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エアコンの除湿はどのタイミングで使う?除湿の効果的な利用方法を解説
2024.06.24 空調機器活用ノウハウ

梅雨や夏の時期は室内の湿度が高くなりやすく、ジメジメとした湿気が気になる季節です。
この記事では除湿の基本知識からエアコンの除湿機能、除湿(ドライ機能)と冷房との違いや最適な使用方法を紹介していきます。
エアコンの除湿(ドライ)機能は、湿度が高く蒸し暑さを感じる梅雨時や夏の初めに特に効果的です。
この記事では、除湿と冷房との違いや再熱除湿・弱冷房除湿の特徴、除湿機との使い分けや自動運転モードの活用法も合わせて解説します。
目次
エアコンの除湿(ドライ)とは
エアコンの除湿機能は、空気中の余分な湿気を取り除くことで室内の快適さを保つ重要な運転モードです。
冷房と似たような働きをするものの、その目的と仕組みは異なります。
ここでは除湿と冷房の違いや実際の効果、室内干しへの活用法について解説します。
除湿と冷房の役割
除湿と冷房は一見同じように感じられますが、主な目的が異なります。
冷房は「室温を下げる」ことを中心に動作しますが、除湿は「湿度を下げる」ことを目的としています。
たとえば、外気温が高くなくても湿度が80%以上あると蒸し暑さを感じます。このようなときに除湿を使うと体感温度が下がり快適さが増します。
逆に気温が35℃以上と非常に高い場合は、除湿よりも冷房のほうが効果的です。
このように、両者の違いを理解して状況に応じて使い分けることが大切です。
実際に湿度は下がる?除湿効果のリアル
エアコンの除湿運転を使うと、実際に室内の湿度は下がります。
機種や環境によって異なりますが、目安として1時間で5〜15%程度湿度が低下することが多いです。
一例として、6畳の寝室で弱冷房除湿を1時間使ったところ、湿度が75%から62%まで下がったケースがあります。
これにより、ジメジメ感が軽減し、寝苦しさも解消されました。
ただし、外気の湿度や部屋の構造によって効果は変動します。
湿度計を使って状態を確認しながら使うとより効果的です。
室内干しに向いている?除湿運転の活用例
室内干しをすると部屋の湿度が急上昇しますが、エアコンの除湿を使えば洗濯物の乾燥を早めつつ、カビや結露のリスクも軽減できます。
たとえば小さなアパートのリビングで部屋干しをする場合、除湿運転を2〜3時間使うことで洗濯物の乾きが格段に早くなります。
また、再熱除湿機能がある機種なら、室温を下げすぎずに除湿できるため寒さを感じにくく快適です。
除湿の仕組みと方式のちがい
エアコンの除湿は、ただ湿気を取り除いているわけではありません。
内部の熱交換器の働きにより湿気が水滴となって排出されます。
ここでは、除湿の原理や、代表的な除湿方式である「再熱除湿」と「弱冷房除湿」の違いについて解説します。
なぜエアコンで湿度を下げられるのか
エアコンが湿度を下げられるのは、冷たい熱交換器に空気を通すことで空気中の水分が凝縮され水滴となって排出されるからです。
この仕組みは、冷えた飲み物の表面に水滴がつく現象と似ています。
湿度を下げるには、空気を冷やすことが必要です。そのため、除湿中は多少室温も下がります。
ただし、除湿方式によっては室温の変化を最小限に抑えることも可能です。
再熱除湿と弱冷房除湿の違い
エアコンの除湿方式には主に「再熱除湿」と「弱冷房除湿」の2つがあります。
方式 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
再熱除湿 | 冷やして湿気を取った空気を再加熱して戻す | 湿度を下げながら温度は下がりすぎない | 消費電力がやや多い |
弱冷房除湿 | 弱い冷房運転で湿気を除去 | 消費電力が少ない | 室温が下がりやすく寒く感じることも |
夏場の寝室など「涼しくなりすぎるのは避けたい」場面では再熱除湿が便利です。
一方、湿度だけでなく室温も少し下げたいときは弱冷房除湿が適しています。
除湿運転のメリットとデメリット
除湿運転は、冷房よりも快適に感じる場面が多くありますが万能ではありません。
利用する際は、その利点と限界を正しく理解しておく必要があります。
ここでは、除湿運転の主なメリットとデメリットをそれぞれ詳しく解説します。
除湿運転のメリット
まず、除湿運転の最大の魅力は室温を下げすぎずに快適な湿度に調整できる点です。
たとえば、梅雨の時期など外気温が高くないにもかかわらずジメジメしている日には、冷房よりも除湿が適しています。
さらに、カビやダニの発生を抑える効果も見逃せません。
湿度が70%以上になるとカビが繁殖しやすくなりますが、除湿運転で50~60%程度に抑えることで、住環境を衛生的に保てます。
また、電気代の面でも、冷房より消費電力が少ない機種もあるため、短時間の使用や夜間の利用では節電にもつながります。
除湿運転のデメリット
一方で、除湿運転にも注意点があります。弱冷房除湿では室温が下がりすぎる可能性があるため、長時間の使用で寒さを感じることがあります。
また、再熱除湿は快適性に優れますが、その分だけ電気代が高くなる傾向にあります。
