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小規模多機能型居宅介護とは?高機能換気設備の導入で業界特有の悩みを解説!
2024.04.26 空調機器導入ノウハウ
日本の介護業界は「介護士の人手不足」「労働環境」「老老介護・認認介護」などさまざまな課題を抱えています。
今後迫る2025年にはおおよそ800万人全ての団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になり、現役世代への負担などの対策に焦点を当てた議論がされています。
また、令和18年(2036年)には65歳以上の高齢者が総人口の33.3%になる見込みで、日本国民の3分の1の割合を締めるようになります。
参考サイト:第1章 高齢化の状況(第1節 1)|内閣府
つまり今後も高齢者の人口増加が見込まれ、介護施設などの高需要は続き、入居希望者や登録者の件数も増加することが予想されます。
介護施設の利用者が増加することで「通いにしたい」「宿泊にしたい」「訪問介護にしたい」などさまざまなニーズを持つ入居者も多くなりますが、それぞれに対応できる施設として『小規模多機能型居宅介護』というサービスが2006年に登場し、入居希望者のニーズを満たしています。
需要が高まることで、施設側で注意する点として、入居者の快適性や健康面への配慮などが挙げられます。
特に介護施設などは複数名の高齢者の方が一度に集まる機会が多く、入居者個々人での衛生管理を求められる一方、介護士の方もさまざまな衛生管理に注意が必要です。
ですが、個々人で衛生管理について気を配っていても、空気中の問題について対応することは難しい場合があります。
この記事では、介護施設の中でも注目されている小規模多機能型居宅介護と空気感染予防について解説していきます。
目次
小規模多機能型居宅介護(小多機)とは
小規模多機能型居宅介護は、通称『小多機』(しょうたき)と呼ばれる介護サービスの施設です。
小規模多機能型居宅介護は「要介護の認定」を受けた65歳以上の方もしくは特定疾病で要介護認定を受けた40歳〜64歳の方で、事業者と同じ市区町村に居住している方が利用できます。
住み慣れた町で支援されながら生活ができる地域密着型サービスとして2006年4月以降の介護保険制度改正により創設されました。
小規模多機能型居宅介護は、「訪問(訪問介護)」「通い(通所介護)」「泊まり(短期入所)」の3つが対応できる介護施設です。
そのため、デイサービス利用者などが「通い」の延長線上で宿泊で利用したり、在宅での介助を受けられます。
在宅しながら地元で生活を続けられるように利用しやすい地域密着の居住型サービスで、利用者の在宅時の身の回りの生活支援や身体機能を維持や改善を目的とする機能訓練をおこないます。
「通い」を中心に介護スタッフからの支援を受けられる施設ではありますが、ショートステイなど宿泊も可能で、宿泊ができるデイサービスのような介護施設と言えます。
その他にも小規模多機能型居宅介護の特徴はさまざまあり、以下から詳しく解説していきます。
小規模多機能型居宅介護の特徴
小規模多機能型居宅介護は居宅サービスに分類され、「訪問」「通い」「宿泊」の3つのサービスを併せ持ちます。
- 訪問介護:介護士が自宅で介助や身の回りの生活の補助をしてくれる
- 通所介護:デイサービスなど、通いで介護サービスを利用できる
- 宿泊:通い慣れた施設での短期間の宿泊(ショートステイ)が可能
通常であればサービスごとに連絡と手続きが必要ですが、小規模多機能型居宅介護では1つの事業所で全て対応できるため、通い慣れた施設で、顔馴染みのスタッフや利用者と共に利用できることによる、利用者の精神的な負担がないことも強みの一つです。
小規模多機能型居宅介護のショートステイとロングショートステイ
小規模多機能居宅は施設によって宿泊ができるサービスがあり、ショートステイと施設によってはロングショートステイの2つがあります。
ショートステイとロングショートステイについて以下で詳しく解説します。
ショートステイとは
小規模多機能型居宅介護のショートステイは短期入所生活介護とも呼ばれ、1泊から連続で30日間まで宿泊して利用することができ、要介護認定の有効期間(介護認定期間)の半数を超えない範囲で連続で30日の連泊が可能です。
しかし、ショートステイは基本的に短期での宿泊を想定したサービスなため、ショートステイの利用可能日数は要支援度、要介護度によって宿泊が可能な日数が異なります。
◼️ショートステイ利用可能日数の目安
- 要支援1:6日間程度
- 要支援2:11日間程度
- 要介護1:17日間程度
- 要介護2:20日間程度
- 要介護3:28日間程度
- 要介護4:30日間程度
しかし、ショートステイは基本料金となる介護サービス費は加護保険が適用されますが、宿泊の場合は保険が適用されないため別途利用料金が発生します。
自己負担額は要介護度や宿泊期間、宿泊する部屋の種類、施設によって異なります。
