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ロスナイ・ベンティエールの後付け工事は可能?設置のポイントと費用感を解説

2024.05.13 空調機器導入ノウハウ

ロスナイ・ベンティエールの後付け工事は可能?設置のポイントと費用感を解説
この記事の重要ポイント

オフィスや店舗の換気不足を解消するロスナイ・ベンティエールの後付けについて、知っておくべき要点を整理しました。

  • 後付けは可能:天井埋込形だけでなく天井露出形や壁掛形など、構造に合わせた選択肢があります。
  • コストと工期の最適化:天井を解体しない「露出設置」なら、内装工事費を大幅に抑えられます。
  • 選定基準:三菱電機は省エネ性能、ダイキンは空調機との高度な連動性に強みがあります。
  • 事前調査の重要性:天井裏の高さや電源、梁の位置が工事の可否を左右します。

 

「最近、室内の空気がこもる」「冬場の換気で暖房が効かない」といった悩みから、高機能換気設備の後付けを検討する企業が増えています。三菱電機のロスナイダイキン工業のベンティエールは、換気時に捨てられる熱を回収して再利用する全熱交換器であり、光熱費を抑えながら新鮮な空気を取り込める優れた設備です。

後付け工事は新築時と異なり天井裏の制約や配線ルートの確保など、現場特有の課題が多く存在します。しかし、適切な製品選定と工法を選べば、既存の建物を大きく傷つけずに導入することは十分に可能です。

この記事では、プロの視点から後付け工事の具体的なパターン、費用感、そして失敗しないための現場調査のポイントを詳しく解説します。

高機能換気設備(全熱交換器)の2大ブランド

高機能換気設備(全熱交換器)の2大ブランド

換気市場において圧倒的なシェアを誇るのが、三菱電機のロスナイとダイキン工業のベンティエールです。どちらも熱交換効率に優れていますが、現場の運用状況や既存の空調設備によって最適な選択肢は変わります。

三菱電機 ロスナイの強みとラインナップ

ロスナイは世界で初めて紙製全熱交換エレメントを開発した三菱電機の歴史あるブランドです。最大の強みは、製品ラインナップの豊富さにあります。大規模オフィス向けの天井埋込形から、小規模な店舗や住宅でも導入しやすい壁掛形まで、後付けの制約に合わせて柔軟に機種を選べるのが特徴です。

また、独自の「ロスナイエレメント」により、湿度も合わせて交換できるため、夏場のジメジメや冬場の乾燥を和らげる効果があります。CO2センサーによる自動運転制御機能も充実しており、人の密集度に合わせて換気量を最適化できるため、ランニングコストの削減にも大きく寄与します。

ダイキン工業 ベンティエールの強みとエアコン連動性

ダイキン工業のベンティエールは、同社の業務用エアコン「スカイエア」やビル用マルチエアコンとの高度なシステム連動に強みがあります。ひとつのリモコンでエアコンと換気設備を同時に操作できるため、店舗やオフィスでの操作ミスを防ぎ、管理を簡略化することが可能です。

また、ダイキン独自のセンサー技術を活用し、外気温や室温に応じて熱交換換気と普通換気(熱交換を通さない換気)を自動で切り替える機能が優れています。夜間の冷涼な外気を取り込むことで冷房負荷を抑える「ナイトパージ運転」など、空調メーカーならではの省エネ制御が実務上の大きなメリットとなります。

主要スペックとメーカーごとの特徴比較

比較項目 三菱電機:ロスナイ ダイキン:ベンティエール
歴史・実績 全熱交換器の先駆者。紙製エレメントに定評。 空調機との一体運用に強い。
バリエーション 壁掛・天井露出・床置など極めて豊富。 天井埋込形を中心に主要ニーズをカバー。
連動性 汎用性が高く、他社空調との組み合わせも多い。 ダイキン製エアコンとの親和性が極めて高い。

ロスナイ・ベンティエールの後付けが現実的な3つの理由

ロスナイ・ベンティエールの後付けが現実的な3つの理由

大がかりな改修工事を想像しがちですが、実はロスナイやベンティエールは「後付け」を想定した設計や製品が揃っています。以下の3つの理由により、多くの現場で導入が現実的となっています。

既存の換気口を活用できる設計

後付け工事における最大のハードルは、壁に新しい穴(開口)を開けることです。しかし、多くのオフィスや店舗では既にトイレやキッチンの排気ファン、あるいは給気口が存在します。既存のダクトや換気口のルートを再利用することで、外壁への穴あけを最小限に抑えることが可能です。