特に長時間使用する場合、冷房よりも電力消費が大きくなるケースもあるため注意が必要です。
さらに、古いエアコンでは除湿機能の性能が低く、あまり湿度が下がらないこともあります。
そのような場合は、機種の買い替えや除湿機の併用も検討するとよいでしょう。
除湿運転をおすすめする状況と避けたほうがいい状況
除湿運転が効果を発揮する場面とそうでない場面を知っておくことで、より快適で効率的な運用が可能になります。
ここでは、具体的にどのようなシーンで除湿運転を使うべきか、また避けたほうがよい状況について解説します。
冷房と除湿、どちらを使うべきか迷ったら
冷房と除湿のどちらを選ぶべきか迷ったときは、「温度」と「湿度」のバランスで判断するのがコツです。
- 気温が高く、かつ湿度も高い → 冷房が最適
- 気温はそこまで高くないが、湿度が高い → 除湿がおすすめ
たとえば、気温が25℃で湿度が80%のような蒸し暑い日は除湿運転を使うことで体感温度を下げ、より快適に過ごせます。
逆に、猛暑日で35℃を超えるような日には除湿だけでは涼しさが足りず、熱中症のリスクも高まるため冷房が優先されます。
このように、その日の天候や体感温度に応じて柔軟に選択することが大切です。
エアコンの除湿運転と除湿機はどちらが良いか
除湿という目的で見ると、エアコンと除湿機のどちらを使うべきか悩む方も多いかもしれません。
それぞれの特性を理解し、利用シーンに合わせて選ぶことで、効率よく湿度管理ができます。
ここでは性能や使い勝手の違いを比較しながら解説します。
除湿能力・消費電力・除湿の速さ比較
比較項目 | エアコン(除湿運転) | 除湿機 |
---|---|---|
除湿能力 | 高(広い空間に適す) | 機種により小〜中程度 |
消費電力 | やや高め(再熱除湿) | 比較的低い機種も多い |
除湿スピード | 高速(温度調整も可) | 遅め(部屋の密閉性に依存) |
設置性 | 固定式(既設が前提) | 移動可能・どこでも使える |
たとえばリビングのような広い空間ならエアコンの除湿運転が有利です。
一方、クローゼットや浴室など限定された場所には、コンパクトな除湿機の方が使い勝手がよいでしょう。
洗濯物を乾かすならどちらが効率的か
洗濯物を乾かす目的では、使用する部屋の広さと状況によって選ぶとよいでしょう。
- 6〜10畳程度の部屋で部屋干し → エアコンの除湿が効果的
- 脱衣所や押入れなど狭い空間 → 除湿機の方が効率的
たとえば、部屋干しを毎日する家庭であれば、湿度センサー付きの除湿機を導入すれば自動でON/OFFできて省エネになります。
自動運転モードは節電につながるのか?
エアコンの自動運転モードは、設定温度や湿度に応じて冷房・除湿・送風を自動で切り替える便利な機能です。
しかし「本当に節電になるのか?」という疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。
ここでは、自動モードの仕組みや、効果的な使い方のコツを紹介します。
自動モードの特徴と使い分けのコツ
自動モードは、エアコンが室内の状態をセンサーで検知し、最適な運転モードを選ぶ仕組みになっています。
たとえば、室温が高く湿度も高い場合は冷房を、温度は低めで湿度が高い場合は除湿を選択するなど、複雑な判断を自動で行ってくれます。
この機能を活かせば、ユーザーが細かく設定を変えなくても、一定の快適さが保たれます。
ただし、使用環境や機種によっては、意図しないモードに切り替わることもあるため注意が必要です。
たとえば、すぐに涼しくしたいのに、除湿が選ばれてしまう場合などです。
節電効果を最大限にするためには、以下のような工夫がおすすめです。
- 設定温度を高め(26~28℃)に保つ
- 風量は「自動」よりも「弱~中」に手動設定
- 室外機まわりを遮熱・通風よくする
このように、機械に任せきりにするのではなく、状況に応じて自動と手動を使い分けることが節電にも快適さにもつながります。
まとめ
エアコンの除湿機能は湿度の高い季節にとても有効であり、快適な室内環境を保つ手段として役立ちます。
冷房との違いや再熱除湿と弱冷房除湿の特性を理解すれば、より効果的な使い方ができるようになります。
【この記事で解説したポイント】
- 除湿は「温度」ではなく「湿度」に着目した機能。蒸し暑さ対策に最適
- 熱除湿は快適さを、弱冷房除湿は省エネを重視したい場面で使い分けが必要。
- 除湿運転には、快適性や省カビ効果などのメリットがある一方、寒くなりすぎる・電気代が高くなるといったデメリットも存在。
- 洗濯物の乾燥や、室内干しにはエアコン除湿や除湿機を環境に応じて選択。
- 自動運転モードは便利だが、状況によっては手動設定が効率的な場合もある。
湿度対策は、夏の快適さだけでなく健康にもつながる重要なポイントです。
気温だけでなく湿度にも目を向け、適切な除湿運転を心がけてみてください。
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参考文献
- エアコン除湿運転の基礎知識|ダイキン公式サイト
- 除湿と冷房の違い|パナソニック商品情報
- 再熱除湿と弱冷房除湿の違い|三菱電機
- 除湿機とエアコンの比較|アイリスオーヤマ公式サイト