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業務用エアコンの清掃する最適な時期とは?クリーニング補頻や方法について解説

2020.12.18 空調機器活用ノウハウ

業務用エアコンの清掃する最適な時期とは?クリーニング補頻や方法について解説

ふとした瞬間に、オフィスや店舗内で「なんとなくカビ臭い」や「エアコンの効きが良くない」と感じたことはありませんか?

特に業務用エアコンは家庭用とは比べものにならないほど長時間稼働し、多くのホコリや油分、そしてカビを吸い込んでいます。しかし、そのメンテナンスは後回しにされがちです。「エアコンの調子が悪くなったら…」という考えは実は電気代や快適性を大きく損なう原因となってしまうのです。

この問題に対処するために、この記事では業務用エアコンの清掃・クリーニングに関して、いつ、どれくらいの頻度で行うべきかという最適な時期について解説します。清掃を怠った場合に発生するリスクから、自社でできる日常清掃の方法、そしてプロに任せるべき分解洗浄の具体的なメリットまで解説します。

業務用エアコンの清掃に最適な時期と実施すべき頻度

業務用エアコンの清掃に最適な時期と実施すべき頻度

業務用エアコンの清掃を考える際は、闇雲に実行するのではなく冷房・暖房といったシーズンごとの本稼働前に準備を整えることと、設置場所の環境負荷に応じた頻度でメンテナンスすることが最も効率的で経済的なアプローチだといえます。

清掃を行うべき最適な時期はいつ?

多くの専門家が推奨する最適な清掃時期はエアコンが最も酷使される冷房シーズンと暖房シーズンが本格化する直前、具体的には4月〜5月上旬頃9月〜10月上旬頃の年2回が理想的です。

なぜなら、真夏や真冬などエアコンが最も稼働する時期に突入してから清掃を試みても、清掃業者も繁忙期に差し掛かるため予約が取りにくくなるだけでなく、清掃のために数時間、エアコンの運転を止めざるを得ず、業務に大きな支障が出てしまうからです。

たとえば、4月〜5月のうちに冷房シーズン前の準備としてクリーニングを完了させておけば、猛暑が訪れても機器の性能を最大限に引き出した状態で稼働させることができます。これは、これから全力疾走する前にしっかりとストレッチなどの準備をするのと同じで、本稼働時に高パフォーマンスを引き出すための準備期間と捉えるとわかりやすいかもしれません。

参考記事:【毎年4月10日】エアコン試運転の日とは?夏の本格稼働前に試運転とクリーニングで準備をしよう!

稼働状況別に見る清掃の推奨頻度

清掃の適切な頻度はエアコンの設置環境と一日の稼働時間に大きく左右されます。一般的なオフィス環境と油やホコリが多い工場・飲食店では、エアコンが吸い込む汚れの質も量もまったく異なり、メンテナンスへのアプローチも当然変える必要があります。

設置場所・稼働状況別 推奨清掃頻度

設置場所 稼働時間 推奨頻度(専門業者による機内清掃)
一般的なオフィス 短時間・負荷少 年1回
飲食店・美容室 長時間・油分/ホコリ多 半年〜1年に1回
工場・病院 24時間稼働・特殊環境 半年に1回(またはそれ以上)
注記 フィルター清掃は月1〜2回、またはダストサイン点灯時。

 

オフィスであれば年1回のプロによる清掃でも十分な場合が多いですが、仮に油を多く扱う飲食店の場合は油煙がエアコン内部の熱交換器に固着すると、通常のホコリの何倍も頑固な汚れとなり、空調効率を急速に低下させる原因となります。

専門業者による機内清掃と自社によるフィルター清掃の役割分担

エアコンの清掃には、大きく分けて2つのレベルがあります。

1つは「自社で日常的に行うフィルター清掃」であり、もう1つは「専門業者に依頼する機内清掃(分解洗浄)」です。

フィルター清掃の目的は空気を吸い込む最初の関門であるフィルターに溜まったホコリを取り除くことで、短期的な空気の通りを良くし電力の無駄を軽減することです。しかし、フィルターをすり抜けた微細な汚れや湿気はその奥にある熱交換器やファンの内部に蓄積し、これが本格的なトラブルの原因となります。

