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冬の電気代対策は空調のデマンド管理から!基本料金を左右するピーク電力の抑え方と暖房前の見直しポイント
2026.10.02 空調機器活用ノウハウ

電気料金の負担が大きいと感じている事業者様は多いのではないでしょうか。
冬は暖房の稼働が増え、空調の電力使用量が年間のなかでも大きくなる季節です。電気代対策は、使用量を減らすだけでなく「ピーク電力(デマンド)を抑える」という視点が空調業界の大きなトレンドになっています。
特に高圧受電の工場、店舗、ビルでは、1年のうち最も電力を使った30分が基本料金を決める仕組みがあり、空調の運転方法ひとつで毎月の固定費が変わります。電力会社や環境省関連の公表資料をもとに、空調設備のデマンド管理の基本と、冬の暖房シーズン前に取り組みたい具体策を、空調設備工事の視点から解説します。
目次
電気代の基本料金はどう決まる?
電気料金は基本料金、電力量料金、燃料費調整額、市場価格調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金などで構成されます。
関西電力の法人向けコラム「契約電力とは?デマンド値との関係や電気料金の仕組み・削減方法を解説」によると、基本料金は過去1年間の最大需要電力をもとに決定されます。
契約電力が大きいほど、基本料金は高くなります。
同コラムでは、契約電力が500kW未満の場合、30分ごとの平均使用電力(デマンド値)の月間最大値のうち、過去1年間で最も大きい値が契約電力になると説明されています。
500kW以上の場合は、需要家と小売電気事業者との協議で決まります。つまり、たった一度でも電力を集中して使ってしまうと、その値が向こう1年間の基本料金に影響する可能性があるのです。
空調はなぜデマンドに大きく影響するのか
同コラムでは、建物のエネルギー消費の40〜50%が空調であると紹介しています。
業務用エアコンは起動時に大きな電力を使うため、始業時に全台が一斉に運転を始めると、短時間に電力が集中しやすくなります。冬は暖房の立ち上げ時にその傾向が強まるため、空調の運転ルールの見直しがデマンド対策の中心になります。
デマンドを抑える3つのアプローチ
デマンド値を下げる方法として、前述のコラムでは次の3つが挙げられています。
- デマンドコントロールシステムの導入:事前に設定したデマンド値を超えないよう、電力使用量を自動で制御する。
- 空調の省エネ:消費の大きい空調の使い方や設備を見直す。
- ピークカット:1日で最も電力使用量が多い時間帯の使用量を抑える。
デマンドコントロールは、設定値に近づいた際に空調などの負荷を自動で調整する仕組みです。
ただし、制御によって室温が大きく変化しないよう、対象とする機器や制御の幅を現場に合わせて設計することが重要です。特に、人が常駐する店舗や事務所では、快適性とのバランスが欠かせません。
冬の暖房シーズン前に見直したい運用ポイント
設備を更新しなくても、運用の見直しだけで効果が出る場合があります。
冬の暖房前に確認したい項目を整理します。
| 見直し項目 | 内容 | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| 設定温度の緩和 | 暖房の設定温度を無理のない範囲で下げる | 1℃緩和で熱源設備のエネルギーが約10%削減(省エネルギーセンター資料) |
| フィルター清掃 | 2週間に1回を目安に清掃する | 暖房時で約6%の消費電力削減(環境省COOL CHOICE) |
| 空気の循環 | サーキュレーターで暖気を室内に循環させる | 天井付近にたまる暖気を床付近へ送り、体感温度のムラを減らす |
| 運転開始時間の分散 | エリアごとに起動時刻をずらす | 起動時の電力集中を避け、ピークを抑える |
設定温度を下げるときの注意点
省エネルギーセンターの資料「空調設定温度の緩和」では、1℃の緩和で熱源設備のエネルギーが約10%削減、2℃以上の緩和では一律15%程度が妥当とされています。
実施事例として、年間69,600kWhの空調電力に対し、2℃緩和で15%(10,440kWh)の削減、削減金額は年間221千円と紹介されています。ただし、これは事例であり、削減額は建物や契約によって異なります。
同資料では、温度の緩和を建築物衛生法および労働安全衛生法における温度基準の範囲内(17℃以上28℃以下)で行うよう留意点が示されています。また、暖房時の吹出し空気が吸込みに戻る「ショートサーキット」の対策として、サーキュレーターの活用が有効とされています。
基準範囲を守りつつ、体感の悪化を避けることが大切です。
環境省のオフィスでできる節電アクションでは、冬の暖房時は室温20℃を目安とし、1℃低くすると約10%の消費電力削減になるとされています。なお、室温と設定温度は一致しないことがあるため、実際の室温を計測しながら調整しましょう。
運用改善で限界があるときの設備側の選択肢
運用を工夫しても、古い機種の能力低下や、負荷に対して機器の容量が合っていない場合には、限界があります。
設備面で検討される主な選択肢は次のとおりです。
- 高効率機種への更新:同じ能力でも消費電力が小さい機種に入替える。
- デマンドコントローラーの設置:電力量を常時監視し、設定値に近づいたら空調を自動制御する。
- 空調の系統分け・ゾーニング:使用しないエリアを停止できるよう、系統を細かく分ける。
- 集中管理システムの導入:複数台の運転状況や起動時刻を一括で管理する。
高効率機種の特徴や補助金の考え方については、当社の高効率空調設備に関するコラム、動力エアコンの電気代については三相電源(低圧電力)に関するコラムもあわせてご覧ください。
導入前に確認したいこと
デマンド管理の機器を入れる前に、まず自社のデマンドデータを把握することが重要です。
電力会社のWebサービスや検針票から、月ごとの最大需要電力や、ピークが発生する時間帯を確認できる場合があります。ピークが空調の立ち上げ時間帯と重なっているか、季節による差があるかを確認すれば、必要な対策の優先順位が見えてきます。
デマンド対策で失敗しないためのポイント
デマンド対策は、導入しただけでは十分な効果が出ないことがあります。
失敗を避けるため、次の点を押さえておきましょう。
- 快適性を優先すべきエリアを決めておく:接客エリアや執務室は制御の対象から外す、または制御幅を小さくする。
- 制御の対象機器を明確にする:空調だけでなく、照明、給湯、機械設備などとの兼ね合いを整理する。
- 導入後の効果を検証する:電力会社のデータで、最大需要電力が実際に下がったかを確認する。
- 季節ごとに設定を見直す:冷房期と暖房期で負荷の傾向が異なるため、年に数回は調整する。
まとめ
高圧受電の事業者にとって、基本料金は過去1年間の最大需要電力(30分平均)で決まるため、空調の使い方がそのまま固定費に影響します。
建物のエネルギー消費の40〜50%が空調ともいわれるなか、設定温度の緩和、フィルター清掃、起動時刻の分散といった運用改善は、費用をかけずに始められる対策です。それでも不十分な場合は、高効率機種への更新やデマンドコントローラーの導入を検討しましょう。
オーソリティー空調では、空調設備の更新・増設から、系統分けや制御を含めた設備計画まで、現場に合わせてご提案しています。「冬の電気代が心配」「空調の電力ピークを抑えたい」という方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
暖房シーズンの前に、一緒に空調の使い方と設備を見直しましょう。
