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窓のないオフィスの換気問題を解決!法定換気量を維持しながら換気する方法や工事について解説

2021.08.06 空調機器活用ノウハウ

窓のないオフィスの換気問題を解決!法定換気量を維持しながら換気する方法や工事について解説
この記事の重要ポイント

窓のないオフィスにおける換気不足を解消し、快適な室内環境と法令遵守を両立させるための要点を整理しました。

  • 法令遵守:建築基準法やビル管理法に基づき、一人あたり毎時30㎥の換気量確保が必要です。
  • 全熱交換器の活用:窓がない現場では熱回収を行いながら換気できるロスナイ等の導入が空調効率の面で現実的です。
  • 賃貸での対策:大規模工事が困難な場合でも、空調設定の見直しやCO2センサーによる見える化が有効です。
  • 専門調査:パーティション変更等で気流が変わっている場合、実測による現状把握が改善の第一歩となります。

 

窓のない中部屋や地下のオフィスで「空気が重い」「頭がぼんやりする」と感じることはありませんか。窓のないオフィスでの換気問題は、従業員の生産性低下を招くだけでなく、法令(建築基準法ビル管理法)に定められた基準を満たさないリスクを孕んでいます。

物理的な窓が存在しない環境では、機械設備によって外気を取り込み、汚れた空気を確実に排出する仕組みを構築しなければなりません。しかし、単に換気量を増やすだけでは冬場の冷気や光熱費の上昇が課題となります。

この記事では、法定換気量を維持しながら、快適性と省エネを両立させる設備導入のポイントや、工事が難しい賃貸オフィスでも実施可能な実務的改善策について詳しく解説します。

室内環境基準と必要換気量

室内環境基準と必要換気量

オフィスの換気環境を適正に保つためには、感覚的な判断ではなく、法令に基づいた定量的な基準を指標にする必要があります。窓のない空間は、建築基準法において無窓居室として扱われる場合があり、一般的な部屋よりも厳格な換気性能が求められることがあります。

一人あたり30㎥/hの計算方法

日本のビル管理法や厚生労働省の指針では、良好な室内環境を維持するための換気基準として、一人あたり毎時30㎥の換気量を確保することが推奨されています。

必要換気量の算出実務:

計算式は「30㎥/h × 収容人数」となります。最大収容人数が10名の会議室であれば、毎時300㎥の外気導入能力が必要です。パーティション等で仕切られた個別の空間ごとにこの能力を担保できているかが、実務上のチェックポイントとなります。

二酸化炭素濃度1,000ppm以下を保つ

換気が十分に行われているかを確認する最も確実な指標は、室内の二酸化炭素(CO2)濃度です。ビル管理法では、室内の二酸化炭素含有率を1,000ppm以下に保つことが規定されています。窓のないオフィスでは外気の流入が制限されるため、この数値が容易に上昇しやすく、眠気や集中力の低下、感染症リスクの増大を招きます。

建築基準法における無窓居室の基準と排煙設備

項目 建築基準法の主な基準 実務上の留意点
換気設備 機械換気設備または中央管理方式の空気調和設備 窓がない場合、自然換気は認められない。
排煙設備 床面積50㎡以上の無窓居室には原則設置義務 火災時の煙を排出する専用経路が必要。
内装制限 壁および天井の仕上げを不燃・準不燃材料にする 改装時に安易に木材等を使用できない。

窓のないオフィスでリノベーションや設備改修を行う際は、消防法や建築基準法に則った安全性の確保が前提となります。特に大規模なオフィスビルでは、空調システム全体との整合性が問われるため、初期段階での法規整理が不可欠です。

窓のない環境で外気を取り入れる機械設備

窓のない環境で外気を取り入れる機械設備

熱回収で冬の冷気を防ぐ全熱交換器の導入メリット

窓のないオフィスの救世主となるのが、全熱交換器(ロスナイやベンティエールなど)です。

全熱交換器の導入効果:

外の冷たい空気と中の暖かい空気の「熱」を交換してから取り込むため、空調エネルギーの約60〜80%を回収できます。窓換気で起きがちな「冷気の直撃」を防ぎつつ、エアコンの負荷を抑えた省エネ換気が可能です。

天井裏スペースがない現場でも設置可能な壁掛形・床置形

後付け工事では天井裏の高さが足りないことが多々あります。そのような現場では、天井解体が不要な壁掛形や床置形が現実的な選択肢となります。露出設置となるため美観上の検討は必要ですが、ダクトの引き回しを最小限に抑え、工事費と工期を大幅に短縮できるメリットがあります。

既存ダクトの経路調査と給排気バランス

「換気扇は回っているのに空気が淀んでいる」場合、給気と排気のバランスが崩れている可能性があります。 案件ごとのダクト構成や天井裏の状況により最適解が異なるため、手戻りを防ぐためにも早期に専門的な現地調査を行うことが推奨されます。

設備改修が困難な賃貸事務所での改善策

設備改修が困難な賃貸事務所での改善策

空調機の外気取り入れ設定変更とフィルター清掃の徹底

中央管理方式の空調システムには、外気を取り入れるダンパーが備わっています。この設定変更により、機械を買い替えずとも換気量を増やせる可能性があります。また、フィルターの目詰まりを解消するだけで実効的な換気量は劇的に改善します。

空気の停滞を解消する気流設計

窓がない空間では、空気が動かずに溜まってしまうデッドスペースが必ず発生します。サーキュレーターや扇風機を利用して、機械換気の吹出口から吸込口への「空気の道」を人工的に作る意識を持つことが、閉鎖的なオフィスの息苦しさを解消する近道です。

従業員の不満を解消するCO2センサーの設置

「見える化」による安心感の醸成:

信頼性の高いCO2センサーを設置し、数値をモニターに表示します。基準値(1,000ppm)を下回っていることを客観的なデータで示すことは、窓がないことへの心理的な不安を払拭し、従業員の信頼を得るために非常に有効です。

よくある質問

Q. 24時間換気扇をつけっぱなしにすると電気代が心配です。

A. 換気扇そのものの電力消費は小さい(月数百円程度)ですが、外気をそのまま導入し続けるとエアコンの稼働率が上がります。全熱交換器であれば室温を維持しながら換気できるため、トータルの光熱費を低く抑えることが可能です。

Q. ビル管理会社が「換気量は十分だ」と言うが、実感が伴いません。

A. 竣工時の設計値と、現在のパーティション配置による気流の遮断が乖離しているケースが多々あります。専門会社に依頼して各吹出口の有効風量を実測することで、法令基準を満たしているか客観的に証明・判断できます。

まとめ

窓のないオフィスにおける換気課題の解決は単なる機器の設置に留まらず、建築基準法やビル管理法の遵守、そして従業員の健康維持という多側面からのアプローチが求められます。一人あたり毎時30㎥の換気量を確保するためには、現状の風量実測と、必要に応じた全熱交換器の導入、または気流設計の見直しが不可欠です。

窓のない現場特有のダクト制限や法規への適合状況を正確に判断するには、早い段階での専門家への相談が有効です。現場の状況に合わせた最適解を導き出すことで、無駄なコストを抑えつつ、安全で快適なオフィス環境を実現できます。換気に関するお悩みは、AUTHORITY CREATIVE WORKSまでお気軽にお問い合わせください。

参考文献


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