この深部の汚れは素人が手を出すことができない領域であり、専用の高圧洗浄機と特殊な洗剤が必要となります。そのため「月に一度は自分たちでフィルターを掃除する」「半年に一度はプロに内部を徹底的に任せる」といったように、それぞれの役割を明確に分けるマネジメントが不可欠なのです。

清掃しないことによる深刻な3つのリスク

清掃しないことによる深刻な3つのリスク

「まだ大丈夫だろう」と清掃を先延ばしにすることは、単なる快適性の問題にとどまらず、企業の経済活動と従業員の健康に直結する3つの深刻なリスクを招きます。これは、経営者や管理者であれば絶対に無視できない事実です。

①電気代の高騰:熱交換器の汚れが原因で最大25%増加する

清掃を怠った結果、熱交換器にホコリや油汚れが蓄積するとエアコンは非常に非効率な状態に陥ります。この熱交換器とは部屋の空気から熱を奪ったり、熱を渡したりするエアコンの心臓部です。ここが汚れると、熱のやり取りがスムーズにできなくなり、設定温度に達するためにファンやコンプレッサーが長時間、余計に稼働しなければならなくなります。

結果として環境省のデータでも指摘されている通り、清掃前のエアコンは清掃後に比べて最大で25%も電気代が増加する可能性があります。これは、毎月の電気代を高騰させる非常に大きな無駄だといえます。たとえば、毎月5万円の電気代を払っているオフィスなら、清掃しないだけで単純計算で毎月1万2,500円も余分に電気代を支払っている計算になるのです。

参考記事:みんなで節電アクション! | 家庭でできる節電アクション | 3.エアコンで節電!

②機器の故障リスク:ドレンパンの詰まりや排水不良による重篤な故障

清掃不足が引き起こす故障の中で、特に管理者の方が警戒すべきなのが水漏れドレンパンの詰まりです。

エアコンは運転中に結露水を発生させ、これをドレンパンという受け皿に溜め、ドレンホースを通して外部に水を排出します。しかし、このドレンパンはホコリやカビが溜まりやすく、長期間放置するとヘドロ状の塊となって排水経路を詰まらせてしまうのです。

排水がうまくいかなくなると水はドレンパンから溢れ出し、最悪の場合、エアコン内部の基盤や電子部品に浸水してショートを引き起こし、致命的な故障を引き起こす可能性を高めます。このドレンポンプや基盤の交換は高額な修理費用が発生するだけでなく、修理が完了するまでエアコンが使えない業務停止リスクも生じます。

清掃による予防費用は修理費用と業務停止リスクに比べればはるかに安価であるため、このリスクは常に念頭に置くべきでしょう。

参考記事:業務用エアコンから水が!?エアコンからの水漏れの対処方法を解説

③健康被害と悪臭:カビやバクテリアの繁殖によるシックビル症候群

エアコン内部は結露水により湿度が高く、ホコリという栄養源が豊富なためカビやバクテリアにとって最高の繁殖環境になってしまいます。

これらの微生物がエアコンの風に乗って室内に撒き散らされると、「エアコンからの異臭」という形で私たちに警告を発します。この異臭は単に不快なだけでなく、健康被害を引き起こす深刻なサインなのです。

たとえば、カビの胞子やバクテリアを従業員が吸い込むことで、アレルギー症状や呼吸器系の疾患のリスクが高まります。オフィスや商業施設などの空調環境が原因で体調不良を引き起こす状態はシックビル症候群と呼ばれますが、その一因がエアコン内部の衛生管理不足にあることは少なくありません。

顧客や従業員の健康、そして集中力を守るためにも内部洗浄によるカビの除去は積極的に取り入れるべきです。

参考記事:高機能換気設備(全熱交換器)はシックハウス問題(風邪菌、ウィルス、ホルムアルデヒド等)にどのような効果があるか

自社でできる業務用エアコンのフィルター清掃方法

プロによる分解洗浄は不可欠ですが、その効果を最大限に持続させるためには日常的なフィルター清掃が非常に重要です。この作業はコストがほとんどかからず電気代の即効的な改善に繋がるため、ぜひ定期的なルーティンに組み込んでください。