ショートステイの利用対象者は、要支援1・2、要介護1〜5などの要介護認定を受けている方となります。
ショートステイを利用する際は担当のケアマネジャーへ相談し、ショートステイの計画などを策定してもらうよう依頼しましょう。
ちなみに小規模多機能型居宅介護以外でも、有料老人ホームなどでは介護保険の適用外になりますがショートステイを利用できる場合があります。
それぞれの有料老人ホームによっては要介護認定の方の利用を限定してる場合がありますので、利用前に施設の案内をよく確認しましょう。
ロングショートステイとは
ロングショートステイとは、ショートステイを長期間利用することをいい、最長で30日間連続の宿泊利用が可能です。
ロングショートステイは、特別な事情がある場合に利用が認められることがますが、一般利用は認められておらず、基本的にはショートステイでの利用となります。
ロングショートステイの利用も、ショートステイと同様に介護認定期間の半数を超えないことが条件となりますので、残り日数によってはショートステイでの利用になることもあります。
またロングショートステイとショートステイは宿泊期間が異なるだけで、対応などサービス面に違いはありません。
介護施設における感染症対策の三原則
これまで小規模多機能型居宅介護について解説してきましたが、このような介護施設は人の往来が多く、特に小規模多機能型居宅介護は人の入れ替わりや出入りが多いため、さまざまなことに気をつけなければいけません。
その代表的な例といえば「感染症対策」です。介護施設は要支援や要介護の認定された方が中心に利用をするため、感染症対策が非常に重要となります。
そのため、介護士や介護施設を利用する方が快適に安心して過ごせるように感染対策の三原則徹底しています。
「持ち込まない」「持ち出さない」「拡げない」
感染症対策の三原則は感染源を「持ち込まない」「持ち出さない」「拡げない」のことを指し、介護業界では基本的で徹底された対策方法です。
それぞれの具体的な対策方法としては、
- 持ち込まない:施設外から施設内に持ち込まない
-
-
- 体調管理の徹底、通勤時の着替え、手洗い・手指消毒の徹底
-
- 持ち出さない:施設外から持ち出さない
-
-
- 適切な排泄物の処理、退勤前の着替え、手袋などの防護具の取り扱い
-
- 拡げない:施設内で感染者を拡げない
-
- マスクの着用、必要に応じた防護服の使用、換気設備及び換気の徹底
参考サイト:感染対策の基礎知識|1 |厚生労働省
これらが挙げられます。
感染症対策を徹底することで感染症の拡大を抑制することができますが、なぜ感染症が広がってしまうかの原因を知ることで、さらに感染症対策について深く理解できるかもしれません。
4つの感染経路
主な感染経路は「空気感染」「飛沫感染」「接触感染」「血液媒介感染等」の4つです。
- 空気感染:感染者の口腔から飛び出した飛沫に含まれている病原体が感染性を保ったまま空気中に漂い、他の人が飛沫した病原体を吸い込むことで感染すること。
- 飛沫感染:咳やくしゃみ、会話によって飛び出た唾などの飛沫に含まれる病原体を吸い込むことで感染すること。飛沫は水分量が多く、飛散範囲はおおよそ2メートル前後程度といわれています。
- 接触感染:感染している人の皮膚や粘膜に触れたり、病原体がついたドアノブや手すりなどの物に触れたりした手で、自分の鼻や口を触れることで感染すること。
- 血液媒介感染等:病原体に汚染された血液や体液、排泄物、分泌物が手指への付着等により体内に入ることにより感染すること。
介護施設では入居者と接触する場面が多く、食事補助や入浴補助、排泄物の処理などで近い距離で対応する場面が多くあります。
そのため、常に介護士は感染経路や感染症対策を念頭に置き、従事することが求められます。また、施設全体でも対策をすることによって、より感染対策を強化することができます。
換気設備による空気感染予防
介護施設における換気設備は、入居者や介護従事者が健康的で安全に過ごすための室内環境を確保し、感染症対策や空気感染予防を実施する上で非常に重要な役割を担います。
介護施設の換気設備による空気感染予防について、以下で詳しく解説します。
施設内環境の見直し
基本的には空調設備と換気設備の両方が備わっていることが一般的ですが、それらの設備が古いものであったり、劣化などの影響で十分に換気ができていない可能性があります。
厚生労働省の『高齢者施設等における感染対策の徹底について』では、
〇必要な換気量(一人当たり換気量30m3/時を目安)を確保するため、二酸化炭素濃度を概ね1,000ppm以下に維持必要換気量を満たしているかを確認する方法として、二酸化炭素濃度測定器(CO2センサー)の活用が効果的。
上記を基準とすることを推奨しています。
また二酸化炭素濃度測定器以外では、風速計などで換気風量診断を実施し、適切に換気ができているのか確認する必要があります。
適切な換気ができない場合は、施設内の換気環境を見直し、換気の最適化に向けては高機能換気設備の導入がおすすめです。
