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VRVシステムはビル用マルチエアコンの一種! VRVシステムの種類とメリットを解説
2024.12.27 空調機器導入ノウハウ
- VRVシステムと導入イメージについて
- VRVシステムの種類について
- VRVシステムとZEBの関係について
近年、エネルギー効率や快適性を重視した空調システムが求められています。これに応えるのが『VRVシステム』です。
電気料金の削減や快適な室内環境の実現に貢献する、空調技術として注目されています。
この記事では、VRVシステムの解説から、他の空調設備との違い、VRVシステムのメリット、具体的な導入イメージ、種類などをご紹介していきます。
目次
VRVシステムとは
VRVは「Variable Refrigerant Volume」を略した言葉で、日本語では「可変冷媒量」と訳されます。
つまり、冷媒(熱を温度の低い所から高い所へ移動させるために使用される流体の総称)の量を、建物の状況に合わせて変えられるシステムということです。
ただし、システムが複雑であるため初期費用は高額になりがちです。
セントラルシステムとの違い
代表的な空調システムであるセントラルシステムとの違いは、個別に温度制御するか、建物全体を一括で温度制御するかという点にあります。
また、冷暖房を同時に運転できるかについても異なります。
セントラルシステムでは建物の一か所に大きな装置を設置し、ダクトを通して各部屋に温風や冷風を送ります。
建物全体の空調を中央で一括管理できるため効率的に運転でき、管理も簡単です。
しかしながら、すべてを同じ温度で保つため、部屋ごとの調整が困難です(一部可能な場合もあります)。
マルチエアコンとの違い
VRVシステムと混同されがちなのがマルチエアコンです。両者とも複数の室内機を1台の室外機で運転できる空調システムではありますが、厳密には異なります。
- マルチエアコン:1つの室外機に数台の室内機を接続して運転するシステム。室内機の台数や接続できる距離などが限られることが一般的。
- VRVシステム:冷媒量を可変させることで各部屋の温度を個別に制御ができるシステム。室内機の台数や接続できる距離がマルチエアコンよりも多く、より大規模な建物に対応できる。
VRVシステムはマルチエアコンの機能をさらに発展させた、より高度な空調システムと言えます。
VRVシステムのメリットと具体的な導入イメージ
従来の空調システムは、全ての部屋を同じ温度に保とうとするため、エネルギー効率が低いという問題がありました。
対してVRVシステムは、各部屋に設置された室内機がそれぞれ独立して運転し、必要な量の冷媒を供給します。
ここではVRVシステムのメリットや、具体的な導入イメージを解説していきます。
VRVシステムのメリット
VRVシステムの代表的なメリットは、以下の通りです。
- 室外機1台で複数の室内機を制御できる
- 冷媒量を調整できる
- 冷暖房の同時運転ができる
- 従来の空調システムに比べて大幅な省エネを実現できる
- 建物の形状や用途に合わせて自由にシステムを設計できる
また、システムがモジュール化されているため、部分的な故障が発生した際にも他のユニットに影響を与えることが少なく済み、メンテナンスも効率的です。
※モジュール:システムや機器を複数の独立した部品に分け、他の部分と組み合わせて全体のシステムを構築する設計方法
VRVシステム導入のイメージ
どのような場所でどのようにVRVシステムが活用されているのか、一部のイメージをご紹介します。
【オフィスビル】
各部屋の温度を個別に制御できるため、従業員の快適性が向上します。空室の空調を停止し、省エネ運転を行います。
【商業施設】
店舗ごとに温度や湿度を最適化できるため、従業員の快適性を維持した状態に保つことができます。広範囲な空調が可能で、大規模な商業施設でも効率的な空調管理が可能です。
【病院】
病室ごとに温度が管理できるため、患者さんの快適性向上に貢献できます。非常用電源と連携すれば停電時にも空調が継続できるというのも大きなメリットです。
【ホテル】
客室ごとに温度を変更できるため、顧客が快適に過ごせるようになり、利用満足度の向上に貢献します。空室の空調を停止できることで、省エネ効果を高められます。
VRVシステムの種類
VRVシステムには以下のような種類があります。
狭小スペースの更新に適している
〇更新用machiマルチ
ホテルやテナントなどの冷暖同時ニーズに
〇冷暖フリーVRV RXシリーズハイグレードモデル
〇冷暖フリーVRV Rシリーズ
高層建築や地下街に<水熱源システム>
〇水熱源VRV Wシリーズ(冷暖フリー対応可能)
パワフル暖房と省エネ運転を両立<高暖房システム>
〇高暖房VRV Hシリーズ
〇冷暖フリー高暖房VRV RHシリーズ
〇店舗・オフィス用マルチエアコン スゴ暖machiマルチ
ピーク電力削減に<氷蓄熱システム>
〇小規模店舗や事務所などにエコ・アイスminiマルチ
〇学校や老健施設などに氷蓄熱VRV Gシリーズ
更新専用機で先進の個別空調に
〇更新用VRV QXシリーズハイグレードモデル
〇更新用VRV Qシリーズ高効率モデル
〇更新用個別運転マルチVe-upQクレーンレスシリーズ
〇冷暖フリー更新用個別運転マルチVe-upQR
〇高暖房VRV QHシリーズ
〇更新用氷蓄熱VRV QGシリーズ
更新専用機で先進の個別空調に「もう少し暖房力を高めたい」暖房ニーズに
〇VRV Aシリーズ 高暖房仕様・更新用VRV Qシリーズ 高暖房仕様
VRVシステムがZEBに貢献できる理由
ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)とは、年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロ以下となる建築物を指します。
建物で消費するエネルギーを、太陽光発電などの再生可能エネルギーで賄ったり、高効率な設備を導入することで、エネルギーの収支をゼロにすることを目指すものです。
VRVシステムは省エネ効果が高いため、ZEBの実現に大きく貢献している空調システムの一つと言えます。
VRVシステムはメリットの多い空調システム
この記事では、VRVシステムの仕組みやメリット、種類などについて解説しました。
VRVシステムは導入の初期費用が高額であったり、専門的知識が必要ですが、多くのメリットを持つこと、そしてZEBの実現に貢献できることが注目されています。
VRVシステムの導入をご検討の方は、ぜひ一度ご相談ください。
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