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「空調」と「換気」の違いとは?
2020.10.09 空調機器活用ノウハウ
「空調」と「換気」、日常生活の中でどちらも使う機会の多い言葉です。
ですが、この2つの違いをハッキリとご存知でしょうか?
似た意味をもつ言葉なので、もしかしたら日常生活の中で2つを混同して考えている方もいるかもしれませんが、この2つには大きな違いがあります。
同じ意味のつもりで使ってしまうと、認識の違いから話をややこしくしてしまう可能性もあるでしょう。
そこで今回は、空調と換気の持つそれぞれの意味と、違いなどについて、詳しく解説していきます。
◎空調とは
空調とは「空気調和」の略称で、温度・湿度・風量・清浄度など空気の状態を調節し、人にとって快適な環境をつくることを言います。
ビルや商業施設、家屋などに付随する設備の中で「空調設備」というものがありますが、これは空気調和を行う設備のことです。
なお、空調というとエアコンを思い浮かべる方もいるかもしれません。
エアコンの正式名称は「エア・コンディショナー」といい、室内の温度や湿度などの調整を行う、空調設備のうちの1つです。
つまり空調とは、エアコンのような設備を使いながら、人工的に空気の状態を整えることを意味しています。
なお、空気調和には「保険空気調和」と「産業空気調和」に分けられます。
区分けのポイントは、何を目的に空気調和を行うかです。
保険空気調和とは、人にとって快適な空気の状態を保つことをいいます。
一般空気調和や快適空気調和といった名称でも呼ばれており、家屋やオフィスビル、公共施設、商業施設などの空調はこの種類にあたります。
一方で産業空気調和とは、家畜動物や製造品など、人以外の物の品質・状態を維持管理するための空調をいいます。
主に農業施設や工場、食品貯蔵施設などではこの種類の空調が用いられています。
◎換気とは
換気とは、窓やドアなどを開け、室内の空気と室外の空気を入れ替えることをいいます。
換気を行うことにより、室内の淀んだ空気を外に出し、新鮮な空気を取り込んで、室内の空気状態を改善することが可能です。
また換気により、湿度調整ができることで室内の快適度をアップしたり、室内にこもる匂いを排出したり、室内に浮遊するウイルスやカビ菌などを外に追い出すこともできます。
なお、換気の方法は前述した窓やドアの開放だけでなく、換気扇を回す、換気システムを作動させるなどもあります。
換気システムの中には高機能換気設備という、1つの機器だけで機械的な給気と排気を行うことができるものがあります。
なおかつ、外気を取り入れる際には高性能なフィルターを通して給気を行うため、花粉やホコリなどを室内に入れることなく外の空気を取り入れることができます。
窓を開けることなく換気ができるというメリットもありますので、外の騒音や空気の汚れが気になるようでしたら導入を検討してみても良いかもしれません。
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◎空調と換気の違い
それでは、空調と換気の違いについて具体的に見ていきましょう。
この2つの大きな違いは、人工的な空気の調整を行うか否かという点です。
空調の温度・湿度・空気清浄の管理などは、全て空調設備が空気を調整して行っているものです。
例えばエアコンの冷房で室内を冷やす場合ですと、外から冷たい空気を取り込み室内に放出しているわけではありません。
室内の熱い空気から熱だけを取り除き、冷やすという仕組みになっています。
つまり、室外の空気を使うことなく、室内の空気を人工的に調整し快適な空気環境をつくり出すことが空調の特徴だと言えます。
一方で換気は、空気の人工的な調整は行わず、外からの空気を取り入れることによって室内の空気環境改善を行う方法です。
結果として室内の温度や湿度、空気のキレイさなどを調整することは可能ですが、機械的に調整を加えないため、細かな調節をすると言うよりは湿度などのおおまかな改善を行うことが換気の目的です。
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一部、空調設備の中には換気機能が付いているものなどもありますが、空調と換気は基本的に仕組みが全く異なるものなのです。
◎空調と換気を同時に行う利点
空調と換気、この2つは違うものですが、同時に行うことでより良い空気環境の空間をつくることができます。
なぜ同時に行う必要があるかというと、空調だけでは室内外の空気の入れ替えは行われないという点にあります。
空調と換気の違いでご説明した通り、空調は室内に元々ある空気の状態を調整するものですので、室内外の空気の出入りはありません。
室内での空気の出入りがない状態が続くと、空気中の二酸化炭素濃度が上がる、ウイルスや菌、ホコリなどが漂ったままになる、といった空気環境の悪化を招く原因になります。
そこで、空調を機能させるとともに、適度に換気も行うことで、空調と換気それぞれを効果的に使用することができるのです。
空調と換気を同時に行う際のポイントは、換気の「程度」です。
- 例)
- ・暖房をかけた状態で、長時間窓やドアを全開にする。
-
・換気扇を「強」設定で使用し続ける。など
このような激しい換気を行うと、いくら空調設備を動かしても部屋がなかなか温まらず、省エネの観点で見ても無駄が生じていることになります。
この無駄を防ぐためには、換気の回数を必要以上に増やさないことです。
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コロナウイルスの蔓延を受けて厚生労働省では、機械を使わない換気を行う場合には毎時2回以上、窓を2箇所以上全開にした自然換気を推奨しています。
出典元:厚生労働省 「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気の方法(外部リンク)
窓やドアは開けっ放しにせず、時間を決めて閉める。換気扇の強さを「弱」設定にするなど、換気の程度を上手に調整した上で室内環境の改善とリフレッシュを行いましょう。
◎「空調と換気の違い」を理解し快適な室内空間をつくる
空調と換気は似ている言葉ながら、その仕組みは全く異なるものです。
この2つの違いを理解していることで、室内環境の改善を行う際、どちらをどの程度行う必要があるのか適切な判断ができます。
また、エアコンと換気は同時に行わない方がいいというイメージを持っていた方もいるかもしれません。
換気は程度に気を付けながら上手に行うことで、エアコンへの影響を最小限に抑えながら室内空間のさらなるリフレッシュに繋げることができます。
ぜひこの記事を参考にしながら空調と換気を上手に使い、快適な空間づくりをしてみてください!
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