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工場に最適なエアコンを解説|換気方法や粉塵・高温に強い空調設備の選び方
2025.06.13 空調機器導入ノウハウ

- 工場に適したエアコンの選び方と、必要な機能(防塵・耐熱・換気連携)について
- 天吊り型と床置き型のエアコンの違いや、設置環境に応じた使い分けについて
- 空調導入による労働環境改善や生産性向上の効果と、管理運用のポイントについて
工場では適切な空調管理が労働者の安全や製品の品質に直結します。
特に粉塵が舞いやすく高温になりやすい現場環境では、一般的な空調設備では対応しきれない課題が多くあります。
この記事では工場に適した空調の重要性と選び方について解説していきます。

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目次
工場に空調設備が必要な理由
工場では法令遵守・作業者の安全確保・機器の保護・労働環境の改善といった多方面の理由から空調設備の導入が必要です。
ここでは、それぞれの背景について詳しく説明します。
法令に基づく温度・衛生管理の必要性
労働安全衛生法や事務所衛生基準規則では、事業者に対し快適な作業環境の維持が求められています。
たとえば、室温はおおむね17℃以上28℃以下に保つべきとされています。
また、製品に衛生的配慮が必要な食品工場などでは、空気清浄機能や湿度管理も必要です。
空調設備は、これらの基準を満たすための不可欠なインフラといえるでしょう。

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熱中症対策義務化の対策
近年、夏季の猛暑による熱中症リスクが増加しており、厚生労働省はWBGT指数に基づいた対策が25年6月から義務化になります。
工場内は熱源が多く、自然通風では不十分なところが多くあるため、空調設備による温度管理が重要です。
とくに、部分冷房や大型換気ファンとの併用が効果的とされ、空調設計の工夫も求められます。

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製造などの機器トラブル
高温・高湿環境は、電子制御機器や精密部品に悪影響を及ぼす可能性があります。
たとえば、制御盤や成形機の熱暴走や誤作動は、生産ロスや品質トラブルの原因となります。
そのため、空調設備を導入することで、機器の安定稼働と長寿命化が期待できます。
従業員の働きやすい環境
労働者が快適に作業できる環境は、業務効率や定着率にも直結します。
空気のこもりや暑さによって集中力が低下すれば、ヒューマンエラーやケガの原因にもなりかねません。
快適な空調環境は、従業員満足度を向上させ、結果的に企業全体の生産性を高めます。
粉塵・高温に対応するエアコンの特徴
一般的な業務用エアコンでは対応しきれない粉塵や高温環境には耐久性や防塵性、冷却性能に優れた専用エアコンが必要です。
ここではその特徴について解説します。

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一般的な業務用エアコンとの違い
工場用エアコンは、特殊環境に対応するために設計されています。
たとえば、外部からの粉塵の侵入を防ぐ高性能フィルター、腐食に強い金属部品、そして長時間稼働しても能力が低下しない冷却機構などが特徴です。
また油煙や湿気が多い現場でも稼働できるよう、冷媒回路や熱交換器に耐油・防錆加工が施されているケースもあります。