換気の必要性や二酸化炭素濃度については以下の記事で詳しく解説しています。
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高機能換気設備の導入による換気効率の向上
高機能換気設備の導入は換気効率を向上するだけでなく、さまざまなメリットがあります。
- 換気のために窓を開ける必要がない
- 冷暖房中でも室内温度に近い状態で換気ができる
- 室内の結露やカビの発生を予防することができる
換気のために窓を開ける必要がない
高機能換気設備を導入することで、換気のためにわざわざ窓を開ける必要がなくなります。
また高機能換気設備は窓がない環境でも、給排気口さえ設けることができれば、設置ができるため、窓のない部屋や空間をしっかり換気することができます。
介護施設のように利用者の安全を考慮しなくてはならない施設においては、窓の開けっぱなしは思わぬ事故に繋がりかねません。そのため、施設運営側として安全性にも配慮することができます。
室内温度に近い状態で換気ができる
高機能換気設備には全熱交換器が備わっているため、外気を室温に近い状態で給気することができます。
例えば、外気温が10℃で室温が20℃だとします。窓を開ける一般的な換気では、10℃の外気が室内に入り、室温20℃の空気を外に排気してしまうため、室温度を保つことができません。
しかし、高機能換気設備は前述したように、取り込む外気温を室温に近づけた状態で給気することで、室内温度を大きく変動させることなく換気することが可能となります。
また相乗効果として、室内温度を一定に保ちやすくなるためエアコンなどの稼働を一定に保つことができます。
エアコンは設定温度に対して、稼働の強弱を調整します。つまり、設定温度に近い状態で換気することで、エアコンの過稼働を防ぎ無駄な電力の使用を抑えることができますので、節電効果も期待できます。
この全熱交換器の詳しい仕組みやメリットについては以下の記事で詳しく解説しています。
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室内の結露やカビの発生を予防することができる
高機能換気設備を稼働させることで、6月や7月の梅雨時期でも問題なく換気し続けることができます。
梅雨時期は降雨日が多くなり、6月は平均気温25℃前後で7月は約30℃前後と高温になりやすく、6月と7月の平均湿度は60%〜70%と多湿な時期です。
カビは温度20℃以上で湿度60%以上の状態が非常に発生しやすいと言われています。
降雨日が多いと窓を開けて換気ができる日数も少ないため、室内に湿気が溜まりやすくカビも発生しやすくなります。
しかし、高機能換気設備は天気に関係なく換気をおこなうことができますので、カビや結露を発生しにくい環境を維持することができます。
高機能換気設備が介護施設の空気環境を改善
高機能換気設備は前述した様に、室内温度を大きく変動させず、空気環境を清潔に保つことができますが、その他にもさまざまな効果がありますので、以下に解説します。
介護施設のニオイ対策にも効果
高機能換気設備は汚れた空気を外に排出する他に、ニオイも一緒に出すことができるため、室内へニオイを充満させない効果があります。
介護業界は換気以外にも、室内のニオイが悩みとして挙げられることが多くあります。
介護施設は複数名の入居者が同じ建物で生活をしますので、生活臭や体臭などさまざまなニオイが混在します。
また要介護が必要な入居者の場合は、入浴や排泄に補助を必要とするため自分で処理することができません。
そのため、ニオイが発生してしまい介護施設内にも漂い、介護業界で働く方や入居者の間で悩みとなっていることが多いようです。
いつでも換気ができる環境であれば、それらの問題も緩和され過ごしやすい施設にすることができるのではないでしょうか。
三菱電機では消臭に特化した『業務用ロスナイ(パワー脱臭カセット形)』といった製品が販売されています。
介護施設などのニオイが発生しやすい環境に最適な高機能換気設備です。
小規模多機能型居宅介護などの介護施設は空気環境が大切
この記事では小規模多機能型居宅と介護業界の感染対策や空気環境の課題について解説しました。
要支援や要介護認定を受けている方が多く滞在する介護施設だからこそ、健康面や空気環境はとくに配慮が必要です。
また季節によって寒暖差が大きくなり、高齢者の方にとっては負担のかかる時期もありますので、できるだけ施設内は快適で安定した環境にしておきたいものです。
室内の空気環境についてお悩みの方は、ぜひ一度高機能換気設備をご検討されてはいかがでしょうか。
オーソリティー空調では、高機能換気設備の取付工事を行っておりますので、ご検討の方はぜひご相談ください。
換気設備の設置から、最適な空気をつくる最新設備の施工プランご提案まで、空調のトータルコーディネートができるオーソリティー空調にお任せください。
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