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エアコンの冷媒R-22は生産終了?冷媒の基礎知識からR-22の規制理由を解説
2023.06.23 空調機器活用ノウハウ
エアコンで室内を暖めたり冷やしたりできるのは、エアコン内に冷媒とよばれるガスが入っているからです。
しかし、冷媒にはオゾン層の破壊につながるものや、温室効果が強いものがあり、今では使用されていなかったり、段階的に廃止が進められているものがあります。
この記事では、エアコンに欠かせない冷媒の役割や室内を冷暖房する仕組み、冷媒の種類や環境への影響について解説していきます。
目次
冷媒とは
室内を冷暖房する上で欠かせない冷媒。
ここでは、冷媒の役割について解説していきます。
冷媒の役割とは
冷媒の役割は「熱を運ぶこと」です。
動きとしては、液体が気化する際に周囲の熱を奪うという性質を利用しています。
冷媒は、エアコン以外にも冷蔵庫などに使用されています。
冷媒の重要性
冷媒がなければ、エアコンで室内を冷やしたり暖めたりすることはできません。
ここからは、エアコン内で冷媒がどのような働きをしているのか解説していきます。
エアコンにおける冷媒の役割
冷媒には冷たいという字が含まれていますが、冷房時だけに活躍するのではなく暖房時でも欠かせないものとなります。
冷房運転をするとき、室内機からは冷たい風が出ますが、これはエアコンの中で冷たい風を作っているわけではなく、室内の熱を取り除いた空気を室内に戻すことで、冷たい風が出るという仕組みだからです。
エアコンの室内機と室外機にはそれぞれ熱交換器という部品が組み込まれています。
冷房時は室内の空気に多く含まれる熱を熱交換器で乗せ、その熱を冷媒で室外機まで運び、室外機の熱交換器に熱を降ろして、冷たくなった空気を室内に戻すという作業が繰り返し行われています。
冷房時に室外機から暖かい風が出るのは、室内の空気の熱を含んでいるからです。
逆に、暖房時は外の熱を室外機の熱交換器に乗せ、冷媒で運び、室内機の熱交換器で降ろすという作業が繰り返されています。
冷房時に室内の熱を外に逃がすことや、暖房時に外の熱を取り込むことができるのは、冷媒の働きによるものです。
そのため、エアコンにおいて冷媒は非常に重要な役割を果たしています。
主な冷媒の種類
エアコンの冷媒ガスには、フロンと総称される、フルオロカーボン(フッ素と炭素の化合物)が使用されています。
フロンのうちCFC(クロロフルオロカーボン)、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)、HFC(ハイドロフルオロカーボン)を「フロン類」と呼びます。
CFCは古くからある冷媒ガスですが、オゾン層に対する破壊力が大きいため、1995年末に生産中止となっています。
R-410(HFC:ハイドロフルオロカーボン)
HFCはオゾン層を破壊しないという点に特徴があり、HFCの一種であるR-410は、空調機器で使用される冷媒の主流だったものです。
また、それぞれのフロンガスには、温室効果がどれくらいあるかを比較するために「地球温暖化係数」というものがあります。
これはCO2の100年間の温室効果を1としたときの相対値で表され、R-410は2,090です。
R-32(HFC:ハイドロフルオロカーボン)
地球温暖化係数が675と、R-410の1/3程度であるR-32は、R-410に替わる冷媒として注目されています。
R-32もHFCなので、地球温暖化への影響の低さから、現在はR-410からR-32へ移行され、エアコンで使用される冷媒の主流となっています。
R-32を開発したのは、大手エアコンメーカーのダイキンです。
ダイキンによると、2022年6月時点でR32を使ったダイキンのエアコンの販売実績は、世界で3,900万台以上、他メーカーが冷媒としてR-32を使用しているものを含むと、市場全体では2.1億台を超えたと推測されています。
R-22 (HCFC:ハイドロクロロフルオロカーボン)
HCFCはCFCの廃止後に冷媒として広く使われてきたものです。
HCFCの1種、R-22の地球温暖化係数は1,810と、CFCと比較すると低くなっています。