熱交換換気扇は、給気と排気をセットで行う必要がありますが、既存の穴が1つしかない場合でも、2管式の特殊なダクトを使用することで、ひとつの穴から給排気の両方を賄える機種も存在します。これにより、建物の構造を維持したまま換気性能だけをアップデートできます。

天井を解体せずに設置できる露出形の存在

天井裏にスペースがない、あるいは天井ボードを壊したくない場合に有効なのが天井露出形です。本体が室内に見えてしまいますが、配管や本体がデザインの一部として馴染むスケルトン天井の店舗や、見た目よりも機能性とコストを優先する現場では非常に重宝されます。

露出形であれば、天井ボードの解体や復旧工事が不要なため、工事費の大部分を占める内装職人の費用を削ることができます。また、メンテナンス時に点検口を探す必要がなく、フィルター交換が容易であるという実務上のメリットも大きいです。

ダクト工事不要で壁に設置する壁掛形の選択肢

天井に設置するスペースが全く確保できない場合は、壁掛形が有力な候補になります。これは一般的なエアコンのような形状で壁に取り付けるタイプで、本体のすぐ裏側が外壁であればダクトを長く引き回す必要がありません。

ダクト工事が不要になるため、工期は半日から1日程度で完了するケースが多く、小規模な美容室や個室会議室などの換気対策として非常にコストパフォーマンスが高い選択肢です。ただし、設置できるのは外壁に面した壁に限られるため、事前の位置確認が重要です。

後付け工事のパターンと費用の目安

後付け工事のパターンと費用の目安

後付け工事の費用は、機器代金よりも「設置環境」によって大きく変動します。ここでは、実務上でよく見られる2つのパターンを比較します。

パターンA:天井埋込形(見た目を重視するオフィス向け)

天井ボードを一度開口し、本体を吊り込んだ後に天井を復旧する工法です。ノイズレスな仕上がりになるため、意匠性を重視するオフィスやサロンに適しています。費用には、機器代・電気工事・ダクト工事に加え、天井の開口・補修・塗装などの内装費が含まれます。

天井裏に十分なスペース(懐)があることが前提となりますが、もし懐が狭い場合でも「薄型モデル」などを選定することで解決できる場合があります。施工難易度が高くなるため、経験豊富な施工会社による現地調査が欠かせません。

パターンB:天井露出形(工期とコストを抑えたい店舗向け)

本体を天井からボルトで吊り下げ、そのまま露出させる工法です。内装工事の工程を大幅にカットできるため、営業を止めずに夜間工事だけで完了させたい飲食店などに最適です。配管が露出するため、ダクトをアルミテープやシートで巻くことで、あえて無骨な工業デザインを演出することも可能です。

このパターンは施工性が良いため、作業人数も最小限で済みます。工期が短くなることで、工事に伴う休業補填などの間接的なコストも抑制できるのが大きな利点です。

工法別の費用相場・工期・メリットデメリット比較

工法パターン 費用相場(1台あたり) 工期 メリット・デメリット
天井埋込形 約30万円 〜 100万円以上 2 〜 3日 【美観◎】内装工事費が高くなる。
天井露出形 約20万円 〜 75万円以上 1 〜 2日 【工期◎】本体が目立つ。
壁掛形 約10万円 〜 20万円 0.5 〜 1日 【コスト◎】外壁面しか設置不可。

※費用は機器の能力や現場のダクト延長距離、電気容量によって大きく変動します。最終的な見積もりには必ず現地調査が必要です。

導入前に必ず確認すべき必要換気量の計算

「とりあえず設置する」だけでは、保健所の基準やビル管理法の基準を満たせない可能性があります。法律や指針に基づいた適切な換気量の選定が、後付け工事の成否を分けます。

面積と収容人数から算出する一人あたり30㎥/hの基準

日本のビル管理法(建築物における衛生的環境の確保に関する法律)や厚生労働省の指針では、良好な換気状態を保つための基準として、一人あたり毎時30㎥の換気量を確保することが推奨されています。

計算式は、

収容人数 × 30㎥/h = 必要換気量

となりますが、収容人数が不明な場合は床面積から算出することも可能です。ただし、飲食店などの「燃焼器具(コンロなど)」を使用する空間では、人の呼吸分とは別に、燃焼に必要な空気を補うための膨大な換気量が必要となるため注意が必要です。

参考記事:建築基準法に関わる換気規定や換気設備について解説

用途別(オフィス・美容室・飲食店)の必要換気量目安

用途 推奨される換気回数(目安) 特記事項
一般オフィス 約2 〜 4回 / h OA機器の熱も考慮が必要。
美容室・理容室 約4 〜 6回 / h 薬剤の臭気排出のため高め。
飲食店(一般客席) 約10 〜 15回 / h 厨房への空気の流れを計算。

