため、ランニングコストを下げる効果も期待できます。
なお、室外機の数が少ないほど、エアコンの設置費用は安くなります。
倉庫で使う業務用エアコン選び
倉庫で、まずチェックしたいポイントは、天井の高さです。多くの倉庫はオフィスよりも天井が高く作られており、室内空間がとても大きくなっています。
そのためエアコンの効きがよくありません。倉庫内で業務用エアコンを使うときは、倉庫全体を温度調節するのか、作業場所だけで済ませるのかを選択する必要があります。
倉庫全体の温度を調整するなら、大型で出力が高い床置き型のエアコンが人気です。作業場所だけを温度調節する場合には、業務用スポットクーラーの使用も考慮してみましょう。
粉塵対策ができているエアコンは人気
倉庫は取り扱う商品によって、その環境が大きく変わります。特に粉塵がでるものを扱う倉庫では、エアコンの機能に粉塵を抑え、倉庫の機器が劣化するのを防ぐ機能が求められます。
例えば、空気清浄機能やフィルター交換が簡単なタイプのエアコンです。これらの機能を持たないモデルでは、粉塵によってエアコン自体が壊れてしまう場合があるからです。
倉庫はほこりが溜まりやすい場所です。そのため一般の倉庫でも粉塵対策がなされたエアコンは人気があります。
ペアタイプのエアコンが便利
鮮度や品質の保護のために細やかな温度調整が必要な倉庫では、室外機と室内機がセットになったペアタイプのエアコンが便利です。
万が一エアコンが故障してしまったとき、マルチタイプのエアコンでは、倉庫全域で温度管理ができなくなってしまいます。
しかし、ペアタイプのエアコンなら、1台壊れたとしても、使っているエアコン全てが止まることはありません。故障のリスクを回避するのに最適です。
用途に合った業務用エアコンの選択が大切
飲食店・オフィス・倉庫への設置に向いたエアコン選びのポイントを紹介しましたが、必ずしも上記の内容通りのエアコンを選ばなければいけないというわけではありません。
業種によっても必要な能力は異なる
例えば、エアコンを設置したい店舗が焼肉店やお好み焼き店のように、客席で調理するタイプのお店の場合は、通常の飲食店で使うエアコンより、1.5倍ほどの出力を持ったモデルが最適です。
客席に熱がこもりやすく、通常の出力ではエアコンの効果が足りないからです。また、客席で調理するタイプの店舗は、煙や油が空気を汚しやすいので、空気清浄機能がついているエアコンを使うとよいでしょう。
こまめな清掃が必要になるので、内部洗浄ができるモデルも便利です。
人数や換気量を考慮しよう
室内の熱量が高い環境や人の出入りが多い場所では、温度変化が激しく、エアコンの効果は薄くなります。そのような環境で、広さのみを基準にエアコンを選ぶと、まったく性能が足りなかったということになりかねません。
エアコンを選ぶ場合、室内の広さはあくまで目安です。室内にどれだけの熱が発生するのか、室内の空気がどれだけ換気されるのかを考慮して選ぶようにしましょう。
全域を空調するのが難しい場合には、大型扇風機やシーリングファンを用いることで、温度の調整がしやすくなります。
環境に最適なエアコンを選ぶようにしよう
業務用エアコンを選ぶときは、まず設置の目的を考慮しましょう。飲食店なら、厨房と客席とで分けて業務用エアコンを選ぶことが大切です。
オフィスならば、オフィス環境と設置スペースへの配慮が重要です。倉庫ではどのような物品を扱うかによって、業務用エアコンを設置する目的が変わります。
また、エアコンに求められる機能は、そこで行われる業務や設置環境によっても変化します。なお、室内環境の違いに応じて室内機の機能を使い分ける業務用エアコンも存在します。
エアコンを使いやすくする「個別運転」
環境に合わせて設置するエアコンの種類を変えたくとも、コストや設置場所の問題で思うようにできないこともあります。そんなときに便利な機能が「個別運転」です。
個別運転は、設置された室内機を別々にコントロールする機能です。「個別運転」ができるエアコンなら、大きな出力が不要な場所だけ、エアコンの出力が下げられます。
例えばデパートやビルの待合室、倉庫の仮眠室などです。また、室内機を同時に動かしたい場合には「同時運転」の機能を持つエアコン用意するようにしましょう。
業務用エアコンはよく考えて選ぼう
業務用エアコンと家庭用エアコンは、使う環境が異なるエアコンです。設置にあたっては、職場環境や仕事の内容をしっかり分析して、選択する必要があります。
自分で最適な業務用エアコンを判断できない場合には、専門家やメーカーの知識を頼るのが良い方法です。エアコンは決して安くはありません。
買ってから後悔することのないように、製品をよく検討してから購入するようにしましょう。
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