フィルター清掃に必要な道具と手順

フィルター清掃は特別な道具を必要としない簡単な作業です。必要なものは「掃除機」「柔らかいブラシ」「中性洗剤(汚れがひどい場合)」「雑巾」の4点だけです。手順を誤るとかえって故障の原因にもなりかねませんので、一つひとつ確認しながら進めることが大切です。

まず、作業を始める前に必ずエアコンのブレーカーを落とすか、リモコンで運転を停止し電源コードを抜いて安全を確保しましょう。次に、本体の吸い込みパネルを開けてフィルターを取り外します。この時フィルターからホコリが舞い落ちないよう、慎重に扱うのが現場のコツです。フィルターを取り外したら、まずは掃除機を使って表面の大きなホコリを吸い取ります。

汚れがひどい場合は浴室などで水洗いし、柔らかいブラシと中性洗剤で優しく洗い流しますが、この水洗いはあくまでフィルターのみとし、他の部品は絶対に手をつけないようにしましょう。

フィルターの掃除機がけと完全乾燥の徹底

フィルター清掃で最も効率良くホコリを除去できるコツは掃除機をかける向きにあります。ホコリは空気の吸い込み口側、つまり外側についていますが掃除機をかけるのはフィルターの裏側(内側)からが正解です。

なぜなら、裏側からホコリを押し出すように吸い取ると、フィルターの網目からホコリが抜けやすくなり、目詰まりを効果的に解消できるからです。これは、意外と忘れがちですが、清掃効果を格段に高める地味な裏技だと言えます。

また、水洗いをした場合は、フィルターを完全に乾燥させることを徹底してください。湿ったままフィルターを装着すると、エアコン内部にカビを繁殖させる原因を自分で作ってしまうことになります。天日干しが理想ですが、時間がない場合は清潔なタオルで水気をよく拭き取り、陰干しで完全に水分を飛ばしてから、元通りに本体に戻すように心がけましょう。

フィルター以外の箇所への自己流清掃は避ける

「フィルター以外にもカビが見えるから、自分で洗剤スプレーをかけてしまおう」と考える人がいますが、これは非常に危険な行為なので絶対に避けてください。市販のエアコン洗浄スプレーは、一般的に熱交換器の表面の軽いカビにしか効かず、ファン内部の汚れには全く効果がありません。

むしろ、洗剤成分が内部に残ってしまうと、それが汚れの層を硬く固めてしまい、プロが洗浄する際にも除去が難しくなるという弊害を生みます。

さらに恐ろしいのは、電気部品や配線がむき出しになっているエアコン内部に、自己流で水や洗剤を吹きかけると、基盤がショートしたり、故障したりする直接的な原因になることです。結果として、清掃費用よりもはるかに高額な修理費用を支払う羽目になります。

清掃はあくまでフィルターまでとし、内部の清掃はプロに任せるという線引きを厳守することが、機器を守るための鉄則だと心に留めておきましょう。

機内の分解洗浄は専門業者に依頼

機内の分解洗浄は専門業者に依頼

自社でのフィルター清掃が「月一の定期検診」だとすれば、専門業者による機内の分解洗浄は「年に一度の人間ドック」に相当します。

機器の性能を根本から回復させるためには、このプロの技術が不可欠となります。

分解洗浄の大きなメリット

専門業者はエアコン本体を分解し、普段見えない熱交換器、ファン、ドレンパンといった心臓部を高圧洗浄機と専用の強力な洗剤で徹底的に洗い流します。この専門的なプロセスによって、次の3つの大きなメリットを享受できるのです。

①設定温度への到達時間短縮と快適性向上

専門業者による分解洗浄は熱交換器の奥深くに詰まった汚れやカビを徹底的に除去します。熱交換器の表面積が回復することで、熱のやり取りが劇的にスムーズになり、設定温度への到達時間が短縮されます。