しかし、オゾン層を破壊する性質があるため、モントリオール議定書により世界的に規制が進められ、2020年には実質全廃となりました。
冷媒R-22の段階的な廃止
CFCに替わるものとして広く使用されてきたR-22は、2020年に実質的に廃止とされています。
修理に伴う補充用途としては使用が認められているものの、既に生産されていないため、冷媒の入手は困難で、仮に手に入っても価格が高騰している恐れがあります。
また、R-22を使用したエアコンが故障し、それを修理できたとしても、空調効率面で現代のものよりも劣ることがあります。
地球環境だけでなく、光熱費を考慮してもあえてR-22を冷媒とするエアコンを使用し続けるメリットはないといえるでしょう。
オゾン層の破壊と地球温暖化と冷媒の関係
冷媒の環境負荷を考える際には、オゾン層の破壊と地球温暖化の2つについて知る必要があります。
大気圏の上層にあるオゾン層は、有害な紫外線を吸収するフィルターのような役割を果たしています。
フロンによりオゾン層が破壊され、穴が空くと、有害な紫外線が直接地表に降り注ぐようになり、皮膚がんや生態系に悪影響を及ぼす原因になります。
そこで、従来のCFCよりもオゾン層を破壊する能力の低いHCFC、オゾン層を破壊しないHFCへと時代とともに切り替わってきました。
しかし、フロンは地球温暖化を引き起こす温室効果ガスでもあります。
現在冷媒の主流であるHFCも温室効果ガスの一種ですので、今後はさらに温室効果が小さい冷媒への移行がすすめられるでしょう。
既に二酸化炭素やアンモニアといった自然物から作る冷媒の研究や、HFO(ハイドロフルオロオレフィン)と呼ばれる地球温暖化係数が小さい新しい冷媒も登場しています。
冷媒のメンテナンスと補充
何らかの原因で冷媒が漏れている場合は、地球温暖化への悪影響もあることから、なるべく早めに専門業者へ相談することをおすすめします。
エアコンが動いているのに室内が冷たくも暖かくもならない場合、冷媒ガスの漏れが原因という可能性もあります。
自身でできる簡単なチェック方法を紹介しますので、ぜひご参考ください。
また、冷媒が漏れてしまっている場合には、冷媒の補充を行うよりも、新しいエアコンに交換するといった方法もあります。
冷媒ガスの補充が必要になる原因
冷媒ガスが漏れてしまった場合は、補充が必要です。
冷媒ガスの漏れは振動に伴って発生するケースが多く、壁や天井に固定して設置するエアコンでは基本的に漏れにくく、カーエアコンのような乗り物に搭載されている場合は漏れやすい傾向にあります。
振動以外のガス漏れの原因としては「配管の損傷」「設置時の不備」「エアコン本体の故障」などが挙げられます。
冷媒ガスが通る配管が損傷していれば、その箇所からガスが漏れますし、設置時の配管設置やねじ締めが甘い場合にもガスが漏れることがあります。
冷媒ガスの補充が必要な場合のチェック方法
冷媒ガスが漏れているかどうかをチェックする方法には「室外機の配管を確認する」「検知液でチェックする」の2つがあります。
冷房運転を15分ほど行い、室外機につながる配管に霜が降りている場合、冷房ガスが漏れている可能性があります。
また、霜ではなく水滴がついている場合は、冷媒ガスの漏れ以外の不調が起きている可能性も考えられます。
霜も水滴もついていない場合は、配管を触ってみてください。
配管が常温であれば熱が運ばれていないことになるので、冷媒ガスが既に空になってしまっている可能性があります。
配管の確認以外にも、市販の検知液でチェックする方法もあります。
検知液はガス漏れが発生しているところに触れると泡が出ます。
冷媒ガスが漏れている疑いがある場合、配管の接合部のような、ガスが漏れやすい場所に液をかけて確認してみるのもおすすめです。
まとめ
エアコンに欠かせない冷媒ガスは、温室効果があるため取り扱いには注意が必要です。
エアコンの設置時はもちろん、修理や廃棄の際にも、ガス漏れが起きないように適切な処置を施す必要があります。
特に、オゾン層に影響するR-22を使用したエアコンは、なるべく早めに買い替えることをおすすめします。
オーソリティ空調では、使用用途に合わせた適切なエアコン選びから、エアコンの設置工事、メンテナンスに至るまで一貫してお客様をサポートしております。
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