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介護施設の換気と加湿の最適な方法を解説
2024.01.05 空調機器活用ノウハウ
高齢者が利用する介護施設では、重症化リスクの高い方や基礎疾患を持っている方もいるため、換気や湿度の調整はとても大切です。
しかし、温度と湿度の重要度がわかっていても、具体的にどのような対策を取ればいいかわからないと思われる方もいらっしゃるでしょう。
ここでは介護施設における温度と湿度の調整方法や、換気のポイントなどについてご紹介していきます。
快適な室内の空気環境を作っていくためにはどうすればよいのか、順番に確認していきましょう。
目次
介護施設で換気と湿度が重要な理由とは?
介護施設や老人ホームなどにおいて換気と湿度コントロールが非常に重要な理由は、疾患リスクを軽減するためです。
たとえば冬に流行するインフルエンザは、室内の湿度が高いほど生存率が低くなるウィルスですが、インフルエンザをきっかけに肺炎などの合併症を引き起こすリスクもあります。
また、年齢を重ねるごとに皮膚のバリア機能も衰えてくるため、乾燥によるかゆみも出やすい状態になってきます。
換気を行いきれいな空気を循環させ、湿度をしっかりコントロールすることによって、疾患のリスクを軽減できます。
介護施設での最適な温度と湿度とは?
建築物衛生法に定める空気環境管理基準項目の概要によると、温度は25度以上28度以下、ヒートショック予防のため室間温度差は5度以内、室温と外気との温度差は7度以内にすることが推奨されています。
そして、人が快適に感じる相対湿度は40%以上70%以下です。
湿度が極端に低いと呼吸器粘膜が乾燥し、細菌やウイルスに対する防御機能が低下します。
また、冷房時に湿度が極端に高いと汗の蒸散が妨げられて不快に感じたり、カビやダニの生育を促すため、湿度は70%以下で保つことが大切です。
介護施設の換気方法
代表的な換気方法には以下の3つがあります。
意識的に換気を行い、きれいな空気を循環させましょう。
- ・2方向で換気 / 10㎝ほど窓を開けての常時換気
- ・全熱交換器を使う
- ・エアハンドリングユニットを使う
2方向で換気 / 10㎝ほど窓を開けての常時換気
基本的な換気方法は、対角線上の窓やドアを開けるやり方です。
対角線上にある窓を30分ごとに5分間、全開にすることで換気します。
このとき、サーキュレーターを窓の近くに置き、風の補助をするとより効果的です。
または、常時換気と呼ばれる方法で、常に窓を10㎝程度開けておくことでも効果が得られます。
全熱交換器を使う
全熱交換器はエアフィルターと熱交換ユニット、送風機などで構成された換気設備で、給気と排気を1台の機械で行います。
エアコンが作動しているとき、作動していないときに関わらず、スイッチは常に入れて空気の入れ替えを行うことが推奨されます。
エアハンドリングユニットを使う
エアハンドリングユニットは空調機の中で最大のもので、外気を入れて温度と湿度を調整できる機械です。
エアコンフィルター、コイル、加湿器、送風機などで構成されており、比較的規模が大きな施設に設置されています。 快適に過ごすには換気が必要!換気の効果と方法を解説 部屋の空気をきれいに保つためには、定期的な換気が重要とされています。 今回は、換気をすることによってどのような効果があるのか、また、どのような点に注意して換気をすべきかについて解説していきます。 換気…
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介護施設の加湿方法
一般的な介護施設で取り入れられている加湿方法には、以下の3つがあります。
- ・濡れタオルなどを干す
- ・小型の加湿器を使う
- ・加湿機能付き全熱交換器を使う
濡れタオルなどを干す
水に浸して水滴が落ちない程度まで絞ったタオルを干したり、水をいれた容器を置いたりして、自然に空気中の水分を増やす方法です。
電気などを使わないエコな方法で、濡らせるものであれば何でも使えるため、思い立ったときに乾燥対策ができます。
小型の加湿器を使う
市販の家庭用と同じ加湿器を、それぞれの部屋に置くことで加湿する方法です。
卓上タイプでは水蒸気を目の前で出してくれるうえに、リラックスできるアロマの香りも同時に出したり、きれいに発色して目をたのしませたりといった商品が販売されています。
ただし、卓上型加湿器において、超音波式はタンク水の管理が悪いと菌が空気中に放出される恐れがあるため、使用する上では注意が必要です。
加湿機能付き全熱交換器を使う
全熱交換器は高機能換気設備とも呼ばれるもので、室温を保ったまま換気できる製品です。
この全熱交換器には一部、加湿機能がついている商品があるため、これを利用することで別途加湿器を用意する必要がなくなります。
介護施設における換気のポイント
では、介護施設における換気ポイントについて、次の4つを紹介しましょう。
- ・換気設備の点検は定期的に行う
- ・換気設備は24時間稼働させる
- ・空気清浄機の活用も有効
- ・CO2濃度測定器を利用して室内の状態を確認する
換気設備の点検は定期的に行う
日ごろから使う頻度が高いものほど、定期的な点検が大切です。
換気は目に見えないため気付きにくいですが、老朽化やメンテナンス不良によって必要な換気量の入れ替えができていないことがあります。
後回しにせず、年間で点検日を先に決めておくなどして、フィルターの清掃や交換などの実施をおすすめします。
換気設備は24時間稼働させる
基本的に換気設備のスイッチは入れっぱなしにしておくことがおすすめです。
冷暖房のスイッチと換気のスイッチが別になっている場合は、換気スイッチは常にオンにしておきましょう。
空気清浄機の活用も有効
換気方法のところで紹介した「対角線上にある窓を開けて行う換気」の場合は、空気清浄機も一緒に使うことがおすすめです。
空気清浄機は滞留した空気を清浄・循環させるために使うもので、窓から入る風の向きと方向を合わせることで空気のよどみを発生させません。
設置場所は人の居場所から6畳程度の範囲内が効果的です。
大きな空間であれば、10㎡ごとに一台の設置を目安として考えてみてください。
CO2濃度測定器を利用して室内の状態を確認する
正しく換気できているかを確認するには、二酸化炭素濃度測定器を使うのもおすすめです。
窓やドア、換気口から離れた場所で、かつ人が吐き出す息の影響を除外するため、人からも50㎝以上離れたところに二酸化炭素濃度測定器を設置しましょう。
計測の結果、二酸化炭素濃度が1,000ppm以下になっていると、うまく換気ができていると判断できます。
介護施設の温度・湿度調整はポイントを押さえて確実に
高齢者になると体の温度調節機能が徐々に衰えるうえに、乾燥した空気で肌や粘膜のバリア機能も低下します。
介護施設の利用者には持病をもっていらっしゃる方も多いため、適切な温度と湿度管理が必要です。
また、基本的に換気は24時間常に行うことが望ましく、同時に適切な温度に保つための空調設備も必要です。
利用者や従業員の健康を守るためにも、湿度や温度の調整はポイントを押さえて確実にやっていきましょう。
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