これは特に夏場のピーク時に、お客様や従業員を待たせることなく、瞬時に快適な空調環境を提供できることを意味し、快適性の向上に直結します。

②電気代の大幅な削減

熱交換効率が回復するとエアコンは無駄な電力を消費せずに設定温度を維持できるようになります。前述したように汚れが原因で生じていた消費電力の無駄(最大25%程度)が解消され、毎月の電気代を大幅に削減することが可能です。分解洗浄費用は多くの場合、数ヶ月〜1年程度の電気代削減効果により回収できる経済効果の高い投資だと判断できます。

③機器寿命の延長と故障リスクの低減

清掃不足は部品への過負荷やドレン詰まりによる水漏れなど、機器の寿命を縮める要因となります。分解洗浄によってこれらの負荷を軽減し、重要部品(ドレンパン、ファンなど)の汚れを定期的に除去することで、突発的な故障リスクが低減します。

結果として、機器全体の耐用年数を延長させる効果があり、新しい機器の導入費用という大きな支出を先延ばしにすることが可能になります。

参考記事:換気設備の耐用年数と寿命、取替え時期について解説

業者選定の重要ポイント

分解洗浄のメリットを最大限に得るためには、信頼できる業者を選ぶことが非常に重要です。なぜなら、洗浄作業には分解・組立のリスクが伴い、技術力のない業者に依頼すると、かえって故障の原因を作りかねないからです。

業者選定の際は、単に価格が安いかどうかだけでなく、「どこまで分解して洗浄するか」を必ず確認してください。特にドレンパン(結露水受け皿)を本体から取り外し、徹底的に洗浄するかどうかは重要な判断基準です。

よくある質問

清掃について考える際、多くの読者が共通して抱く疑問点について、専門的な視点から簡潔に回答します。

Q. 清掃業者に依頼した場合の費用相場と作業時間はどれくらいか?

A. 費用は機種や設置状況に大きく依存しますが一般的な天井カセット型4方向タイプの業務用エアコンの場合、1台あたり2万円~4万円程度が費用相場だと言えます。

作業時間については養生、分解、洗浄、乾燥、組み立ての全工程を含め、1台あたり2〜3時間を目安とする業者が多いです。この時間を考慮し業者が作業している間は業務に支障が出ないよう、早朝や休日の作業を依頼することも検討しましょう。

Q. 清掃をすればフロンガスの点検は不要になるか?

A. フロンガス点検(簡易点検・定期点検)は清掃とは別の義務です。エアコンの清掃は機器内部の汚れを落とすことが目的ですが、フロンガス点検はフロン排出抑制法に基づき、冷媒ガスの漏洩を防ぐことが目的とされています。

機器の能力に応じた点検が法律で義務付けられており、清掃によってこの義務が代替されることはありません。費用対効果を考えれば清掃を依頼する際にフロンガス点検も合わせて依頼すると、一度の訪問で済むため効率的です。

参考記事:フロンによるオゾン層破壊問題と課題や現状を解説

Q. お掃除機能付きエアコンでも業者による清掃は必要か?

A. 必要不可欠です。「お掃除機能」とは多くの場合、フィルターのホコリを自動で掻き取り、ダストボックスに集める機能にすぎません。つまり、熱交換器やファン内部に溜まるカビや油汚れ、タバコのヤニなどは一切除去できません。

この内部汚れこそが空調効率の低下、電気代の増加、そして悪臭の主原因であるため、「お掃除機能があるから大丈夫」と過信せず、推奨頻度に基づいて専門業者による分解洗浄を定期的に行うことが必須となります。

まとめ

業務用エアコンの清掃は単に汚れを落とすだけではなく、電気代のコスト、空調効率、従業員の業務効率や健康という3つの要素を改善する極めて重要な経営戦略の一環だと言えます。

この記事で解説した通り、清掃の最適な時期は冷暖房の本稼働直前である4〜6月頃と9〜10月頃であり、頻度は「オフィスなら年1回、飲食店などは半年に1回」が目安です。この知識を活かし、自社で月1回のフィルター清掃を欠かさず実施しつつ、この推奨時期に合わせ、専門業者による機内清掃を計画的に実行することが、あなたのビジネスを守る最善の策となるでしょう。

まずは、貴社のエアコンの最終清掃履歴を確認し、現在の稼働状況を照らし合わせて、推奨される「年1回」または「半年に1回」のどちらが最適かを判断しましょう。

参考サイト

 

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