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推奨される工場用エアコンの形状や種類
工場用エアコンで代表的な形状として「天吊り型」と「床置き型」があります。
それぞれに適した用途や利点があるため、作業フローや建屋構造を踏まえたうえで、最適なタイプを選定することが重要です。
天吊り型・床置き型の特徴
以下に、天吊り型と床置き型それぞれの特性と、導入に適したシーンを比較します。
タイプ | 特徴 | 適用シーン |
---|---|---|
天吊り型 | 天井から吊り下げる設置方式。床面を有効に使え、作業動線を妨げにくい。 | 組立ラインや移動の多い製造エリア |
床置き型 | 床に直置きする形式で、大風量タイプが多く、広い空間に短時間で冷暖房が届きやすい。 | 吹き抜け空間や高天井空間のある工場 |
天吊り型は省スペース性に優れ、障害物の少ないレイアウトが可能になるため、人やフォークリフトなどの往来が多いエリアに適しています。
一方で床置き型は、設置が比較的容易でメンテナンスも行いやすく、広範囲を強力に冷暖房できることから特に高天井の工場や天井設置が困難な現場で重宝されます。
設置条件だけでなく、冷却すべき面積、機器の配置、作業者の動線なども加味して、どちらの方式が工場全体の効率向上につながるかを判断することがポイントです。
工場内の空調と換気を両立させる設計
工場では熱気や粉塵、化学物質が発生するため、空調とあわせて換気設備の連携が不可欠です。
以下からは空調と換気のバランスを取るための設計ポイントを紹介します
工場内での換気設備の必要性
工場では、温度調整とともに汚染空気の排出が求められます。
たとえば、溶接作業や塗装工程がある場合、有害ガスやミストを確実に外部に排出する必要があります。
換気設備が適切に機能しないと、空気がよどんでしまい、いい環境とは言えません。
そこで重要となるのが、空調と換気の同時設計です。
空調機器と連動して自動的に給排気を制御するシステムを導入すれば、気流の乱れを防ぎつつ室温を一定に保つことが可能になります。
特に全熱交換器の併用することによって、換気による温度ロスも最小限に抑えられます。

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空調システム化による環境最適化
近年では、工場全体の温度・湿度・換気を一括して管理するために、IoT対応の空調システムを導入するケースが増えています。
メーカーによって機能は異なりますが、各ゾーンの環境データをセンサーで取得し、自動的に空調や換気を制御できるシステムや、ユーザー管理機能によりゾーン単位や利用者ごとに操作権限を設定できる仕組みが導入されています。
持続可能な工場運営を実現するために、空調と換気を一体的に設計・管理することは非常に重要な要素です。
工場用エアコン導入による費用対効果
エアコン導入には初期投資が必要ですが、労働生産性や品質向上、エネルギー効率など多面的な効果が期待できます。
導入コストとランニングコスト
工場用エアコンの導入費用は設備規模や仕様によって異なりますが、目安として数百万円~数千万円の投資となることが多いです。
しかし、以下のような視点でコストバランスを評価することが重要です。
費用項目 | 内容例 |
---|---|
初期導入費 | 本体価格・設置工事費・電源工事・ダクト施工など |
ランニングコスト | 電気代・定期点検費・フィルター交換・故障修理など |
高効率型やインバーター制御の機種を選ぶことで、ランニングコストを削減することも可能です。
また、補助金制度や税制優遇制度を活用すれば、初期負担を抑えた導入も実現できます。
工場用エアコン導入後の管理と運用
空調設備は導入して終わりではなく、その後の適切な管理と運用も大切です。
ここでは、導入後に重要となる運用面のポイントを解説します。
定期メンテナンスと衛生管理の重要性
粉塵の多い工場では、フィルターの目詰まりによる効率の低下や細菌・カビの繁殖を防ぐためにも定期的な点検と清掃が欠かせません。
特に夏季や繁忙期前には、プロによる点検を実施することで突発的なトラブルを防止できます。

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まとめ
工場における空調設備の選定と設計は、作業環境の安全性と効率性を確保するためにとても重要です。
法令に基づいた温度管理や熱中症対策、機器の保護、従業員の快適性を実現するには、粉塵・高温に対応した専用エアコンの導入が効果的です。
さらに、空調と換気を一体で考えた設計や、IoTを活用したシステム管理によって、エネルギー効率と作業環境の最適化が図れます。
長期的に見れば、空調設備は単なる設備投資ではなく、労働生産性や品質向上への「戦略的投資」にも位置づけられます。
工場内での「暑さ対策」や「空気の汚れ」等のお悩みは、ぜひ一度、当社オーソリティー空調へご相談ください。
業種や規模に応じた最適な空調ソリューションをご提案いたします。