※換気回数とは、1時間あたりにその空間の空気が何回入れ替わるかを示す指標です。実際の選定では、部屋の容積(縦×横×高さ)を掛けて算出します。

後付け工事で失敗しないための現場調査チェックリスト

後付け工事で失敗しないための現場調査チェックリスト

後付け工事で「やっぱり設置できなかった」というトラブルを防ぐには、事前の現場調査がすべてです。プロが必ず確認する項目を3つ紹介します。

天井裏の懐(ふところ)寸法と梁の干渉確認

天井埋込形を検討する場合、天井ボードからコンクリートスラブ(上階の床)までの距離、すなわち「懐(ふところ)」を計測します。機器本体の厚みに加えて、吊り金具やダクトのスペースが必要になるため、一般的には300mm〜400mm程度の余白が求められます。

また、盲点になりやすいのが「梁(はり)」の存在です。本体の設置場所が確保できても、排気ダクトのルート上に梁がある場合、穴を開けることはできないため(構造躯体の損傷防止)、ダクトを下げるかルートを変更しなければなりません。

電源の確保(単相100V・200Vの判別)

換気扇は電気で動くため、電源の引き込みが必要です。家庭用と同様の「単相100V」で動く小型モデルも多いですが、中〜大規模オフィス用の大風量モデルでは「単相200V」や「三相200V(動力)」が必要になるケースがあります。

後付けの場合、分電盤に空きのブレーカーがあるか、また設置場所まで新しく電線を引くことができるかを確認します。もし電源容量が不足している場合は、受変電設備の改修が必要になり、工事費が跳ね上がる可能性があるため注意しましょう。

給排気口のショートサーキットを防ぐ離隔距離

熱交換換気は「外気を吸い込む(給気)」と「室内の空気を出す(排気)」を同時に行います。もし外壁側の吸込口と排出口が近すぎると、排出したばかりの汚れた空気を再び吸い込んでしまうショートサーキットが発生します。

これを防ぐためには、屋外フードの間に一定の離隔距離を設けるか、給排気の向きを変えるなどの工夫が必要です。また、隣接する建物の換気口や、ガス給湯器の排気筒との距離も考慮しなければ、一酸化炭素を室内に取り込んでしまう危険性があります。

よくある質問

Q. 賃貸物件でも後付け工事はできますか?

A. 可能です。ただし、外壁への穴あけを伴う場合は、必ずオーナーや管理会社の承諾が必要です。外壁は共用部分にあたるためです。承諾が得られない場合は、既存の窓にパネルをはめてダクトを通すなどの「原状回復が容易な工法」を提案することで許可が下りるケースもあります。退去時の原状回復義務についても、事前に書面で合意しておくことが実務上のトラブル回避に繋がります。

Q. 工事中、業務を止める必要がありますか?

A. 施工計画次第で、業務を止めずに工事を行うことは十分可能です。オフィスや店舗の稼働時間外(夜間や休日)に施工を集中させることができるためです。数日にわたる工事の場合は、エリアを分割して施工する「段階施工」を行えば、一部のデスクや客席のみを養生するだけで、他の場所は通常通り使用できます。

Q. フィルターのメンテナンスは自分でできますか?

A. 日常的なフィルター掃除は、脚立があればご自身でも可能です。多くの製品はパネルを外すだけでフィルターが取り出せる設計になっているためです。頻度は3〜6ヶ月に一度の清掃が目安ですが、内部の熱交換素子(エレメント)の点検などは、数年に一度プロに依頼することをお勧めします。

まとめ:後付け換気対策は専門設計のAUTHORITY CREATIVE WORKSへ

ロスナイやベンティエールの後付けは、建物の構造や用途、予算に合わせて多様なアプローチが選択できます。天井裏のスペースや既存の換気ルートを最大限に活かすことで、見た目とコストのバランスが取れた「最適な換気環境」を構築することが可能です。

一方で、後付け工事には法令遵守(必要換気量の算出)や建物構造への配慮など、高度な専門知識が求められます。誤った機種選定や施工は、換気不足だけでなく、結露や騒音、冷暖房効率の低下といったリスクを招きかねません。

AUTHORITY CREATIVE WORKSでは、現地調査から換気計算、最適な製品選定、施工までを一貫してサポートしています。既存の物件で換気環境を改善したい方は、まずはお気軽に専門家へご相談ください。貴社の空間に合わせた、無理のない、かつ確実な換気プランをご提案いたします。

参考文献


換気設備の設置から、最適な空気をつくる最新設備の施工プランご提案まで、空調のトータルコーディネートができるオーソリティー空調にお任せください。

 

 

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